これから任意整理をする上でどのぐらい借金を減額できるのかと減額できない場合の対処法を理解することは重要です。
減額できる金額と具体的な事例を把握することで自分が任意整理をした場合にはどの程度減額できるのかイメージを湧かせられます。加えて、思ったよりも減額されないと分かったときには何が起こり得るのかを把握することで、不安を和らげることもできるのです。
実際にいくら減額できるかは和解が成立しないと分かりませんが、弁護士・司法書士が債権者に取引履歴の開示請求をすることである程度の金額を予測し返済パターンを提示します。そこで希望とおりに減額できないと分かれば、別の方法を検討することになるのです。
司法書士法人杉山事務所が任意整理で減額できる借金と減額事例、減額できない場合の対処法をわかりやすく解説します。
任意整理で減額できる借金は、
です。
減額できる借金を知ることで、任意整理で借金が減る仕組みが理解でき自分の場合にはどの程度の金額が減るのかイメージを沸かせられます。
任意整理をすることで利息がカットされます。利息には
があります。
経過利息とは最後の返済日から任意整理の和解成立日までに発生する利息です。一方で、将来利息とは任意整理の和解成立日から借金の完済日までに発生する利息となります。
利率の上限は利息制限法で定められています。
元本 | 上限利率(年利) |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
例えば、100万円の借金を年利15%で3年にかけて自力で返済すると将来利息が24万7934円発生します(経過利息は考慮しない)。
毎月の返済額 | |
---|---|
自力で返済する場合 | 3万4665円(最後の月のみ3万4659円) |
任意整理をする場合 | 2万7777円 |
減少額 | 6888円 |
自力で返済する場合には利息24万7940円分はカットされないので、毎月の返済額は3万4665円(最後の月のみ3万4659円)です。一方で、任意整理をする場合は利息24万7940円分はカットされ元本100万円分の返済になるので、毎月の返済額は2万7777円となります。その減少額は6888円です。
どの利息をどの程度カットするかは債権者によって異なります。将来利息と経過利息両方のカットに応じる債権者もいれば、将来利息のみのカットに応じる債権者もいるのです。
遅延損害金は、返済期日までに返済しなかった場合に遅延期間分だけ発生する損害賠償金です。
遅延損害金は利息よりも利率が高くなることが多いので、借金総額を増加させる大きな要因になります。
クレジットカードを任意整理した場合には、リボ払いや分割払い利用時の手数料をカットできます。
リボ払いとは、毎月の支払い金額が一定になる方法です。一方、分割払いとは1回の支払い金額を何回かに分ける方法となります。
手数料は年利10%~15%程度です。
例えば、クレジットカードで100万円の商品を年率12.5%で6回払いすると手数料は3万6800円となります。12回払いにすると手数料は8万3100円です。
回数 | 手数料 |
---|---|
6回 | 3万6800円 |
12回 | 8万3100円 |
クレジットカードを頻繁に利用する人にとっては毎月の負担が軽くなるので便利である半面、手数料がいくらなのか分からず使っている人がいるのも現状です。任意整理をすることで手数料がカットできるので、借金を大きく減額できます。
任意整理では過払い金があれば借金そのものを減らせたり、完済できたりします。
過払い金とは利息制限法の上限金利を超えた分の利息のことです。
であれば、過払い金を取り戻せる可能性が高くなります。
過払い金の有無や金額は弁護士や司法書士に依頼することで明確になります。
任意整理では、債権者によってどの借金をどの程度減額できるのか異なります。任意整理の減額事例を理解することで、自分の場合にはどの程度減額できて、毎月の返済額の負担を軽くできるのかイメージを湧かせられます。
元本がA社から100万円(年利15%)、B社から30万円(年利18%)で3年間で自力で返済する場合と任意整理の場合にどのぐらい経過利息と将来利息がカットされるのかを解説します(金額はおよそ)。なお、経過利息は90日とします。
借り入れ先 | A社 | B社 |
---|---|---|
経過利息 | 3万6986円 | 1万3315円 |
将来利息 | 24万7934円 | 9万0431円 |
合計 | 28万4920円 | 10万3746円 |
自力での返済の場合は、将来利息が発生するので借金130万円と利息を合わせて3年で160万円以上支払うことになります。一方で任意整理の場合は、経過利息・将来利息合わせて40万円近く減少します。
次に、元本がA社から100万円(年利15%)、B社から30万円(年利18%)で5年間で自力で返済する場合と任意整理の場合にどのぐらい将来利息がカットされるのかを解説します。
借り入れ先 | A社 | B社 |
---|---|---|
経過利息 | 3万6986円 | 1万3315円 |
将来利息 | 24万7934円 | 9万0431円 |
合計 | 28万4920円 | 10万3746円 |
自力での返済の場合は、経過利息はなく将来利息のみが発生するので合計130万円の借金総額は3年で163万8365円です。任意整理をした場合には将来利息33万8365円を減額できます。
次に、元本がA社から100万円(年利15%)、B社から30万円(年利18%)で3年間で自力で返済する場合と任意整理の場合にどのくらい経過利息と将来利息と遅延損害金がカットされるのかを解説します。なお、経過利息は90日とし、遅延損害金は60日で年利20%とします。
借り入れ先 | A社 | B社 |
---|---|---|
経過利息 | 3万6986円 | 1万3315円 |
将来利息 | 24万7934円 | 9万0431円 |
遅延損害金 | 3万2876円 | 9863円 |
合計 | 31万7796円 | 11万3609円 |
自力での返済の場合は、経過利息だけはなく将来利息と遅延損害金が発生するので借金130万円と利息・遅延損害金を合わせると3年で164万円近くになります。任意整理をした場合には経過利息・将来利息・遅延損害金合わせて43万円以上が減額できます。
過払い金が発生していれば借金を減額もしくは完済できます。弁護士・司法書士に任意整理を依頼する際に債権者へ取引履歴の開示請求をすることで、過払い金の有無や金額を把握できるのです。
司法書士法人杉山事務所では過払い金請求の無料相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。