特定調停の17条決定とは

特定調停は当事者同士の合意により解決するものですが、話し合いにより解決しない場合には民事調停法17条により裁判所が双方の公平を考慮して職権により解決のための決定をすることができます。

この裁判所による決定のことを17条決定といい、17条決定は調停と同じ効力を持ちます。

17条決定に異議申し立てをすることもできますが、この場合には調停は不成立となります。

ここでは特定調停における17条決定とは何か、17条決定に異議申し立てをするとどうなるのか、17条決定と過払い金請求の関係などをご紹介いたします。

特定調停は話し合いにより解決する制度

特定調停は裁判所を介して当事者同士が話し合いにより解決する債務整理方法です。

しかし、当事者同士の話し合いとはいえ、裁判所から選任された調停委員が間に入り、債務者と調停委員、調停委員と債権者で話し合いを行いますので債権者と債務者が直接交渉することはありません。

調停委員が主導して交渉した結果、返済額や返済期間などので互いの合意が得られれば調停は成立でし、裁判所が合意内容を記した調停調書を作成します。

調停調書は債務名義としてのとても強い効力を持ちますので、調停調書通りに返済ができない場合には給与差押えや財産差押えなどをされることになりますので注意しましょう。

なお、調停委員が間に入って交渉しても互いの合意が得られない場合には調停は不成立となります。

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特定調停の17条決定とは

特定調停を行っても互いの合意が得られなければ調停は不成立となりますので、債務者はそのまま返済を続けなければなりません。

しかし、民事調停法17条により裁判所は互いの事情を考慮して公平な解決内容を決定することができます。

この、調停に代わる決定のことを通称、17条決定といいます。

特定調停が17条決定で終わるケース

特定調停を申し立て17条決定で終わるのは次のようなケースです。

  • 債権者か債務者が裁判所に和解案の提示を求めた場合
  • 交渉がまとまらない場合
  • 債権者と債務者の双方が譲歩せず交渉が進まない場合
  • 債権者が最初から17条決定を求めた場合

17条決定は裁判所が若い内容を決めるものですから、双方に和解する意志がある事が前提です。そのため、片方が和解に応じない場合には17条決定で終わらずに不成立になることがあります。

17条決定の効力

17条決定は裁判所が提示した和解内容ですが、17条決定の効力は調停調書と同じ効力を持ちます。

そのため、17条決定の場合でも和解内容通りに返済ができない場合には差し押さえなどの強制執行をされる可能性があります。

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17条決定への異議申し立て

特定調停で交渉がうまくいかなかった場合には17条決定により裁判所から和解内容が決定されますが、17条決定に対しての異議申し立てをすることもできます。

17条決定は裁判所からの判決ではありませんので拒否することができるのです。

ただし、17条決定への異議申し立てを行った場合には調停は不成立ですので、申立人は任意整理や個人再生などの他の債務整理を検討することになります。

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17条決定に異議申し立てがあれば調停は不成立

特定調停は交渉後の17条決定もありますし、最初から17条決定が出されることもあります。

どちらにしても17条決定が出された場合には調停が不成立になり、すべての効力が失われます。

異議申し立ては2週間以内にする必要がある

17条決定で裁判所に出された内容に納得できない場合には2週間以内に異議申し立てをすることができます。

異議申し立ては通常は書面で行いますが、口頭で行うことも可能です。

ただし、17条決定に対して異議申し立てを行った場合には調整は不成立となりますので、別の債務整理手続きを検討する必要があります。

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特定調停の17条決定と過払い金請求

一般に債務整理を行う時には同時に過払い金請求も行うことができますが、特定調停では過払い金請求を行うことはできません。

引き直し計算を行って過払い金があることが分かった場合には特定調停後に過払い金請求を行うのが通常です。

しかし、特定調停を行った場合には調停調書や17条決定の内容次第では特定調停後に過払い金請求ができないこともあります。

内容次第では過払い金請求できる

調停調書や17条決定の文面には「貸付金債務は存在しない」とある場合と「互いに債権債務が存在しない」とある場合があります。

「貸付金債務は存在しない」とある場合には債務(借金)がこれ以上ないと確認する内容ですので過払い金請求を行うことは可能です。

しかし、「互いに債権債務が存在しない」とある場合には清算条項といい、過払い金請求権も存在しないと主張される場合があります。

生産条項があっても過払い金請求できる場合

清算条項がある場合に過払い金請求ができるかどうかは裁判所によって判断が異なり、最高裁判所の判決はありませんでした。

しかし、2015年(平成27年)に最高裁判所は特定調停の調停調書は有効と判断しつつも「過払金返還請求権等の債権を特に対象とする旨の文言はない」と判断しています。

つまり、清算条項があった場合でも過払い金請求ができるということです。

ただし、2015年の最高裁判所では過払い金を確定するために特定調停をしているわけではないので過払い金請求ができると判断しており、両者の債権債務を調整するために特定調停をする場合には過払い金請求ができないという判断になる可能性もあります。

どちらにしても借金に過払い金があるかもしれない場合には事前に弁護士や司法書士に相談した方がスムーズに、より確実に解決できるでしょう。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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