自己破産を検討している人は、当然、自己破産の手続きにどのくらいの期間がかかるのかは気になるところです。
自己破産には財産があるかないかで管財事件になるか、同時廃止事件になるかが変わりますので、どの程度の期間を要するのかは決まっていません。しかし、財産がない同時廃止の場合には6か月、財産がある場合で管財事件になった場合でも1年程度が目安で自己破産は完了します。
自己破産の手続きにおいて、どの段階でどのくらいの時間を要するのか、職業制限の期間、信用情報が回復するまでの期間などを解説いたします。
自己破産の手続き期間は保有財産、借金原因や管轄する裁判所によって大きくことなります。しかし、おおよその目安では半年~1年程度で自己破産手続きは終わり、借金がなくなります。
大きく分けると次のように裁判所に申し立てる前に半年、申し立て後に半年の期間を要します。
自己破産は非常に面倒な書類集めと書類作成がありますので、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。
弁護士事務所や司法書士事務所に相談後、依頼が決まると事務所から債権者(貸金業者)に受任通知を送ります。この受任通知が債権者の届いた時点で債権者からの連絡や督促がストップします。
専門家に依頼してもすぐに裁判所に申し立てることはできません。自己破産は破産法という法律に基づいき裁判所を通して借金をゼロにして貰う手続きです。裁判所での審査に通るだけの資料を集め、借金を返済できなくなったという状況をまとめた資料を作らなければなりません。
一般的に必要な書類を集め、資料を作成するのに半年程度掛かりますが、書類を早く集めた場合には2ヶ月程度で申し立てができることもありますし、事情により時間がかかる場合には申し立てまでに1年ほどかかることもあります。
自己破産ではどの程度の財産があるのかを調査し、一覧表を使わなければなりません。財産がある場合には関連する資料や査定書などが必要です。数年以内に処分した財産があれば売買契約書や領収書など処分したことが分かる書類も必要になることがあります。
さらに、借金の原因を調査するための資料が必要になることがあります。
状況や手続きによって必要書類は多少異なりますが、大まかな資料は次の通りです。
自己破産では原則的には破産管財人が選ばれる管財事件になります。破産管財人は破産を申し立てた人の財産を把握し、借金の原因を調査後、財産を換価し債権者への配当を行う担当者です。この破産管財人の意見を元に裁判所は借金を免責すべきかどうかを判断します。
裁判所に申し立て後、破産管財人が選任されると裁判所から破産手続き開始決定が出されます。申し立てから破産手続き開始決定までの期間は約1ヶ月です。
破産手続き開始決定が出ると破産管財人による調査も開始され、第1回債権者集会で報告を行います。開始決定から第1回債権者集会までの期間は2ヶ月から3ヶ月程度が多いですが、案件により大きく変わります。この間に破産管財人との面談も行います。
第1回目の債権者集会で調査が完了し債権者に配当するお金があれば配当手続きに移ります。配当を行う場合には1ヶ月~2ヶ月程度かかりますが、配当がなければそこで終了です。調査が完了していない場合には第2回目の債権者集会の日程が設定されます。
債権者集会が終わると1週間程度で裁判所から免責許可が出ますので、借金の返済義務がなくなります。
自己破産は原則として管財事件になると上述していますが、財産がない場合には管財人による調査が必要ありませんので、同時廃止という手続きを利用できることがあります。同時廃止になると破産手続きの開始と同時に手続きが終了します。裁判所により対応は変わりますが、裁判所に一度も行かずに手続きが終わることもあります。
同時廃止の場合、自己破産を申し立ててから同時廃止の開始決定まで1ヶ月程度の期間を要します。管財事件とは違い、管財人の選任・面談・財産調査、債権者集会がありませんので管財事件よりも早く終わるのが同時廃止です。
なお、財産がない場合であっても借金の原因がギャンブルや浪費などの免責不許可事由にあたる場合には免責許可を出すべきかどうかを判断するために管財事件になり、破産管財人により調査が行われることもあります。
自己破産の流れは弁護士や司法書士に相談するところから始まります。必要書類を揃え、提出書類が揃ったら裁判所への申し立てを行います。おおよそですが、申し立てるまでに6か月、申し立てた後に免責される(借金がなくなる)まで6か月程度の時間がかかります。
自己破産の大まかな流れは次の通りです。
まずは弁護士や司法書士を探すところから始まります。知人に聞くのもよいですが、インターネットで検索することでも地元の事務所を探すことは可能です。
専門家を探す際には、自己破産に詳しいかどうか、費用は明確かどうか、家から通いやすいかどうかなどの点を注意して探しましょう。
事務所に連絡して、面談後に信用ができる場合には自己破産を依頼しましょう。
面談の際には自己破産を行う際のデメリット、自己破産後にはどうなるのか、手続きの流れ、実際にかかる費用などを確認しましょう。
なお、弁護士や司法書士に依頼した場合には債権者からの連絡は止まり、返済はストップします。(自分で自己破産をしようと思った場合には督促や支払いは止まりません。)
依頼すると弁護士や司法書士から必要になる書類を集めるよう指示があります。住民票、通帳の利用履歴、給与明細などは比較的簡単に集まりますが、財産がある場合には財産を持っていることが分かる書類(保険証券、車検証、査定書など)が必要です。
必要な書類はケースバイケースで異なりますので、具体的にどこで書類が取得できるのかまで確認するようにしましょう。
自己破産の依頼費用(着手金など)はこの際に支払いますが、多くの事務所では分割払いを受け付けています。返済が止まった分は依頼費用に回しましょう。
裁判所に書類を提出することで自己破産を申し立てることができます。
書類集めは大変ですが、弁護士や司法書士の指示通りに進めていれば提出書類に問題が起きることはほとんどありません。場合によっては裁判所から不足書類の追加の指示が出ることもありますが、書類がそろっていれば手続きは進みます。
自己破産の申し立て後、裁判官と面談することを破産審尋といいます。破産審尋は10分~30分程度とあまり時間はかかりませんが、裁判所で行いますので平日の日中に行く必要があります。ここで提出した書類にいて聞かれることになります。
破産審尋にて借金返済ができないと判断されれば破産手続き開始決定がでます。そして、財産がなくあ債権の調査も必要ないと判断されれば、同時廃止決定が出されます。
免責審尋でも破産審尋同様、裁判官と面談を行います。免責を申し立てる理由を聞かれますが、多くの場合には複数の自己破産申立人と一緒に裁判官の話を聞くだけで終わります。
自己破産の手続きが終われば、免責決定がおりますので、借金の返済義務がなくなります。
自己破産を申し立ててから免責がおりるまでの期間はおおよそ6か月です。
自己破産の手続きは裁判所を通す関係でどうしても時間がかかります。しかし、自己破産を申し立てるまでの約半年は書類集めですので自分の努力により手続き期間を早めることができます。
また、裁判所によっては手続き期間を短くすることもできますので、一例をご紹介いたします。
自己破産では必要書類集めが非常に重要です。書類が集まらなければ自己破産の申し立てができませんし、申し立てた後にも裁判所から追加書類を求められた際に書類を集めないと手続きは終わりません。
書類を集めたとしても必要事項が抜けているために取得しなおしになることもありますので、自己破産の必要書類は事前に弁護士や司法書士に確認し、正確に素早く集めることで自己破産の期間を短くすることができます。
東京地方裁判所や横浜地方裁判所では即日面接制度(早期面接制度)があります。これは、弁護士が代理人として自己破産の申し立てを行った場合、裁判官が弁護士と面接をするだけで破産手続開始決定をするかどうかを判断する制度です。
即日面接制度を利用すると申し立てから3日以内に弁護士と裁判官が面談を行い、短期間で自己破産を終結させる手続きです。
原則としては、申し立てから2ヶ月後に第1回目の債権者集会が設定され、ここまでに調査を終了させることで自己破産を短期間で終結することが可能です。
自己破産の即日面接制度は弁護士に依頼した場合にだけ利用できる制度ですので、この点は弁護士に依頼するメリットといえますが、自己破産は多くの場合は管財事件ではなく同時廃止手続きにより終結しますので、自分が管財事件になるかどうかで利用すべきかどうかが分かれます。また、弁護士と司法書士を比較すると司法書士の方が費用が安くなる点は司法書士のメリットといえます。
では、反対に自己破産の期間が長くなるのはどういった場合でしょうか。
自己破産に時間がかかるのは書類集めに時間がかかる場合はもちろんですが、複雑な管財事件である場合や債権者の同意が得られない場合などが挙げられます。
自己破産の期間に時間がかかる理由の1つは申し立て前の必要書類集めに時間がかかる場合です。
自己破産の必要書類は多く、集めるのに時間がかかりますが、中には有効期限があるものや自分のペースでは取得できないものがあります。
例えば、住民票の有効期限は発行後3ヶ月ですので、最初に取得してしまうと後から取得しなおす必要があるかもしれませんし、給与明細は2ヶ月分~3か月分必要であり、自分のペースで取得することはできません。
書類集めに時間がかかるとそれだけ申し立ても遅くなりますので、司法書士や弁護士に相談の上、できるだけ早く書類を集める必要があります。
管財事件では破産管財人が選任され、財産の調査後に換価手続きが必要です。不動産を持っている場合には売却までに時間がかかりますし、想定外に調査に時間がかかることもあります。
財産の換価に時間がかかる場合には、自己破産に1年以上かかるということもあります。
自己破産では債権者が免責についての意見を出すことができます。多くの貸金業者では自己破産が申し立てられた場合に免責の反対意見を出すことはほとんどありません。しかし、個人の債権者がいる場合には自分の利益を守るために免責にすべきではないという意見を出してくることがあります。
免責の反対意見が出た場合には主張と反論を繰り返す必要がありますので自己破産にかかる期間が延びます。
さらに、免責決定に対して債権者から「即時抗告」という不服申し立てをされることがあります。地方裁判所で免責が決定されても不服申し立てがある場合には高等裁判所に審理が移りますので、期間が長引きます。
自己破産を行うと信用情報機関に事故情報が登録されます。これがいわゆるブラックリストに載るという状態です。
さらに、自己破産手続き中は特定の職業には就けません。就業できないのは自己破産手続き中ですので制限は一時的ですが、休業するか、一時的に辞めるかの必要があります。
自己破産をするとブラックリストに載ることになります。しかし、実際にブラックリストというリストがあるわけではなく、自己破産をしたという情報が信用情報機関に登録されることにより、クレジットカードやローンなどの審査が通らないことをブラックリストと呼んでいるにすぎません。
信用情報機関にはシー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行協会(KSC)の3つがあり、信用情報が回復するまでの期間はおおよそ7年~10年程度が必要といわれています。
シー・アイ・シー(CIC)はクレジットカード会社や貸金業者が多く加盟している信用情報機関です。特にクレジットカード業務をおこなう信販会社は必ずCICに加盟しています。
そのため、もしクレジットカードを新規で作る場合にはCICの信用情報を照会していることになります。
自己破産の場合、CICでは事故情報の保有期間は5年です。そのためCICに関しては、自己破産から5年以上が経過すれば、信用情報は回復します。
日本信用情報機構(JICC)は貸金業法で指定されている信用情報機関です。そのため、消費者金融は必ずCICかJICC、もしくは両方に加盟していることになります。
JICCでも事故情報の保有期間は5年とされています。つまり、CICとJICCの両方に加盟している消費者金融であっても、5年を経過すれば借り入れができる可能性があります。
全国銀行協会(KSC)は全国の銀行や銀行の系列が加盟しています。消費者金融の場合にはKSCは紹介されないこともありますが、住宅ローンなど銀行からのローンを組む場合にはKSCの情報を照会されるはずです。
KSCは官報のデータを10年保管していますので、10年経たなければKSCの信用情報は回復しません。
自己破産をすると、手続きの期間中は就業できない職業があります。弁護士、宅地建物取引業者、質屋、古物商、警備員、保険代理人などが該当します。法律上、これらの職業には就けませんので、一時的に仕事を辞めるか、別の仕事に切り替える必要があります。ただし、制限を受けるのは破産手続きの開始決定から免責許可の確定するまでなので、3ヶ月~6か月程度が一般的です。
前述していますが、東京地方裁判所や横浜地方裁判所では即日面接制度(早期面接制度)があります。この制度は弁護士が利用できる制度ですので、この制度が利用できる場合には司法書士よりも弁護士の方が自己破産の期間が短くなることがあります。
ただし、ほとんどの場合、自己破産は同時廃止になりますので、即日面接制度を使う必要があるのかは状況次第です。
詳細を確認するためにも一度弁護士や司法書士に相談することをおすすめいたします。
杉山事務所に依頼した場合の自己破産の費用は次の通りです。
手続き費用 | |
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価格 | 440,000円(税込) |
備考 | 非事業者の場合 |
※依頼者が個人事業主の場合、別途ご相談 (事業規模等により金額を決定します。)
※保管金、印紙代等の実費が別途必要となります。
※破産管財人が選任された場合、別途予納金が必要となります。
※回収した過払い金については別途、成功報酬が発生いたします。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。