自己破産するとどうなるのか?自己破産後に起きる30のこと

自己破産という言葉を知っていても具体的な内容は知らない人がほとんどです。借金返済に困っている方で気になるのは「自己破産をするとどうなるか」です。

そこで、自己破産をするとどうなるのかを一覧にしております。自己破産には誤解が多く、デメリットが強くイメージにあるようにも思えますが、実際には非常に大きなメリットを持つ救済制度です。ご一読の上、ご不明点はお問い合わせください。

自己破産するとどうなるのか一覧

借金はどうなる?

自己破産をすると借金は免責となりますので、手続きが終わった時点で支払う必要がなくなります。借金がすべてなくなるのが自己破産の最大のメリットです。

ただし、自己破産で免責されるのは借金だけですので、支払い義務が残るものがあります。

支払い義務が残るものとしては次のようなものがあります。

  • 税金
  • 罰金
  • 社会保険料
  • 損害賠償
  • 養育費

借金はすべてなくなりますが、状況次第では支払いが残ることがあります。

奨学金はどうなる?

奨学金は借金なので免責となります。つまり、自己破産をすると奨学金は返済しなくてよくなります。

ただし、保証人と連帯保証人がついていることがほとんどです。そのため、連帯保証人と保証人に一括請求がいくことになります。実際に一括返済するか分割返済するかは保証人の交渉次第ですが、保証人に支払い義務が残ります。

養育費はどうなる?

養育費の支払いは借金ではないので、自己破産をしても支払いは継続する必要あります。

養育費をもらう側が自己破産した場合には半分はもらえなくなることがありますが、「自由財産の拡張」により養育費は全額受け取ることができることがほとんどです。

取り立てはどうなる?

自己破産により借金がなくなるので取り立てはなくなります。

弁護士や司法書士が受任した段階で(受任通知を送った段階で)貸金業者からの取り立ては止まり、自己破産手続き開始をすると訴訟提起や強制執行をされることもなくなります。

訴えられている場合、どうなる?

自己破産の手続きが開始されると訴訟は中断となります。ただし、中断するのは破産債権に関するものです。自由財産に関するものや、その他の裁判は中断されません。

何が自由財産かどうかは裁判所によって異なることがありますので詳細はご相談ください。

差し押さえはどうなる?

自己破産の手続きが開始されると、既に強制執行されている場合であっても効力を失い、差し押さえは取り消されるされることになります。

給料の差し押さえがあったとしても破産後は停止または取り消されることになるので給料は受け取ることができます。

ブラックリストに載る

自己破産をすると信用上情報機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載ることになり、ブラックリストに載る結果、新規借り入れ、クレジットカードの発行、住宅ローンや自動車ローンが組めなくなるなどの影響が出てきます。

信用情報機関を照会する審査には基本通らなくなるので、携帯電話の分割支払いもできなくなるので注意が必要です。

ただし、一生ブラックリストに載るというわけではなく、自己破産の場合には約10年が経過すると解除されます。

また、ブラックリストに載っている状態で審査をしたとしても100%審査に通らないというわけではなく、各社それぞれの審査を行いますので絶対にお金が借りられない、カードが作れない、ローンが組めないとは言い切れません。審査に通る可能性はあるが、落ちることが多いとお考えください。

部屋は借りられる

自己破産をすると賃貸物件を借りることができなくなるというのは自己破産の誤解です。自己破産と賃貸借契約締結時の審査は全く別問題ですので、自己破産をしたとしても部屋を借りることはできます。

ただし、審査の際に信用情報を照会する場合には審査に影響しますので、信販系の家賃保証会社(オリエントコーポレーション、セゾン、エポスカードなど)を使う場合にはブラックリストに載っていることが原因で部屋が借りられないということがあります。

ブラックリストに載っている場合には不動産屋に相談し、信販系以外の家賃保証会社を使うか、家賃保証会社を使わずに連帯保証人で契約するという方法もあります。

財産はすべて処分される?

自己破産をしてもすべての財産が処分されるわけではありません。財産が処分されてしまい生活ができなくなるということはまずありまえない話で、99万円以下の現金や20万円以下の財産は手元に残ります。

自宅や自動車は処分されると思われがちですが、処分されるのは20万円が1つの基準になりますので、処分見込額が20万円以下の自動車は処分されません。逆に20万円以下であっても日常生活に必要と認められない場合には処分されることもあります。とはいえ、高価なものは手放す覚悟は必要です。

預金口座は解約になる?

銀行に預けているお金を引きだす権利(預金払戻請求権といいます)は基本的には処分対象ですので解約されるのが原則です。

しかし、20万円以下の預金は自由財産として扱われるため処分されないことがあります。自由財産として扱うかどうかは裁判所によって変わってきますので処分されるとも処分されないとも断言はできません。

自己破産後でも預金口座を新規で作ることは可能です。

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自宅はどうなる?

持ち家の場合には処分されることになります。

自宅の価値や状況次第では処分されないことはありえますが、自己破産をして自宅を残すことはできないとお考えください。原則、自己破産をして自宅を残せることはありません。

敷金はどうなる?

敷金とは部屋を借りる際に賃貸人に預けているお金です。敷金は賃貸借契約解約の際に戻ってくる前提のお金ですので、敷金を回収するために賃貸借契約を解約にするということはあります。

ただし、裁判所によって対応が変わりますので一概にはいえません。

車はどうなる?

所有している自動車は財産なので処分されるのが前提です。ただし、査定額が20万円以下の場合の自動車は残せることもありえます。自動車ローンが残っていて、所有権留保がついている場合には自動車が引き上げられてしまうこともありえます。

所有者留保というのは、ローンを組んだ際に書面を交わしている場合にはローンを完済するまで所有権はローン会社にあるという制度です。所有権はローン会社にありますので、自己破産をすると支払いができないことを理由にローン会社に持っていかれてしまうということです。

生命保険はどうなる?

積み立てた保険料は解約時に解約返戻金として戻ってくることがあります。この返戻金も財産なので回収するために保険を解約になることがあります。

返戻金が20万円以下の場合には自由財産と判断されて処分されないこともありますが、裁判所の判断によります。

給料はどうなる?

法的には給料は4分の3は差し押さえ禁止ですので、自己破産をすることで給料の4分の1は回収される可能性はあります。

しかし、事実上、給料は自由財産扱いになることが多く、給料は全て自分で受け取れることが多いです。ただし、給料の額が高額な場合には回収されることはあります。

退職金はどうなる?

退職金は処分対象です。自己破産手続き開始の時点で退職したとして、いくらもらえるかが基準で、もらえる金額の4分の1を納める必要があります。ただし、納める割合は裁判所によって異なります。

退職金が少額な場合には納める必要がないこともあります。

年金はどうなる?

国民年金、厚生年金は差し押さえ禁止ですので自己破産をしても処分されることはありません。従来通りに受け取ることができます。

また、自己破産をすると将来年金を受け取ることができないという誤解がありますが、影響はありませんので受け取ることはできます。

仕事はどうなる?

自己破産には一部の職業制限があります。そのため、自己破産手続き中は弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、弁理士、公証人、宅地建物取引業者、証券会社外交員、質屋、古物商、風俗営業者、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、建設業者、後見人などの業務を行うことはできません。

ただし、自己破産の手続きが完了すれば復帰できますので、仕事が制限されるのは数か月間です。

会社の取締役だった場合には解任となりますが、自己破産後に再任することは可能です。

選挙権はどうなる?

自己破産をしても選挙権には影響しません。選挙で投票することも選挙に出ることも可能です。

引っ越しも旅行もできなくなる?

手続き中は裁判所の許可なく居住地を離れることはできません。しかし、裁判所の許可があれば引っ越しは可能ですし、通常は許可がもらえないことはありません。「引っ越しができないことがある」というのは本当ですが、引っ越しは可能です。

「居住地を離れる」には出張や旅行も含まれますが、やはり裁判所から許可がもらえないということは少なく、ほとんどの場合で出張や旅行はできます。

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官報に載る

「破産手続き開始決定がされたとき」と「免責許可決定がされたとき」の2回、氏名と住所が官報に載ります。

通常、官報を読んでいる人はいませんが、特定の業種の方は頻繁に目を通す広報誌です。闇金などは官報をチェックし、「自己破産してもお金を借りることができる」という内容のダイレクトメールを自宅に送ってくるということをしますので、自己破産後の郵送物にはご注意ください。

保証人への影響は?

自己破産で免責となるのは破産者本人のみです。そのため、破産者は借金が免除されますが、保証人の支払い義務は残ったままであるため、保証人に借金の一括支払いが届くことがあります。一括で返済するか分割で返済するかは保証人と債権者の交渉次第ですが、保証人に迷惑がかかることは間違いありません。

任意整理とは違い、自己破産の場合には保証人がついている借金を除外するということはできませんので、自己破産手続きの前に保証人にもご相談ください。

家族への影響は?

自己破産をすると裁判所、債権者、破産管財人からの通知などで家族にバレることがあります。自宅や自動車なども所有物は処分されますし、賃貸であっても引っ越しが必要なこともあります。

家族の協力は必要不可欠ですので、家族に内緒で借金をしていた場合であっても自己破産の時には予めご相談ください。

自己破産により直接の影響を受けるのは破産者本人だけです。家族の財産が処分されることはありません。しかし、家族の財産であっても資金を提供したのが破産者本人だった場合(夫が破産者で妻名義の自動車だが支払いは夫だったとき、子供の預金通帳のお金を夫の給料から出したとき等)には処分される可能性はあります。

また、自己破産によりブラックリストに載ります。借り入れ、カード、ローンなどに影響しますので、自宅や自動車を購入する際や教育ローンを組みたいという時に破産者ではなく、配偶者の名義で借り入れやローンを組まなければならないなどの間接的な影響はあります。

職場に知られるか?

自己破産をしても職場に知られることはありません。しかし、勤務先からお金を借りている場合には、勤務先に通知が届きますし、自己破産の際の書類(退職金見込証明書など)は通常は必要のない書類ですので、必要な理由を聞かれ、自己破産のことを疑われる可能性はあります。

自己破産の誤解で「自己破産をしたら会社をクビになる」というものがありますが、自己破産をすることで会社を解雇されたということがあれば明らかな不当解雇です。自己破産により解雇されることはありません。

住民票や戸籍には載らない

自己破産をすると住民票や戸籍に載る、というのはよくある誤解です。自己破産をしても住民票や戸籍には載りません。

本籍地の破産者名簿には載ることはありますが、破産者名簿に載るのは自己破産ができなかった場合に限ります。

「2017年破産事件及び個人再生事件記録調査(日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会)」によると、自己破産は96.77%できています。自己破産ができないのは3.23%ですので破産者名簿に載ることはまずありません。

仮に破産者名簿に名前が載ったとしても破産者名簿は一般公開されておらず、役所に「身分証明書」を発行する際に役所が参照する資料です。身分証明書は被後見人でないこと、破産した人でないことを証明する書面なのでよほどのことがない限り「破産した人でない」という情報は必要ありませんし、身分証明書を発行することはありません。

生活保護はどうなる?

生活保護を受給中でも自己破産は可能です。

生活保護は最低限の生活に必要な費用を税金で支払っているわけですから、借金返済をする余裕はないはずです。その意味では生活保護を受けている場合には自己破産は有効な手段です。

また、過去に自己破産をしていたとしても生活保護にはなんら影響しませんので、新規に生活保護を受給することも可能です。

自営業はどうなる?

自己破産と自営業には関係がありません。自己破産したからといって廃業する必要はありませんが、事業で使っている備品は処分されることがあり、結果的に自己破産することにより廃業するということはありえます。

もう1度自己破産はできる?

1度自己破産をすると原則、7年間は自己破産ができません。しかし、1度借金を自己破産により清算していることで債権者に迷惑が掛かっていることは間違いありませんので2回目、3回目の自己破産は望ましいことではありません。

連帯保証人になれない?

自己破産をしても保証人になることはできます。

ただし、保証人になる審査の際に信用情報機関に照会をする場合には保証人になれないことがあります。

スマホはどうなる?

通常、携帯電話やスマートフォンは生活必需品と判断されます。しかし、購入時に分割払いをしている場合、債権として扱われることがあります。債権ということは携帯電話が解約されて利用できなくなるということが起こりえます。

具体的には、借金の保証人になろうとしてもブラックリストに載っている場合には保証人になれません。しかし、賃貸借契約の保証人であれば信用情報機関には照会をしないのが一般的ですので保証人になれます。

ただし、この場合も信販系の家賃保証会社を使う場合にはブラックリストになっている人は保証人になれません。

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自己破産の誤解はなぜ起きる?

自己破産には誤解が多くあります。

これは自己破産という制度は聞いたことがあっても実際に破産したことはない人が多く、自己破産の経験者も自身の経験を積極的に出すことは少ないために誤った情報が出回ったのだと考えられます。

自己破産には確かにデメリットがありますが、例えば一部の職業制限があるために一時的に休職したことという情報がインターネットで「自己破産で仕事をやめた」、「破産したら仕事を続けられなくなった」と受け取られた可能性や自己破産手続き中は裁判所の許可なしには居住地を変えられない(比較的簡単に許可は取れます)ということを「引っ越しできない」、「海外に旅行できない」と受け取られた可能性があります。

自己破産をしても大きな影響はない?

そもそも自己破産は借金の返済ができない人への救済措置であって、自己破産後に生活ができないようでは本末転倒です。

細かいことでは様々な影響を受け、制約があるのは間違いありませんが、自己破産をしたからといって生活に大きな影響はありません。

年金、生活保護、選挙権のような基本的な権利はすべて守られますし、住民票や戸籍には載りません。官報には載りますが、官報が原因で自己破産が周囲にバレることはまずありませんし、自己破産が原因で仕事を休むということも一部の職業以外はありません。

自己破産により家族や保証人に影響があるのは間違いありませんし、ブラックリストに載ることで多少の不便はありますが、そこに目をつぶれば非常に大きなメリットがあるのが自己破産です。

何より、自己破産を検討しているということは返済に目途がついていない、返済不能な状態なわけなので早めに弁護士や司法書士にご相談ください。

自己破産後の生活費はどうなるか?

まず、自己破産をすると財産をすべて失うというのは誤った情報です。99万円以下の現金は手元に残りますし、ほとんどの場合で仕事を辞める必要もありません。給料も満額入ってきますので自己破産をしたことで特別にお金に困るということはないはずです。

また、一定以上の価値がある財産は失いますが、基準は厳禁にした時に20万円以上かどうかです。売却した時に20万円未満の財産は手元に残すことができます。購入時の価格が20万円以上であっても売却すると20万円未満ということは非常に多く、自宅と自動車以外の財産にはほとんど影響ないこともあります。

携帯電話や賃貸住宅の契約もできる

自己破産をすると携帯電話を持てないし、部屋も借りられなくなるという誤った情報がありますがそんなことはありません。

自己破産をした時に分割払いの支払い中の携帯電話があれば引きあげられることはありますが、一括購入した携帯電話や既に支払い済みの携帯電話であれば手元に残ります。もちろん自己破産後に携帯電話を購入することもできます。

自己破産すると部屋を借りられなくなるということもありません。不動産会社や家主は信用情報を参照にしませんので部屋の審査に落ちたとすれば収入と家賃額が見合っていないという判断が働いたのでしょう。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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