督促状と催告書の違いとは?督促状を無視し続けるとリスクがある

督促状とは、借金の返済や公共料金・税金の支払いを催促する書類です。ただ督促状が届いてもすぐに支払いができず無視したいと考えているかもしれません。

この記事では、

  • 督促状と催告書の違い
  • 督促状が届いたときの正しい対処法
  • 督促状を無視した場合に起きること

などを解説します。

借金の返済や税金の支払いができないという理由で督促状を無視するのは危険です。どのように対処すればよいのか解説します。

過払い金請求でお悩みの方はお気軽に無料相談をご利用下さい。
ご相談や出張無料も無料!杉山事務所へご質問だけでもお気軽にどうぞ!電話で無料相談するメールで相談するお電話は9時~19時まで、メールは24時間いつでも受付!

督促状とは?

期限までに入金がないと督促状が届く
督促状とは返済などが遅れたときに送られてくる書類

督促状とは支払いや返済を催促するための書類で、以下のようなケースで期日までに支払いをしなかった場合に送られてきます。

  • 金融機関などからの借金
  • 税金の支払い
  • 携帯電話の通信費の支払い

督促状が届いても督促状に記載された期限までに支払いをすれば強く責められることはありません。

ただし、貸金業者などから借金やクレジットカードの手数料を何度も延滞し続けると今後の利用を断られる可能性があります。

督促と催告の違いは内容証明

督促状と似た書類に催告書があります。

督促状滞納しているお金の入金を求める内容
催告書滞納しているお金の入金を求めるのに加えて、返済がなければ法的措置に訴える内容

督促状も催告書も利用者に支払いを求めるという意味では変わりません。

ただ、督促状が滞納しているお金の入金を求める内容のみが記載されているのに対し、催告書は法的措置に訴えるという内容が記載されています。

さらに、催告書は内容証明で送ります。内容証明とは誰がいつ誰宛にどんな内容も文書を送ったのか郵便局が証明する郵便です。

催告書には内容証明があるので、利用者は「支払いを求める書類は届いていない」と主張できません。

督促状が送られてくるのはどんな状況?

督促状は滞納した翌日から届く可能性がある書類です。なお、督促は郵便だけでなく電話などで行われることもあります。

そのため、督促状は滞納してから初期の段階で送られてくるケースが多く、何度も督促状を送る貸金業者や公的機関もあります。

ただ、この段階ではまだ裁判に訴えられるわけではないので、差し押さえをされるリスクは低いでしょう。

督促状に記載されている内容とは?

督促状には、差出人や発行日など以外に以下のような内容が記載されています。

表題
  • 督促状
  • 支払いのお願いなど
支払いの詳細
  • 支払っていない金額
  • 返済日
  • 利息や手数料
  • 遅延損害金
入金期限入金をする期限日
振込先振込先の口座番号や名義など
連絡先債権者の連絡先

督促状に記載されている内容に沿って期限までに指定の口座に入金を求められます。

基本的に初回の督促状は柔らかい表現でお願いをする文面がほとんどです。しかし、督促状を何度も無視し続ければ、以下のように厳しい文面が記載されます。

  • 表題に重要や至急などが追加される
  • 再三、至急などの表現が使われる
  • 文章の最後あたりに法的手段に訴えざるを得ないという主旨の文言がある

法的手段のような言葉が記載されていると、早く支払いをしなければ差し押さえをされるリスクが高くなります。

督促状には法的な罰則ははないが時効の完成を中断できる

督促状で時効を中断できる
督促状を送れば時効の完成を中断できる

貸金業者など債権者は債務者に対して借金の返済を求めるために督促状を送ります。ただし、督促状には法的な効果はありません。

しかし、利息や遅延損害金はかかるので延滞し続けるデメリットはあります。

また、督促や取り立てが長期間止まったにもかかわらず、突然貸金業者から督促状が送られることがあります。

その理由は、貸金業者が時効の完成を阻止したいからです。督促状を送れば6か月間時効の完成を中断できます。

たとえば、平成30年5月に借金が時効を迎えるとします。平成30年4月に督促状を送れば同年10月までは時効がカウントされません。

したがって時効を迎えるのは平成30年11月になります。

ただ、6か月経過後は時効の計算が引き続き再開します。また、時効の中断中に何度も督促状を送っても時効の中断期間が延びることはありません。

このように督促状には時効の完成を中断する効果もあるのです。

第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

引用元:民法第150条1項|e-Gov

督促状が届いたときの正しい対処法を解説!

貸金業者から督促状が届いた例をもとに正しい対処法について解説を行います。

  • 督促状に身に覚えがあるか確認する
  • 借金が時効を迎えていないか確認する
  • 期限内に支払いを行う
  • 債権者に連絡して返済期限や支払い方法の交渉をする
  • 司法書士に相談する

対処法を誤れば給料を差し押さえられたり信用情報機関に情報が載ってしまう可能性があります。

督促状に身に覚えがあるか確認する

督促状が届いたら、まず身に覚えがある業者や公的機関からの督促状なのか確認しましょう。

というのも、架空請求のように契約自体が存在しないのにお金を支払わせようとする業者も存在するからです。

また、架空請求で送られてくる督促状にはあたかも裁判所から送られてきた通知のような文面で記載されていることがあります。

なお、身に覚えがないから直接業者に連絡しようと考えるかもしれませんが危険な行為です。

なぜなら、架空請求だった場合、業者に個人情報を知られるリスクがあるからです。身に覚えがないのであれば消費生活センターや司法書士などに相談をするのをおすすめします。

借金が時効を迎えていないか確認する

督促状が届いても借金が時効を迎えているケースでは借金を返済する必要がありません。

借り入れ先時効期間
消費者金融やクレジットカード会社5年
銀行5年
信用金庫10年
奨学金10年

たとえば、貸金業者から借金をした際の時効は最後の返済日から5年間です。しかし、時効期間を過ぎたという理由では借金の時効は完成しません。

貸金業者など債権者に対して「時効が完成したので借金の返済義務がなくなっている」と宣言する必要があります。

このことを時効の援用と呼び、手続きをすれば借金の時効が完成し返済する義務がなくなるのです。

期限内に返済を行う

督促状が正式なもので借金も時効を迎えていないのであれば、記載された期限内に返済を行います。

特に、貸金業者からの延滞期間中は利息や遅延損害金が膨らんでいるため、延滞し続けるほど借金の負担が難しくなります。早めの対処が必要です。

貸金業者に連絡して返済期限や返済方法の交渉をする

期限内に返済ができないケースや返済方法を分割にしたい場合は貸金業者への連絡をおすすめします。

期日までに連絡をすれば交渉に応じてくれる可能性があります。

他方、督促を何度も無視し続けてしまうと、次第に貸金業者も厳しい対応を取るようになるので注意が必要です。

司法書士に相談する

借金の返済が難しいという理由で督促状を無視せざるを得ない方もいるかもしれません。返済が難しいのであれば、司法書士に相談して債務整理を行うことも視野にいれましょう。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

債務整理をすれば毎月の返済額を減らしたり借金を減額できます。

貸金業者からの督促状を無視した場合の流れ

何度か督促状が届いた後に一括請求が来る。その後は裁判所からの通知が届き、差し押さえに入ることになる。
貸金業者からの督促状を無視した場合の流れ

借金の返済が難しいという理由で貸金業者からの督促状を無視していませんか?

ただ、督促状を無視すれば最終的に給料や財産などを差し押さえされる可能性があります。

  • 何度か督促状が届く
  • 催告書が届く
  • 一括請求をされる
  • 裁判所を通して訴状や支払督促が届く
  • 無視し続けると差し押さえを受ける

何度か督促状が届く

督促状を無視した場合も債権者からは何度か督促状が届きます。また督促状ではなく電話で督促をされることもあります。

催告書が届く

督促を無視し続けると催告書が届きます。催告書には支払いをしなければ法的手段に訴えるといった内容が記載されています。

そのため、すぐに対処しなければなりません。

一括請求をされる

督促状や催告書を無視し続けた場合、貸金業者から一括請求をされます。一括請求をされると最後通告に近いです。

早急に対処しなければ法的手段に訴えられます。

裁判所を通して訴状や支払督促が届く

催告書も無視をすると裁判所を通して訴状や支払督促の書類が特別送達郵便で届きます。

特別送達郵便は直接自宅で受け取る書類なので、他の書類のように自宅の郵便受けに入れられることはありません。

訴状や支払督促を受け取らない場合でも、発送の時点で送達があったと見なされるので注意しましょう。
訴状や支払督促を受け取らなくても裁判の手続きは進むため、何らかの対処をしなければなりません。

第百七条 前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第三項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。

3 前二項の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その発送の時に、送達があったものとみなす。

引用元:民事訴訟法第107条より一部抜粋|e-Gov

届いた書類が訴状・支払督促のどちらかで対処法は異なります。

書類の種類対処法
訴状答弁書を提出した上で裁判所で行われる債権者との話し合いに出席する
支払督促2週間以内に異議申し立てを行った後に、裁判所で話し合いを行う

ただ、異議申し立てや答弁書の作成の方法がわからない場合や書類提出後に債権者との話し合いに出席が難しい場合も想定されます。

裁判所からの訴状や支払督促が届いた段階で司法書士に相談すれば代行可能です。

無視し続けると差し押さえを受ける

裁判所から届いた訴状や支払督促を無視した場合は手続きが進み、裁判所から仮執行宣言が出ます。

そして、仮執行宣言後に給料や財産などが差し押さえられるのです。このように督促状を無視するのは危険なので差し押さえをされる前に対処する必要があります。

税金の滞納は差し押さえまでの期限が短い

税金の滞納は、貸金業者などからの借金よりも差し押さえをされるまでの期限が短いことがほとんどです。

税金の種類督促状発行から差し押さえまでの期限
国税60日
地方税30日

国税は納税期限から50日、地方税は納付期限から20日で督促状が届きます。さらに10日以内に支払いをしなければ、差し押さえをされる可能性が高くなるのです。

貸金業者から借金をした場合に差し押さえをされるのは滞納後3か月前後なので、借金よりも期限が短くなる可能性があります。

第三十七条 

2 前項の督促状は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その国税の納期限から五十日以内に発するものとする。

引用元:国税通則第37条|e-Gov

第三百二十九条 納税者(特別徴収の方法によつて市町村民税を徴収される納税者を除く。以下本款において同様とする。)又は特別徴収義務者が納期限(第三百二十一条の十一又は第三百二十八条の九の規定による更正又は決定があつた場合においては、不足税額又は不足金額の納期限をいい、納期限の延長があつたときは、その延長された納期限とする。以下市町村民税について同様とする。)までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しない場合においては、市町村の徴税吏員は、納期限後二十日以内に、督促状を発しなければならない。但し、繰上徴収をする場合においては、この限りでない。

引用元:地方税法第329条|e-Gov

第四十七条 次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。

一 滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。

引用元:国税徴収法第47条|e-Gov

返済が難しい場合は悩まずに債務整理や過払い金請求をした方が良い

借金の返済が難しい場合は一人で悩む必要はありません。債務整理や過払い金請求をしましょう。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

債務整理をすれば返済負担を減らせる

借金を返済する意思はあるけど毎月の返済額が多すぎるのであれば、任意整理を検討します。任意整理をすれば返済期間を3年〜5年に延ばせるため毎月の返済が楽になるでしょう。

借金を減額したいけど自宅を処分したくない場合は個人再生を行います。個人再生は裁判所を通して借金の大幅な減額ができます。

たとえば500万円の借金がある場合は、返済額を5分の1に減らせるのです。

借金を全額支払えないケースでは自己破産を検討します。自己破産を行えば借金全額の返済が免除されます。

個人再生や自己破産は差し押さえをされた後でも手続きができる

訴状や支払督促などを無視した結果、以下のような事態に陥っても個人再生や自己破産であれば差し押さえを止められます。

  • 裁判所から仮執行宣言がされており、いつ差し押さえされてもおかしくない状況
  • すでに差し押さえをされている

なぜなら、個人再生は民事再生法第39条、自己破産は破産法第239条により手続き後に差し押さえなどの強制執行を止められるからです。

第三十九条 再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等若しくは再生債権に基づく外国租税滞納処分又は再生債権に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができず、破産手続、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく外国租税滞納処分並びに再生債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。

引用元:民事再生法第39条1項

第二百四十九条 免責許可の申立てがあり、かつ、第二百十六条第一項の規定による破産手続廃止の決定、第二百十七条第一項の規定による破産手続廃止の決定の確定又は第二百二十条第一項の規定による破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは外国租税滞納処分若しくは破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(以下この条において「破産債権に基づく強制執行等」という。)、破産債権に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立て又は破産者の財産に対する破産債権に基づく国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く。)はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分で破産者の財産に対して既にされているもの並びに破産者について既にされている破産債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止する。

2 免責許可の決定が確定したときは、前項の規定により中止した破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分並びに破産債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は、その効力を失う。

引用元:破産法第249条1項および2項

ただし、任意整理については法律で定められた手続きではありません。

したがって、督促状が届いた時点ならまだしも、差し押さえがされそうな段階では債権者が交渉に応じてくれないケースもあり難しいでしょう。

いずれにしても、督促状が届いた時点で司法書士に早く相談するのをおすすめします。

返済期間が長ければ過払い金が発生しているかも

返済期間が長いケースでは過払い金が発生している可能性もあります。過払い金は年15%〜20%を超える金利で借金をしたことがあるケースで発生します。

そして、過払い金請求を行った事例では借金を超える過払い金があるケースも珍しくありません。

司法書士に債務整理の相談をすると、事前に過払い金が発生しているか確認を行います。

借金の返済ができず督促や取り立てなどに悩んでいるのであれば、早めに司法書士に相談しましょう。

おわりに

督促状は借金などを滞納してすぐに送られてくる書類です。督促状自体には支払い義務が発生しません。

しかし、無視し続けると給料や財産を差し押さえされる可能性が高いです。

そのため、借金をすぐに返済できない場合も一度司法書士への相談をおすすめします。債務整理の相談をした結果、過払い金があることがわかるケースもよくあります。

司法書士法人杉山事務所では過払い金の相談実績が豊富で、相談を無料で承っています。お気軽にお問い合わせください。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

債務整理の基礎知識へ戻る