官報とは国が発行する新聞のようなものです。
自己破産や個人再生を行うと官報に載ってしまうので家族や会社に知られてしまうのではないかと心配されている方もいますが、実は官報に載ることはそれほどデメリットとはいえず、官報に載ることによって周囲に借金のことを知られてしまうことは稀といえます。
官報とは何か、何がいつ掲載されるのか、掲載されることのデメリットなどをご紹介いたします。
官報とは1883年(明治16年)から刊行されている休日以外毎日発行される国の新聞のようなものです。官報には法律、政令、条約、国の広報、公告などが掲載されています。
官報には紙の官報とインターネット検索があり、紙の官報では購読料がかかりますが、インターネットの場合には30日間は無料で閲覧することができます。
官報に掲載される公告には、自己破産や個人再生を行った人の名前が掲載されるため、官報に載ることは自己破産や個人再生のデメリットといわれています。
しかし、実際には官報に載ることで周囲に知られることは極めて稀ですので、官報に載ることが理由で債務整理をしないことで借金問題の解決を遅らせることに繋がります。
紙媒体の官報は1部130円(税別、送料別)、定期購読では1ヶ月1,520円(税別、送料別)です。
官報には国家試験合格者や叙位叙勲を行われた方の氏名が載るため、記念として購入する方もいらっしゃいます。
自己破産や個人再生をする際には官報に氏名が載りますが、これは債権者に対して自己破産や個人再生が行われたことを通知するためと言われてます。
裁判所への提出書類には債権者一覧がありますが、債権者一覧に漏れがあった場合には債権者に通知が届きませんので、債務整理されていることを知る機会がありません。
官報に掲載されることで債権者が債務整理を知らなかったということを防ぐことができます。
自己破産の場合には破産手続きの開始決定時、免責決定時の2回、官報に掲載されます。
個人再生の場合には、個人再生の再生手続開始の決定時、書面決議の決定(小規模個人再生)または、意見聴取の決定時(給与所得者等再生)、再生計画認可の決定時の3回、官報に掲載されます。
ただし、決定が出された直後ではなく、決定が出てから2週間程度経ってから掲載されます。
官報は新聞のようなものですが、一般の人が読むことはまずありません。書いてある内容も面白い内容とは言い難く、購読している人は稀です。
しかし、下記のような職業の人は業務として閲覧していることがあります。
上記に該当していても、全員が閲覧するわけではなく、破産や再生手続きに関係する部署の人しか目にすることはないでしょう。
官報を読むのは一部の職業に限定されていますが、国は官報に掲載することで伝えたという認識で発行をしています。そのため、次のような情報を知りたい場合には官報を購読する必要があります。
国会召集や衆議院の解散、法律改正、政令、規則、告示などが掲載されます。
国会の議案、日程、人事異動、皇室に関係する報告、各省庁からの報告、閣議決定などが掲載されます。
会社関連の公告では解散、合併、決算、組織変更などがあり、裁判所の公告では相続、公示催告、失踪、破産、免責、再生などが掲載されます。
自己破産と個人再生のデメリットに官報に載るというものがあります。
官報に載ると氏名が公開されることになるので家族、周囲、勤務先に知られてしまうことが心配されますが、実際には一般の人が官報を目にすることはまずありません。
官報に氏名が載ることを知らないことはもちろん、そもそも官報が何かを知らない人もいるくらいです。
そのため、官報に載ったことにより周囲に知られる確率は極めて低く、デメリットとしてはかなり弱いものです。
債務整理を行うと官報に氏名が載ると懸念される方がいますが、正しくは「自己破産か個人再生を行うと官報に載る」です。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産、特定調停の4つがありますが、任意整理と特定調停を行っても官報に載ることはありません。
また、過払い金請求を行うことでも官報に載ることはありません。
稀に、官報に氏名が載ると会社に自己破産がバレて解雇されるということを心配されている方がいますが、自己破産を理由に解雇をすることは正当な理由とはいえず、会社が自己破産を理由に解雇をしてくることはありえません。
そもそも会社が官報を確認している可能性は極めて低く、自己破産を行ったとしても誰にも気が付かれないのが通常です。
インターネット版官報は無料で閲覧することができますが、閲覧期限は30日と限定されています。
有料会員になるか、紙媒体の官報を購入することで古い情報でも調べることはできますが、そこまでして調べる人は極めて稀でしょう。
官報に掲載されると削除することはできませんが、周囲に知られることはまずありません。
東京都は複数の場所で官報を販売していますが、多くの都道府県では1か所の官報販売所で取り扱っています。
その他にはインターネット版官報や図書館で閲覧するという方法もあります。
インターネット版官報は直近30日間に限定して無料で閲覧することが可能です。
古い官報を確認したい場合には有料会員(税込み2,200円/月)になることで閲覧可能です。
住んでいる地域にもよりますが、図書館で古い紙面の官報を閲覧したり、図書館の端末を使って「官報検索サービス」を利用することができます。
図書館での利用は無料ですが、地域によっては扱っていない場合もあるようです。
繰り返しますが、官報は一般の人が目にする機会はほとんどありません。特定の職業の一部の部署の担当者は業務として閲覧しますが、破産者や免責を受ける人は意外に多く、毎日数百人いると言われている破産者の中から1人を特定できるということはまずありえません。
一般の人が官報を見ることはほとんどないと前述しましたが、例外的に失踪している人は閲覧することをお勧めします。
遺産相続の場合、相続に該当する人が疾走している場合には官報に掲載をして呼びかけることになります。官報に記載しても連絡がない場合には法的に死亡したことにできるからです。これにより遺産相続できなかったということもあるため、家族と長期間連絡を付けていないという場合には官報を購読することで防ぐことができます。
また、失踪した人を探す場合にも官報を読んだ方がよいことがあります。
官報には身元不明遺体の発見場所や特徴を記載します。状況や特徴から失踪した人だと特定できることもあります。
いずれにしても、仕事以外で官報を読むことは特殊な状況といえるでしょう。
官報には指名と住所が載ります。
自己破産や個人再生を行うとブラック登録されるので通常は数年間借金ができません。
しかし、闇金はこれを逆手に取り、官報に掲載されている住所、氏名に対して「ブラックリストに載っていても借金できる」というダイレクトメールを送ってくることがあります。
自己破産や個人再生後に届くダイレクトメールには注意しましょう。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。