日本信用情報機構(JICC)によれば、2019年6月時点で日本で借入残高がある人は1,090万人以上いるとのことです。
多くの方が借金に苦しんでおり、少しでも借金を減らしたいと考えているかと思います。地道に返済を続けられればいいですが、多額の借金を抱えてしまった方はどうすれば良いのでしょうか。
借金返済に苦しんでいる方の救済措置としてあるのが債務整理です。債務整理の手続きを司法書士や弁護士に依頼することで貸金業者からの取り立てが止まり、苦しい借金生活から解放されます。
債務整理とは、借入金額や経済状況を考慮し、将来利息のカット、払いすぎた利息の返還、借金の減額、借金の免除などを行うことで借金から解放されるための手続きのことです。
債務整理には4つの手続きがあり、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停のことをいいます。また、過払い金請求も債務整理に含まれ、債務整理の過程で過払い金が発生していれば取り戻すことができます。債務整理を行うことで精神的な負担も軽減されますし、将来への不安も解消されます。
借金のお悩みは、借金を0にしたい方や借金を減額して完済したい方、住宅は手放したくない方など、債務整理をおこなう方の状況や考え方によってさまざまです。ですので、借金を減額・帳消しにできるからといって、考えなしにすぐに手続きをおこなってしまうと、かえって自分を苦しい境遇に置いてしまう可能性もあります。それぞれのお悩みに適した債務整理がありますので、ご自身のお悩みに合った手続きを見つけましょう。
債務整理は1つではなく大きく分けて以下の4種類があります。
毎月の返済額を減らしたい方は任意整理、住宅や車などの財産を処分してもいいから借金を0にしたい方は自己破産、住宅を手放したくないが借金を大幅に減額したい方は個人再生、債務整理をする業者を選べて費用を安くおさえたい方は特定調停が向いています。
ただし、債務整理は非常に複雑ですので、ご自身で決める前に一度、司法書士や弁護士などの専門家にご相談することをおすすめいたします。債務整理についての相談料は無料ですのでお気軽にご相談ください。
自分はどの債務整理が適切なのかが分からないという方も多いと思います。下記の借金解決診断チャートをご参照ください。ただし、借金解決診断チャートは目安ですので、このチャートに当てはまらない場合でも債務整理ができる場合や他の方法を試せる可能性があります。
債務整理をご検討されている方は必ず、司法書士や弁護士などの専門家にご相談ください。
債務整理は借金が返済できなくなった人を法律や交渉により解決する救済手続きです。
そのため、借金の返済が難しいということであれば、借金が多くても少なくても、収入が多くても少なくても利用することができます。
借金が少ない場合であっても本人にとっては支払いができない場合や収入が多くても借金額が多すぎて返済が苦しいということがあるからです。
条件さえ満たせば、高齢者や生活保護受給者であっても債務整理をすることで借金問題を解決することができます。
上述の通り、債務整理には任意整理、個人再生、自己破産、特定調停の4つがありますが、どの手続きであっても最初に面談を行い、方針を検討いたします。債務整理とメリットとデメリットをご説明いたしますのでご不明点はご相談ください。
債務整理手続きの契約を締結し、受任通知を債権者(金融業者)に通知すると返済と取り立てがストップいたします。
当事務所で債権の調査、過払い金の有無、引き直し計算などを行い、和解交渉を行ったり、過払い金の金額次第では方針を変更し別の手続きを取ることもご提案いたします。
任意整理では過払い金請求ができる場合には和解交渉時に同時に行い、金融業者と話し合いの上、和解内容を決定いたします。内容に問題がなく、双方の合意が得られ、それでも借金が残った場合には返済を開始することになります。
「借金の返済が苦しく見通しが立たない」、「債務整理をしたいが、保証人に迷惑をかけたくない」、このようなお悩みをお持ちの方に向いているのは任意整理です。
任意整理とは、裁判所を通さずに、借金の返済額や返済方法を交渉で返済可能な条件にする手続きのことです。裁判所を通さずに債権者と債務者で任意に交渉を行う方法ですので、家族や会社などに内緒で手続きすることができます。債務整理の中では任意整理が一番多いです。
利息制限法の上限金利(15%~20%)以上で返済をしていた場合は、引き直し計算をして払い過ぎていた利息分(過払い金)を元本に充て減額し、元本以上の過払い金は手元に戻ってきます。任意整理をする借金は選べますので、保証人がついている借金を除外することや、ローンが残っている家を守りながら借金の整理をすることができます。
任意整理は双方の和解が条件ですので、業者が和解に応じない場合は任意整理が不成立に終わってしまいます。最近では任意整理に応じない業者も増え、個人で任意整理をする場合は、ほとんどの業者が相手にしてくれないので司法書士や弁護士などの専門家に依頼しましょう。司法書士などの専門家に依頼した場合、和解が成立するまで取り立てがストップし、業者との交渉や書類などの作成は全て司法書士が代理で行います。
任意整理は債権者の都合で行います。そのため、貸金業者が応じる義務はなく、会社の方針で任意整理に応じないという貸金業者や任意整理に応じるが一括払いを求めるなどの対応をしてくる貸金業者も存在します。業者との対応は実績と交渉力のある専門家にお任せすることをお勧めいたします。
「借金額を大きく減額したい」、「住宅は手放したくない」、このようなお悩みをお持ちの方に向いている債務整理は個人再生です。
個人再生(個人民事再生)とは、裁判所を通じて債務を減額してもらう手続きです。 裁判所に再生計画を提出し、それが認可されると原則として借金が5分の1に減額されます。そして、減った借金を原則3年(例外的に5年)の分割払いで返済していく、という形になります。
任意整理と比較すると減額幅が大きく、自己破産のように家や車などの資産を手放す必要もありません。ただし、手続き後も返済を続けなくてはいけませんので、きちんと完済できるような返済計画を立てて裁判所へ提出しなくてはなりません。債務整理の中で、個人再生はとても手続きが複雑なものですので、個人再生を行いたい場合には必ず専門家へ相談をするようにしましょう。
個人再生は債務が5,000万円までの方しか行うことはできませんが、この5,000万円の中には住宅ローンなどは含まれません。もしご自身が現在どの程度の借金があるのかが分からない場合にはお気軽にご相談ください。
「借金額が多く、どう考えても今後の返済ができない」、このようなお悩みをお持ちの方に向いている債務整理は「自己破産」です。
自己破産とは、裁判所で全ての債務(借金)を免除してもらう手続きです。 裁判所に破産申立書を提出して、支払いが不可能である(免責許可)と認められれば、税金の滞納などを除いたすべての借金の支払いをする必要がなくなります。
ただし、破産ができるのは支払い不能となった場合のみで、負債の額・収入・資産等の状況から総合的に判断されます。全ての人が自己破産できるわけではなく、状況次第では自己破産できない、ということもございますのでご注意ください。
また、自己破産は住宅や車なども手放す必要があり、借金に保証人がついている場合には保証人への影響がある場合もあります。ブラックリストに載るなど世間では悪い面ばかりが取りざたされる自己破産ですが、借金がなくなるというメリットは大きく、総合的に判断すると自己破産した方がよい、という場合も多くあります。
借金がどうしても払えないという方は一度、司法書士や弁護士などの専門家にご相談ください。自己破産をしたらどうなるのか、自己破産後も生活はできるのか、自己破産のデメリットなどをしっかりご理解された上で手続きをとる事が重要です。
「手続きをする業者を選びたい」、「債務整理の費用を抑えたい」、このようなお悩みをお持ちの方に向いている債務整理は「特定調停」です。
特定調停とは、払いすぎた利息を借り入れの当初までさかのぼり、正しい利息に引き直すことで残債務を確定させ、裁判所を介して債権者と返済方法の協議をする手続きです。
ただし、特定調停では原則として3年以内に完済しなければなりません。任意整理と似ていますが、裁判所に申し立てをするという点で任意整理と異なります。
債務整理は任意整理、自己破産、個人民事再生、特定調停に分かれており、それぞれの債務整理によってメリットやデメリットが異なります。共通するデメリットはブラックリストに載ってしまうことですが、手続き次第ではブラックリストに載らずに手続きを取ることができる場合もあります。
任意整理は毎月の返済額を減らし、周囲に秘密で手続きができます。
自己破産は全ての借金を0にできますが、官報に住所氏名が掲載され、免責決定まで一定の職業につけないというデメリットもあります。
個人民事再生は借金の大幅な減額ができ、住宅や車を手放さずに手続きができますが、官報に住所氏名が掲載されてしまいます。ただし、個人民事再生は返済継続可能な収入がないと手続きができません。
特定調停は手続きをする業者を選べることが特徴です。しかし、業者が特定調停に応じない場合は不成立に終わるリスクがあり、裁判所に行かなければならないこともデメリットの1つです。
どの手続きが一番適切か、どの手続きをしたら今後の生活の立て直しができるのかなどご不明点はお問い合わせください。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
効果 | 利息免除 | 大幅減額 | 全額免除 |
任意整理を行うことで利息をカットすることができます。元本は減りませんが、利息がなくなりますので返済した分だけ借金が減っていくことになります。返済してもほとんどが利息で原本が減らない、ということがなくなりますので返済額が大幅に減ることがメリットです。
個人再生を行うと債務が5分の1まで圧縮することができます。そのため、借金減額という点では任意整理よりも大きな効果があります。
自己破産を行うことで借金の全額が免除されます。自己破産を行うことで借金がすべて解決しますので非常に大きなメリットがあります。
しかし、メリットが大きいということはそれだけ制限も大きいということですので自身に合った債務整理手続きを選ぶ必要があります。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
ブラックリスト | 載る | 載る | 載る |
官報 | 載らない | 載る | 載る |
職業制限 | なし | なし | あり |
保証人への影響 | 一部あり | あり | あり |
債務整理の特徴として、ブラックリストに載るということが挙げられます。信用情報機関に事故情報が登録されることで、手続き後は借り入れができない、クレジットカードが持てない、ローンが組めないなどのデメリットがあります。ただし、任意整理に関しては手続きと同時に過払い金請求ができ、取り戻したお金で借金が返済できる場合にはブラックリストには載りません。
個人再生や自己破産を行うと官報に載ります。通常、官報を閲覧するのは特定の仕事に就いている人だけですが、家族や親族、知人が法律関係の業務をされている場合には官報に載ることで知られてしまう、ということがあり得ます。任意整理の場合には官報には載りません。
自己破産に限っては職業制限があります。自己破産をすると弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、弁理士、公証人、宅地建物取引業者、証券会社外交員、質屋、古物商、風俗営業者、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、建設業者、後見人のような特定の業務に就くことができなくなります。そのため、職業によっては自己破産ではなく任意整理や個人再生せざるをえない、ということもありえます。
債務整理を行うと連帯保証人への影響があります。契約者が借金を返せない場合には当然、連帯保証人に請求が行きます。そのため、保証人がついている場合に債務整理をしたいということであれば、事前に保証人に相談することを強くお勧めいたします。
ただし、任意整理だけはどの債権を手続きするかが選ぶことができます。例えば、A社(保証人あり)、B社、C社の3社に借金がある場合、B社とC社に対してだけ任意整理を行うということも可能です。
さらに債務整理と同時に過払い金請求が行える場合には、取り戻した過払い金で借金が完済できればブラックリストにも載りませんので借金が完済できる貸金業者に対してだけ任意整理を行うという方法もあります。
どの手続きにもメリット、デメリットがありますので自身に合った手続きを選ぶためにも司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めいたします。
また、債務整理を行う場合には法テラスに相談するという方法もあります。法テラスは無料で法律相談でき、専門家を紹介してもらえますが、紹介してもらった弁護士・司法書士が債務整理の分野に強いかどうかはわかりません。杉山事務所では債務整理、過払い金について無料相談を行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産、特定調停の4つがあることはご説明した通りです。では、それぞれの債務整理はどのように手続きが進むのでしょうか。
債務整理は個人でも行うことはできますが、書類集めや手続きが煩雑なため弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。
以下では弁護士や司法書士に依頼したことを前提にご紹介いたします。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼した場合、まず弁護士事務所や司法書士事務所から債権者(貸金業者)に対して受任通知を発送いたします。受任通知が届くと債権者は債務者に直接連絡ができなくなりますので、任意整理が終わるまでの間、一時的に督促が止まり、返済もストップします。返済が止まりますので、今まで返済していた分は弁護士費用や司法書士費用に充てることができます。
受任通知を送る際に弁護士や司法書士は取引履歴の開示も債権者に請求します。この取引履歴に過去の取引内容がすべて記載されていますので現在・過去の借金状況が把握できます。そして、取引履歴を元に利息制限法に沿って利息を引き直し計算します。
引き直し計算を行った際に支払いすぎたお金があれば過払い金が発生しているということです。過払い金があればその分は借金の残高から減らすことができますし、場合によっては手元にお金が戻ってくることになります。
借金の残額が確定したら、債権者に残金の支払い計画を提案し、交渉いたします。支払い計画は借金の残高を3年~5年で分割払いしていくのが一般的です。
任意整理では将来利息を免除してもらう手続きですので、返済した分は確実に借金が減っていきます。
個人再生は書類作成が煩雑で難しく、弁護士や司法書士に依頼して始まるのが普通です。弁護士事務所や司法書士事務所から受任通知を発送した時点で債権者からの連絡と督促がなくなりますので精神的にも安心です。
個人再生には住民票、収入証明、財産が分かる資料などを裁判所に提出する必要があります。基本的には弁護士や司法書士の指示に従って必要書類を集めれば、裁判所に提出する書類は弁護士・司法書士側で作成可能です。
個人再生の申立書を裁判所に提出したら個人再生手続きの始まりです。
個人再生の申し立て後、裁判所の判断では個人再生委員が選任されますので、面談を行います(東京地方裁判所では個人再生委員が選ばれるのが原則です。)。面談後に問題がなければ個人再生手続きの開始決定が出ます。ただし、弁護士や司法書士に書類を作成してもらう時点で精査を行いますので、通常、この段階で問題があるため受け付けてもらえないということはほとんどありません。
個人再生手続きの開始決定後には、裁判所による債権調査があります。債権者から債権届が集まり次第、債権額(借金額)を確定し、この債権額を元に返済額を計算して再生計画を作成、裁判所に提出します。
再生計画案は債権者の意見を聞いたうえで問題なければ、裁判所に再生計画が認可されます。ただし、小規模個人再生では、過半数の人数や過半数の債権額を持つ債権者が反対すれば再生計画が認可されないことがあります。(給与所得者等再生では債権者の反対があっても再生計画が認可され、借金が減額するということができます。)
再生計画案の認可決定された後、支払いを開始することになります。
自己破産をする場合も任意整理や個人再生同様に、弁護士事務所や司法書士事務所から債権者に受任通知の発想と取引履歴の取り寄せを行います。受任通知が届いた時点で債権者からの連絡や督促がなくなり、返済も手続き終了まで止まります。
依頼者は住民票、収入証明、財産に関する資料などの必要書類を集め、弁護士や司法書士で裁判所に提出する書類を作成します。
自己破産には同時廃止事件と管財事件があり、財産がほとんどない場合には同時廃止になります。同時廃止の場合には自己破産の手続き開始決定が出た後、裁判官との面談があります(免責審尋)。同時廃止の場合には簡単な手続きで免責決定がおりますので借金がなくなります。
管財事件の場合には、自己破産の手続き開始決定が出た後に破産管財人という財産を管理、現金化し債権者への配当を行う担当が選ばれます。現金化と配当手続きを行う間には何度か裁判所にて債権者集会が開かれるため、自己破産の手続きに時間を要します。破産管財人により換価と配当が終わりましたら、破産手続きが終了し、免責決定がおり、借金がなくなります。
特定調停は任意整理に似た手続きですが、裁判所に申し立てを行うという点で任意整理と大きく異なります。債権者との交渉には裁判所が間に入りますので、個人で行うことも可能で、費用も非常に安いのが特徴です。
特定調停の申立書や債権者一覧などの必要書類を作成して、簡易裁判所に申し立てることで始まります。
裁判所から調査期日が決められますので簡易裁判所に行き、調停委員会から面談を受けます。この際に借金の状況と返済計画を決めることになります。
調停期日が開かれると債権者も呼ばれ、裁判所が間に入りながら話し合いを進めます。債権者と返済期間や返済方法などに合意ができた場合には調停が成立し、調停調書ができます。この取り決め通りに返済が終われば借金がなくなります。
ただし、債権者との交渉で合意ができない場合には2回目、3回目と期日が開かれますので、そのたびに裁判所に行く必要があります。その上で合意ができない場合には特定調停は不成立になりますので、別の手段で解決する必要が出てきます。
債務整理には4つの手続きがありますので、どの手続きが自分に向いているのかが分からないということもあるでしょう。
弁護士や司法書士に相談して、自分にはどの手続きが向いているのか検討すべきですが、基本的には任意整理を検討し、それが無理なら個人再生、自己破産と検討することをおすすめいたします。
任意整理は簡単な手続きで、期間も短いため非常におすすめな債務整理です。実際、借金問題のほとんどは任意整理で解決できます。
以下のことが該当するようであればまずは専門家に任意整理のご相談をするようにしましょう。
任意整理を進める際に、同時に過払い金請求も行います。そのため、過払い金が発生する場合には借金額を大きく減らすことが可能ですが、過払い金がない場合には借金そのものはそれほど減りません。
そのため、借金が比較的少ない人は任意整理が向いているといえます。
任意整理は3年~5年で分割払い(36回払い~60回払い)する手続きですので、借金額を60で割った金額が毎月の最低返済額です。
一例ですが、300万円の借金であれば毎月の返済額は最低5万円、600万円の借金でも毎月10万円の返済が可能であれば任意整理できるということになります。
任意整理は裁判所を通さないため、簡単に手続きを進められ、期間も短いためおすすめです。
費用も個人再生や自己破産と比べ安く済むことが多く、手間や時間を掛けたくない場合もよい手続きです。
任意整理は裁判所を通さないため、裁判所からの通知がありません。必要書類も少なく、連絡が自宅に来ることもなく、官報に載ることもありません。
債権者との交渉はすべて事務所が引き受けますので、家族や周囲にバレにくい手続きといえます。
保証人がいる借金を債務整理すると、保証人に対して一括請求が届くため保証人に迷惑が掛かります。場合によっては債務整理をしたために保証人が自己破産をしなければならないということもあります。
しかし、任意整理の場合にはどの借金に対して手続きをするのかが選べますので、保証人に迷惑がかけることなく債務整理が可能です。
一般的な借金やカードローンに保証人がいる場合のほか、奨学金など保証人が必須な借り入れがある人にも任意整理はおすすめです。
自動車ローンが残っている場合に自己破産や個人再生を行うと自動車を引きあげられてしまいます。しかし、任意整理の場合には自動車ローンを除外して手続きを進めることができますので、自動車を残せます。
なお、住宅ローンがある場合も同様に任意整理がおすすめですが、個人再生でも自宅を残すことは可能です。
2010年に法改正があり、2010年以降の借り入れに対して過払い金が発生することはありません。
しかし、2010年以前に借金をしたことがあれば過払い金が発生し、借金が大幅に減ることがあります。
特に2008年以前の借金には高い確率で過払い金が発生していますので、一度任意整理を検討することをおすすめいたします。
なお、個人再生や自己破産でも過払い金が発生するかどうかは確認しますが、まずは任意整理を検討してみてください。
個人再生は現在の借金を5分の1に圧縮することができる債務整理手続きです。任意整理では借金は減りませんが、個人再生では借金そのものが大きく減ります。
以下のことが該当するようであればまずは専門家に個人再生のご相談をするようにしましょう。
個人再生では借金額が大幅に減りますので、任意整理では対応できないという場合にオススメです。
例えば、借金が600万円で任意整理をすると最低でも毎月10万円の返済が必要ですが、個人再生を行うと600万円の借金が120万円(5分の1)まで減ることが可能です。600万円は返済できない場合でも120万円の分割払いなら返済はだいぶ楽です。
借金額が多く、任意整理では間に合わない場合には個人再生を検討しましょう。
自己破産では基本的に自宅を残すことはできません。しかし、個人再生では住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用することで自宅を残したまま、借金返済が可能です。
仮に競売の申し立てがあったとしても競売を中止して個人再生できるので、競売にかけられそうという場合にも個人再生はおすすめです。
自己破産はすべての借金をゼロにすることができる手続きです。しかし、裁判所により厳格な審査があり、デメリットも多い債務整理ですので、先に任意整理や個人再生を検討しましょう。
以下のことが該当するようであればまずは専門家に自己破産のご相談をするようにしましょう。
収入や財産に対して借金額が大きすぎるため、返済できないという場合には自己破産がおすすめです。
個人再生では5000万円までの借金に対してしかできない債務整理ですが、自己破産ではどれだけ借金が多くても行うことができる債務整理です。
しかし、借金問題の解決に大変効果の大きい自己破産ですが、自己破産を行うデメリットを考えると任意整理や個人再生を先に行うことをおすすめいたします。
会社を経営している人(法人)の場合でも自己破産を行うことは可能です。会社を経営している場合には会社と代表者の両方が支払いできないということが多く、代表者だけが債務整理をしても解決できないということがあります。
このような場合に法人とは代表の両方が自己破産をすることで借金問題を解決することができます。
収入がない人や生活保護を受給していて返済が難しい人の場合には任意整理や個人再生を行っても、その後の返済ができないため高い確率で受理されません。
原則的に、任意整理や個人再生は一定以上の収入があり、返済ができる人向けの債務整理です。そのため、返済ができない場合には自己破産をすることで借金問題を解決できます。
借金を返済している人が生活保護を受けようとしても、原則、受給することはできません。生活保護は最低限の生活を保障する制度ですので、返済する余裕はないはずだからです。
そのため、生活保護を受給しようとしている場合には自己破産により借金をゼロにする必要があります。
最後に、特定調停が向いている人をご紹介します。
債務整理を行う場合にはどれも費用がかかりますが、特定調停の場合にはほとんど費用がかからない点が特徴です。
おおよそ、債権者1社あたり500円でできますので、多少の面倒はありますが費用を抑えたいという人にはおすすめです。
ただし、特定調停は裁判所が間に入り和解を行いますので、自分に有利に進むとは限りません。場合によっては自分に不利な和解を受け入れることになったり、特定調停そのものが不成立になる場合があります。
債務整理を行うとローンに組めなくなるという話はよく聞くと思います。
しかし、債務整理を行うとその後どうなるのか、気になるところだと思います。
ここでは債務整理を行うとどうなるのか、どういう債務整理方法があるのかなどをご紹介いたします。
過去に任意整理をした方が再び任意整理をすることは可能です。任意整理は借主と貸金業者の自由契約ですので、法律での縛りはなく両者の合意があれば回数に制限はなく何度でも任意整理をすることができます。
ただし、任意整理は貸金業者が受け取れるはずの利息金や遅延損害金を免除してもらう手続きですので、通常1回目の任意整理が業者のギリギリ妥協できるラインです。
「家族に心配をかけたくない」、「借りてもこっそり返せば大丈夫だろう」など、家族に内緒で借金をしていて返済が苦しい方がバレずに債務整理をする場合は任意整理がおすすめです。
債務整理をしたことが家族にバレてしまう原因は主に利用明細書と貸金業者からの連絡の2つです。利用明細書は自分で処理すれば、家族にバレる心配はほとんどありませんが、返済などが遅れた場合などにかかってくる貸金業者からの連絡は未然に防ぐことができません。しかし、任意整理を専門家に依頼すると貸金業者からの連絡を止めることができます。依頼時に「家族には内緒で任意整理をしたい」としっかり伝えましょう。
任意整理や自己破産などの債務整理をした場合は、ブラックリスト(信用情報機関)に事故情報として登録され、新たな借入やクレジットカードの作成ができなくなる可能性が高いです。
ブラックリストに登録された事故情報はローン会社が審査をするときに必ず確認します。そのため、ブラックリストに登録されてしまうと事故情報が削除されるまでの約5年間、住宅ローンや自動車ローンを組むことは難しいです。
ただし、ローン会社によって審査の基準は違いますので、ブラックリストに登録されていても、審査次第ではローンを組むことができたというケースもあります。
債務整理を行い債務者の債務が免責されたとしても借金は残ります。そのため、債務整理を行うと債権者は保証人への一括請求を求めてくる場合があります。
交渉により分割での返済が受け入れられることもありますが、保証人が返済できない場合には最悪、保証人も債務整理を行うという可能性もあります。
連帯保証人が配偶者の場合には夫婦で債務整理を行うことで借金をなくし、新しい生活を送ることも可能ですが、連帯保証人が家族でない場合には気軽に債務整理をするということも難しいことが多いです。
そのため、保証人がいる場合、どの借金に対して整理をするのかが選択できる任意整理がおすすめです。減額効果という点では自己破産や個人再生に劣りますが、手続きが比較的容易ですので債権者だけで支払いができるという場合には任意整理だけで解決できます。
債務整理を行うとブラックリストに載り、事故情報が信用情報機関に登録されます。
ブラックリストに載ることでクレジットカードの発行ができなくなったり、ローンが組めなくなったりすることがあります。では債務整理を行った人は保証人にはなれるのでしょうか?
実は、債務整理を行った人であっても保証人になれます。
しかし、一度債務整理を行った人が保証人になるためにはいくつかの条件を満たす必要があります。
保証人になるにはそのたびに審査を行いますので、その審査に通ることが条件です。
そのため、「保証人になる」ことはできますが、借り入れの際の保証人になることは難しいことが多いです。
ただし、ブラックリストに登録されるのは一定期間(5年~7年といわれています)ですので、ブラックリストから解除されれば借り入れの保証人になることが可能です。
しかし、ブラックリストから解除されても保証人になれない場合があります。社内ブラックといわれるものです。A社の借金に対して債務整理を行った場合、ブラックリストに載っているのは数年ですが、A社のデータベースには「債務整理をした人」として記録が残るため、次回以降は審査を通さないということがありえます。
また、ブラックリストに載っている場合であっても賃貸借契約の保証人になることは可能です。これは不動産屋や家賃保証会社の審査では信用情報機関の確認をせずに別の方法で審査を行っているためです。そのため、信販系の会社で部屋を借りる場合には信用情報機関への確認が入るために審査に通らない、という可能性も残っています。
条件は付きますが債務整理をした後にクレジットカードを使うことは可能です。
通常、債務整理を行うとブラックリストに載りますので新規でクレジットカードを発行することはできません。しかし、審査に影響するのは債務整理を行った本人だけですので、配偶者のクレジットカードの家族カードを発行することで利用は可能です。
また、ブラックリストに載っているのは数年(5年~10年程度)ですので、所定の期間を過ぎればカード審査に通るようになります。
債務整理は借金の返済ができなくなった人が生活再建をすることを目的にした手続きであるのに対し、過払い金請求は過去に支払いすぎたお金を取り戻す手続きです。
ただし、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産、特定調停)を行う際には過去の借金を調べ、過払い金が発生していることが分かった場合には過払い金請求も行います。そのため、債務整理と同時に過払い金請求を行うということを行います。
また、返済中の借金に対しても過払い金請求することはできますが、取り戻した過払い金を借金に充てても借金が残る場合には、任意整理という手続きを取ることになります。
借金返済中には行う場合には、債務整理も過払い金請求も借金問題解決のための手段という点では共通です。
借金を完済している場合に行う過払い金請求については、お金を取り戻すだけの手続きですので債務整理を行うことはありません。
債務整理を行う場合、1社あたりの借金額が140万円を超えると司法書士では対応できません。しかし、1社あたりの借金が140万円を超えない任意整理の場合には弁護士であっても司法書士であっても大きくは変わりません。
個人再生や自己破産の場合には弁護士の方が有利なこともありますが、司法書士でもサポートは可能であり、司法書士の方が安いことが多いです。
ギャンブルが原因で作った借金は免責不許可事由に該当し自己破産を行うことができません。
しかし、実際には裁判所の判断によりギャンブルが原因で作った借金でも自己破産できることがあります。
また、任意整理や個人再生では借金の理由は問われませんので、どのような借金であっても債務整理を行うことができます。
債務整理のどの手続きを取るかでかかる期間は大きく変わります。
目安としては任意整理であれば3ヶ月~6ヶ月、個人再生や自己破産であれば6か月程度、特定調停には2ヶ月程度の時間がかかります。
しかし、交渉が難航し裁判に移行した場合や書類の準備期間を考えると更に延びることもありますので個別にご相談ください。
借金に困った人が債務整理をするというのはよく聞く話ですが、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産、特定調停)以外にも借金問題を解決する方法はございます。
代表的なものとしては過払い金返還請求と時効の援用というものです。また、一般的な消費者金融だと思ってお金を借りたら実は闇金だったという場合にも解決手段はあります。
過去に借金を返し終わったことがある人や2010年以前に借金をしたことがある人の場合には、債務整理をする前に過払い金があるかどうかを確認することをおすすめします。
過払い金は2010年に法改正がある以前に借りたお金が対象ですが、2010年以前に借金をしていた場合、借金の利息を返しすぎていた場合があります。本来返すべき金額よりも多くのお金を返していたわけなので、請求手続きを取ることで自分のお金を取り戻すことができます。
実際、債務整理の中でも任意整理をする場合には、まず過去の借金の借りた時期を確認し、過払い金がありそうであれば情報開示や手続きを取り、多額の過払い金がある場合には債務整理をせずとも借金がなくなるということがありえます。
ただし、過払い金返還請求は最後の取引(最後の返済日)から5年が経つと時効を迎えてしまい、請求することができなくなってしまいます。そのため、現在借金の返済で困っていて債務整理をしようかどうか迷っているという人は、債務整理をするかどうかは別にしても弁護士や司法書士に相談した方がよいということもよくあります。
2010年以前に借金をしたことがある、という人はまずは無料相談からご利用ください。
長期間、借金の返済をしていない場合、その借金は手続きを取ることで返済をしなくてよいことがあります。借金には時効というものが存在し、お金を借りても長い間返済をしていない場合には「時効の援用」をすることで借金を帳消しにできます。
時効の援用というのは、債権者(貸金会社や金融業者など)に対して、「時効を迎えたので返済はしない」という意思表示をすることです。
借金の時効を迎えても時効の援用をしない限り借金はなくなりませんので注意が必要です。
時効の援用をするためには最後の取引から5年(個人間では10年)を経過している必要があります。また、債権者があなたに対して裁判を起こしている場合には時効の援用はできませんし、1円であっても返済をしてしまうと「借金を返済する」という意思を見せてしまうため、時効の援用ができなくなります。
もし、長期間返済していない借金がある場合、長い間返済していなかったのに突然返済を求められた場合などは一度弁護士や司法書士にご相談ください。
闇金とは、違法に上限金利を超えた金利で人にお金を貸す組織です。
貸金業を営もうとする者は、貸金業規制法により、財務局か都道府県知事の登録を受けなければなりません。しかし、闇金は無許可で貸金業を営んだり、法律で定められている上限金利を超えて貸し付け、取り立てを行ったりすることがあります。
例えば、10万円借りて10日で1万円返す(トイチ:10日で1割、年利365%)や10万円借りて10日で5万円返す(トゴ:10日で5割、年利1825%)という違法金利で貸し付けを行うのが闇金ですが、これは出資法という法律違反で、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金という犯罪行為です。
最近では、ソフト闇金という名称で貸金業を営んでいる会社もありますが、法律違反を行っていることには変わりありません。
闇金業者の金銭の給付は民法では「不法原因給付」となるもので返還する義務はありません。新貸金業規制法では貸金業を営むものが業として金銭を貸し付ける場合、上限金利を超えた契約はその契約自体が無効です。
そのため、闇金からお金を借りてしまった場合や金利が高すぎると思った場合、各自治体の法律無料相談や弁護士、弁護士などと協力して対応する必要があります。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。