債務整理は消費者金融に対してしかできないと思われてる方もいますが、債務整理はいわゆる借金であればどんな会社に対してでも利用できる手段です。
当然、クレジットカードで作った借金も任意整理できます。
クレジットカードの任意整理をするとどうなるか、任意整理時の注意点、信用情報、任意整理後のクレジットカードの代替手段などを解説いたします。
任意整理は将来の利息をカットし、3年~5年での分割支払いをすることで返済額を減らすことができる債務整理手続きです。
クレジットカードや銀行ローンなどは任意整理できないと勘違いされがちですが、借金であれば法的に解決できることがほとんどです。
クレジットカードには普段の買い物に使うショッピング機能と現金を借りる際に使うキャッシング機能があります。任意整理ではショッピングでもキャッシングでも利息をカットした上で長期分割することが可能です。
ただし、ショッピングだけ任意整理、キャッシングだけ任意整理というようなことはできません。任意整理ができるのは会社単位ですので、キャッシング(借金)が理由で任意整理をする際にショッピングでローンを組んで購入した商品が引き上げられるという可能性はあります。
任意整理は原則的には、借りた借金は返すが負担になっている金利を免除してもらい、分割払いする手続きです。そのため、金利を免除してもらったことによる返済総額を大幅に減らすことはできますが、借金そのものを減らすことはできません。
それでも金利がゼロになるということと3年~5年の長期分割に応じてもらうということは非常に大きなメリットで、毎月の返済額を減らすことはできます。
そして、過去の借金の中に過払い金があることも多いため、過払い金と現在の借金を相殺することで結果的に借金の減額をするということも可能です。
クレジットカードのショッピング枠は借金ではなく立替金という扱いです。そのため、借金の返済の際に生じる過払い金はショッピング枠で発生することはありません。
しかし、キャッシングは借金という扱いなので、過去に18%以上の金利で借りたことがある場合には過払い金を取り戻すことができることがあります。この過払い金は自分のお金ですので、過払い金が借金よりも多ければ借金をゼロにして手元にお金が戻ってきますし、過払い金の額が借金よりも少なかったとしても借金を減額することはできます。
2010年(平成22年)に出資法の改正があり、2010年以後に過払い金が発生することはなくなりましたが、2010年よりも前に借金したことがある人、特に多くのカード会社が金利を見直した2008年以前に借金をしたことがある人には過払い金が発生する可能性が高いです。
過払い金は最後の返済から10年で時効になり請求できなくなるというリスクがあります。もし2008年以前にキャッシングをしたことがあれば、任意整理するかどうかは別にしても過払い金があるかどうかを確認することをおすすめします。
杉山事務所では過払い金についての相談、調査は無料で行っております。お気軽に無料相談をご利用ください。
任意整理をしたクレジットカードは解約となり、使えなくなりますが、クレジットカード会社は任意整理したことを社内に記録していることもあり(社内ブラック)、同じカード会社ではクレジットカードを発行できない可能性があります。
なお、ETCカードを発行している場合には同時に使えなくなります。
また、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載る、というものです。
クレジットカードを発行する審査には信用情報機関の情報を照会しますので、ブラックリストに載っている間は他のカード会社であっても新規にクレジットカードは発行できないことがありますのでご注意ください。
さらに、任意整理をすることでカードが解約になった場合には、貯まっていたポイントは無効になります。もし任意整理を検討している場合には手続き前にポイントを使い切ることをおすすめします。
クレジットカードも通常の借金同様に任意整理はできますが、クレジットカード特有の注意点もあります。
任意整理をする前に次のことにお気を付けください。
公共料金(水道、電気、ガス)、携帯電話、保険料、インターネット回線利用料など毎月の支払いをカード払いにしている場合には事前に支払い方法を変更する必要があります。
変更しなかった場合にはカード停止により料金未納になり、サービス停止ということが考えられます。
家賃をカード払いにしている場合には特に注意が必要です。家賃がカード払い前提になっていることもあり、カードが使えることが賃貸借契約締結の前提になっている場合にはカードが停止になることを理由に引っ越しをする必要が出てくる可能性もあります。
クレジットカードのショッピングローンを任意整理すると商品を引き上げられる可能性があります。
高価なもの以外は引き上げられないことが通常ですが、家電や家具などはショッピングローンで購入した場合には引き上げられることもあります。
任意整理はどの借金を手続きするかを選ぶことができます。
もし3社に借金があったとしても2社だけを任意整理することは可能です。しかし、カード会社を除外して消費者金融だけ任意整理したとしても、ブラックリストには載ることに変わりはありません。
カードの更新のタイミングにブラックリストに載っていることを理由に更新できない可能性があり、クレジットカードを利用できなくかもしれません。ただし、業界により登録する信用情報機関が異なるのでブラックリストに載ったから必ずカードが使えなくなるというわけではありません。
信用情報は回復するにはおおよそ5年かかるといわれています。任意整理後5年経てばブラックリストからの解除され、クレジットカードを新規に発行できるということです。
信用情報機関には次の3つがありますが、機関により登録される情報や期間が異なりますので任意整理後5年というのは目安としてお考えください。
日本信用情報機構(JICC)は主に消費者金融と信販会社が利用しています。シー・アイ・シー(CIC)は主にクレジットカード会社と信販会社、全国銀行協会は銀行と銀行系カード会社、農協、信用組合、信用金庫などが利用しています。
他の2つとは違い、全国銀行協会は自己破産の官報情報も登録しているというように利用業界、登録情報が異なりますので、任意整理をしたとしても3つすべての機関に事故情報が登録されるわけではなく、全国銀行協会に登録されたとしても、日本信用情報機構(JICC)しか利用しない金融機関の審査には通るということはありえます。
また、シー・アイ・シーの公式ホームページには「特定調停や民事再生の申請および債務整理を依頼した事実に関するコメントは登録されません。CICに登録される信用情報は、消費者と当社の加盟会員であるクレジット会社等とのクレジットやローン取引に係わる申込内容や契約内容、支払状況などの客観的事実に限ります。
」とあります。
このように任意整理をしたからといって必ず信用情報機関に登録されるというわけではありません。
もし自分の信用情報がどうなっているのかが気になる場合には各機関に問い合わせることで調べることも可能です。郵送かインターネット手続きかによって変わりますが、1機関あたり500円~1000円くらいの手数料で開示してもらえます。
任意整理をすることでクレジットカードが使えなくなるのは不便ですが、自分名義でなくともよい場合には家族カードで代替する方法、クレジットカードではないですがデビットカードを使う方法、ETCカードの代わりにETCパーソナルカードを使う方法などがあります。
任意整理をすることでブラックリストに載るのは本人だけです。
信用情報は家族には影響しないので家族のクレジットカードの家族カードであれば発行も利用も可能です。
デビットカードは利用と同時に預金口座の残高から引き落とされるサービスです。
クレジットカードは新規発行の際に審査が必要ですが、デビットカードの場合、借り入れではないので審査なしに発行できるカードです。
クレジットカードのように後払いや分割払いはできませんが、現金を持ち歩かずに支払いをできるという点では便利です。
高速道路会社ネクスコが発行しているのがETCパーソナルカードです。
ETCパーソナルカードはETCカードとは違い、4万円の保証金の預託が必要ですが、ETCカードのように料金は後から口座引き落としができます。ETCカードの発行には審査がありますが、ETCパーソナルカードに審査はありません。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。