借金の返済ができなくなったら自己破産しかない、でも自己破産は怖いと思っている方がかなり多くいます。
一言でいうと、自己破産とは、借金が返済できない人が手続きを取ることで借金返済の義務がなくなる救済制度のことです。
自己破産には、家族や知人に知られてしまう、職場に居づらくなる、財産はすべて処分されてしまうという悪いイメージがありますが、実際には返済できない人への救済措置ですので世間で持たれているほど怖くはありません。自己破産を行ったからといって知人に知られたり、職場に知られたりすることは通常ありませんし、財産も多くは残すことができます。
さらに、自己破産を行えば借金はなくなりますので、精神的なストレスからも解放されるはずです。
自己破産のメリットとデメリット、自分は自己破産できるのかどうかなどをよく知ってから手続きを取るようにしてください。
自己破産とは債務者が経済的に完全に破綻してしまい、支払時期が到来しても自分のもっている資産ではすべての債権者に対して債務を完全に返済することができなくなった場合、最低限の生活用品以外すべての財産を換金して、全債権者にその債権額に応じて、公平に返済することを目的とする裁判上の手続きのことです。
債権者(消費者金融など)による申し立てではなく、債務者自身の申し立てにより破産手続き開始決定を受ける場合を自己破産といいます。
自己破産をすることができれば借金がゼロになるという大きなメリットがあります。
自己破産には、財産や免責不許可事由(免責を許可できない理由、借金の支払い義務を免除すべきではない理由)の有無で「管財事件」と「同時廃止事件」の2種類に分かれます。
管財事件が破産手続きの原則的な形態で、裁判所によって破産管財人が選ばれて手続きが行われます。原則として20万円以上の財産がある場合、または免責不許可事由がある場合には管財事件として扱われます。
自己破産をしても手元にあるのが20万円未満の財産であれば手元に残しておくことが可能です
一方、配当すべき財産がないことが明らかな場合には、同時廃止事件として破産手続きを開始すると同時に破産事件が廃止されます。
廃止とは、裁判所の決定により、破産者の清算が終了する前に破産手続きを終了させることです。
おおよその目安ですが、管財事件では1年、同時廃止事件では6か月で自己破産手続きは完了します。
自己破産のメリットは借金がなくなることです。しかし、借金がゼロになること以外にもメリットはあります。そして、自己破産が怖いと思われている原因のデメリットですが、これを読めば世間でいうほど恐れるものではないとわかるはずです。
自己破産の最大のメリットは手続きを行うことで借金が全額免除されることです。借金がゼロになるということは返済の必要がなくなりますから生活が楽になることは間違いありません。返済がなくなれば精神的なストレスからも解放されますので将来への展望が見えるようになります。
自己破産手続きを行うことで住宅や自動車などの財産は処分されますが、処分されるのは一定水準以上の財産に限られます。家財道具一切がなくなってしまうと思っている人もいますが、実際には家財道具は残ることが一般的ですし、生活に最低限必要なものは残ります。さらに、自己破産後に取得した財産は自己破産とは関係がありませんので処分されることはありません。
自己破産後に手に入れた財産まで失うのではないかと心配される方がいますが、自己破産の誤解の1つです。
自己破産をすると一定水準以上の財産はすべてが処分されることになります。具体的には、住宅や自動車、20万円を超える財産、99万円を超える現金は処分されてしまいます。しかし、逆を言えば住宅と自動車を諦めれば99万円までの現金は手元に残すことができ、換金した際に20万円以内の財産であれば残すことができます。よく家具や貴金属すべてを処分されるという思われている方がいますが、換金した際に20万円以上になる家具は少ないため、実際には生活する上で必要なものはほとんど残ります。
自己破産をすると一定の職業に就けなくなります。ただし、一定の職業に就けないのは手続き期間中です。手続きが終われば元の仕事に戻れますので、数か月~1年程度は就けないということになります。
自己破産手続きが終わるまで就けない職業として、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、弁理士、公証人、宅地建物取引業者、証券会社外交員、質屋、古物商、風俗営業者、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、建設業者、後見人などがあります
自己破産をするとブラックリストに登録されます。これは自己破産に限らず、任意整理や個人再生などの債務整理を行った場合も同様です。自己破産特有のものではありませんが、借金問題を解決する際には考慮しておくべき点です。
ブラックリストに載ると信用情報機関を参照する審査に通らなくなりますので、クレジットカードが使えなくなる、新規の借り入れができなくなる、ローンが組めなくなるなど、手続き後の生活に影響が出ます。ただし、ブラックリストに載っているのは5年~10年程度といわれています。一定期間が過ぎればブラックリストから削除されますのでカードを発行したり、ローンを組んだりすることができるようになります。
自己破産をすると官報に載ります。官報は政府が発行する新聞のようなものです。自己破産した人の住所と氏名が載りますが、官報を読んでいるのは特定の職業に就いている人だけですので、官報に載ることで家族や知人に知られるという心配はほとんどありません。しかし、公開されていることは事実ですので、家族、親戚、知人の職業次第では知られる可能性は残っています。
自己破産をするためには2つの条件を満たす必要があります。
支払い不能というのは、現在持っている財産や今後の収入などを考えても借金を返済できないと判断された状態のことです。
借金がいくらあったら自己破産できますか?という質問がよくありますが、借金の額ではなく収入と財産を総合的に判断し将来的にも返済ができないと考えられる状態であれば自己破産は可能だとお考えください。
自己破産の目的は免責(免除、支払いをしなくてよいということ)を受けて借金をゼロにすることです。しかし、得られる効果が大きいため、不正な手続きで自己破産をしないよう免責不許可事由を法律で明記しています。
自己破産をする場合には、所有している財産すべてを報告し、借金に充てた上で足りないことを示さなければなりません。
そのため、持っている財産を隠すことは免責不許可の理由になります。
例えば、クレジットカードで購入したものを現金化することが換金行為にあたります。カードの現金化は手続きを遅らせる原因になりますし、そもそもカードでの買い物は支払いを終えるまではカード会社に所有権があります。
債権者平等の原則というものがありますが、これはどの債権者(消費者金融など)に対しても平等に取り扱わなければならないという原則です。
特定の1業者だけへの返済をしている場合や偏った返済をしている場合には免責不許可事由にあたります。
自己破産をするためには、借金をした理由を裁判所に提出し、自己破産をするのに適正かどうかを判断してもらう必要があります。
ギャンブルや浪費を目的に借金をして、支払いができなくなったら自己破産をして返済を免除してもらう、というようなことはできません。
自己破産で免責されるのは、いわゆる借金だけです。そのため、次のような債務は免責されません。
税金の滞納や社会保険料などのように国や地方自治体が徴収するものは免責されない債務です。それ以外にも、罰金や損害賠償など借金ではない債務も免責されません。さらに、離婚の際に子供の養育費の話になりますが、この養育費も免責されない債務です。
ただし、損害賠償については理由しだいでは免責されるものもありますし、公共料金や慰謝料などは免責されたり、されなかったりします。ケースバイケースで変わってきますので詳細はご相談ください。
免責不許可事由があり、自己破産できない場合があると前述しましたが、実は統計的にはほとんどの案件で自己破産できています。
2019年11月に公開された借金に関する調査レポート(ポート株式会社)によると借金の原因を見ると、男性はギャンブルや夜遊びにより借金をしている傾向が強く、女性は生活費で借金しているという傾向が強く出ています。男女ともに借金の原因の1番は買い物ですが、これは浪費という見方もできるかもしれません。
一般論でいえば、ギャンブルや浪費により作った借金は免責不許可事由に該当し、自己破産できないといわれています。
しかし、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会が公開している2017年破産事件及び個人再生事件記録調査によると、破産申し立てをした後に96.77%の案件は自己破産できていることがわかります。
これは、免責不許可事由であっても程度次第では裁判官の裁量で免責を認めてくれることがあるからです。ギャンブルや浪費では自己破産できないと言われていますが、ギャンブルや浪費だけが借金の原因ではないこともよくあります。そのため、ギャンブルや浪費が借金の原因の一部であれば自己破産できることもあります。
自己破産を相談される際に特別に必要な書類はありません。
しかし、借り入れ状況を正確に把握し、自己破産後にどうなるかを予測するために相談時にあるとよい書類は以下の通りです。
もちろん、書類がなくとも相談はできますし、状況をしっかりと説明することができるのであれば書類はなくとも問題ありません。
自己破産を申し立てる時に必要な書類は別途ありますので、無理に集める必要もありません。
手続き費用 | |
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価格 | 440,000円(税込) |
備考 | 非事業者の場合 |
※依頼者が個人事業主の場合、別途ご相談 (事業規模等により金額を決定します。)
※保管金、印紙代等の実費が別途必要となります。
※破産管財人が選任された場合、別途予納金が必要となります。
※回収した過払い金については別途、成功報酬が発生いたします。
自己破産という言葉は世の中でも知られていますが、自己破産には誤解が多くあります。これは自己破産した人が、その後の生活を語りがらないため一部の情報だけにフォーカスされたり、イメージだけで情報が出回ったりしたことが考えられます。
実際には自己破産をしたからといって、生活できなくなったり、制限されることは少なく、借金生活からの救済手段の1つとしてお考えください。
下記はすべて自己破産の誤解です。
ただし、自己破産をすることで家族に影響が出る可能性はあるため、手続きそのものによって知られることはなくとも話しておく方がトラブルになりづらいです。職場に知られることもありません。
戸籍や住民票には載りませんが、本籍地にある破産者名簿には載ることがあります。しかし、破産者名簿に載るのは「免責されなかった人」です。自己破産で免責がおりた人は名簿には載りませんし、役所に保管されている書類ですので一般公開はされていません。
選挙権がなくなるということもなく、財産も生活に必要な分は確保されます。
家が借りられなくなるというのは、賃貸の際に信販系の会社が関わる場合だけですので、普通の賃貸物件であれば借りることができます。
海外に行けなくなるというのは自己破産手続き中のことですので、自己破産をしたから海外に行けなくなるということはありません。
自己破産をすることで家族に影響するか、というのはよく聞かれる声です。
自己破産手続きの内容は本人だけに及びます。そのため、家族には影響しないのが自己破産手続きです。
しかし、自己破産することで家族に影響することがあります。
また、免責されるのが本人だけということは保証人には支払い義務が残ります。
自己破産をしても家族には影響しません。ブラックリストに載ったとしても、載っているのは自己破産をした本人だけですので、配偶者や家族であればクレジットカードを発行したり、ローンを組んだりすることができます。
しかし、配偶者名義になっているものでもお金を出したのが本人であれば本人の財産として処分されることがありますし、子供名義の預金であってもお金を出したのが本人であれば同様に処分されることがあります。
また、家族には影響しなくとも手続き後に住宅ローンや自動車ローンが組めなかったり、携帯電話の分割払いができなかったりすることから信用情報に傷がついていることを疑われる可能性があります。
自己破産をすることで家族にバレることは少ないですが、結果的に家族にバレる可能性は高く、可能であれば隠すよりも話しておいた方が後々のトラブルになりません。
自己破産をすると本人の返済が免除されます。しかし、借金そのものは残っていますので、手続きをされる際に保証人に対して一括請求が届くのが一般的です。
もし、保証人も支払いができない場合には保証人も自己破産をしなければならない、という可能性があります。トラブルを避けるためにも保証人がいる場合には事前に話しておきましょう。
保証人がいる借金に対しては自己破産したくないとお考えの場合には、対象債権を選べる任意整理をするしかありません。
自己破産をすると原則、自宅は処分されます。
例外的に自宅の価値がきわめて低い場合には残すことができますが、まず残せないと考えておいた方がよいでしょう。
自己破産をするとは一定以上の価値があるものはすべてお金に換えて清算する必要があります。
原則として自己破産をすると車も処分されます。
自動車ローンが残っている場合にはローン会社に引き上げられますし、ローンを完済している場合には裁判所に引き上げられるのが通常です。
しかし、例外的に残すことができることもあります。
自宅と自動車以外にも自己破産をすると様々な影響があります。
奨学金、養育費、生命保険などの支払いに関わることだったり、選挙権や職業制限など権利に関わる様々なことが気になることでしょう。
詳細は自己破産をするとどうなるのか?をご一読されるか、直接お問い合わせください。
自己破産 | 任意整理 | 個人再生 | |
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効果 | 全額免除 | 利息免除 | 大幅減額 |
ブラックリスト | 載る | 載る | 載る |
官報 | 載る | 載らない | 載る |
職業制限 | あり | なし | なし |
保証人への影響 | あり | 一部あり | あり |
自己破産では借金が全額免除されますが、任意整理や個人再生では返済は続きます。
職業制限があるのも自己破産の特徴です。一定の職業に就いている方は自己破産中は勤務する事が出来なくなりますので注意が必要です。
保証人への影響が大きいのが自己破産と個人再生です。保証人に迷惑を掛けたくないという場合には借金はゼロにはなりませんが任意整理をするという選択肢もあります。
依頼人 | 50歳代 男性・女性(夫婦) |
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借入の相手 | 消費者金融12社 信販会社1社 銀行1社 |
免責金額 | 1,000万円 |
依頼人 | 40歳代 男性 |
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借入の相手 | 消費者金融6社 国税庁(滞納税金) |
免責金額 | 500万円 (滞納税金100万円は免責されません) |
依頼人 | 30歳代 男性 |
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借入の相手 | 消費者金融8社 |
免責金額 | 400万円 |
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。