過払い金請求をしたくてもトラブルに遭った事例や過払い金をあまり取り戻せなかった話を聞いて躊躇していませんか?
ただ、リスクを把握しておくことで対処は可能です。この記事では、
などについて解説します。
過払い金請求は貸金業者に支払いすぎた利息を取り戻す行為です。過払い金は民法第703条の不当利得にあたるため、支払い過ぎた利息を回収できます。
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(引用元:民法第703条|e-Gov)
過払い金請求が増加したのは平成18年の最高裁判決以降です。
本件期限の利益喪失特約のうち,上告人A1が支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同項の趣旨に反して無効であり,上告人A1は,支払期日に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,制限超過部分の支払を怠ったとしても,期限の利益を喪失することはなく,支払期日に約定の元本又は利息の制限額の支払を怠った場合に限り,期限の利益を喪失するものと解するのが相当である。
(引用元:最高裁判所判例集|裁判所)
しかし、アコムの過払い金請求件数の推移を見てもわかるように、過払い金請求は日々行われています。
そのため過払い金を取り戻すのは正当な権利です。
過払い金請求をするリスク |
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返済中に過払い金請求をするリスク |
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ブラックになるリスク |
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カード会社に過払い金請求するリスク |
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過払い金請求をやらないリスク |
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自分で手続きをするリスク |
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司法書士や弁護士に依頼するリスク |
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過払い金請求をする際のリスクは依頼者の状況で異なります。
借金の状況 | 過払い金と借金の状況 |
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完済済み | 完済済みなので問題ない |
返済途中 | 戻ってくる過払い金が借金よりも多い |
返済途中 | 戻ってくる過払い金が借金よりも少ない |
借金を返済途中でも戻ってくる過払い金が借金より多ければリスクは以下の2つに限られます。
過払い金請求をすると請求先の貸金業者を利用できなくなります。
ただ、信用情報機関には登録されないので、他の貸金業者からお金を借りたりカードを利用したりするのは可能です。
生活保護は国が定めた生活を保障する制度です。
過払い金は収入と判断されるので、支払いすぎた利息が生活保護の収入を超えると支給がストップします。
なお、過払い金を受け取った後は福祉事務所へ申告し、過払い金の返還も必要です。申告を怠たれば不正受給にあたります。
第六十三条 被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
(引用元:生活保護法第63条|e-Gov)
ただし、生活保護が受けられなくなっても、再度収入がなくなれば生活保護の申請は可能になります。
このように、過払い金請求は生活保護を受けている方でない限りリスクは少ないです。
ところが、返済途中に過払い金請求を行い、戻ってくる過払い金が借金よりも少ないケースではリスクがあります。
過払い金を回収しても借金を完済できない場合は、ブラックになります。
たとえば借金が80万円あるときに60万円の過払い金しか回収できなければ、借金の減額はできても完済はできません。
任意整理の扱いになるので、信用情報機関に情報が載りブラックになってしまいます。
過払い金請求をしてブラックになるとどのようなリスクがあるのでしょうか?くわしく解説します。
ブラックになると、新たにクレジットカードを発行したり、すでに持っているカードの利用ができません。
なぜなら、信用情報機関に任意整理をしたことが記録されるからです。
新たにカードを申し込んだケース | 申し込み審査時に信用情報機関の情報を見るため審査に通らない |
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カードをすでに保有しているケース | カード会社はカード保有中にも定期的に審査を行っており、審査段階でカードが利用できなくなる |
信用情報機関に任意整理の情報が載ると、ローンの審査にも通らなくなります。
そのため、これからマイホームや車を購入しようと考えている方は、先に借金を少しでも返済してから過払い金請求を行えばブラックになるリスクを抑えられます。
なお、過払い金請求する際にブラックリストに載ることが気になるのであれば、過払い金請求してもブラックリストに載らない唯一の方法も参考にしてみてください。
過払い金が発生している貸金業者がクレジットカード会社の場合、リスクがあります。
過払い金請求をすると、請求先のカード会社が発行したすべてのカードが利用できなくなります。
たとえば、JCBではJCB一般カードとJCB CARD Wのカードがあります。
JCBに対して過払い金請求を行うと、JCB一般カードのみに過払い金が発生しているケースでもJCB CARD Wの利用ができなくなるので注意しましょう。
ショッピング枠に支払い残高が残っていれば、過払い金は先にショッピング枠の支払い残高と相殺されます。
そのため、過払い金と借金が同じ金額でも、ショッピング枠の支払い残高が残っていればブラックになります。
手続き前にショッピング枠の支払い残高がないか確認をしておきましょう。
手続きが大変そう、なんとなく不安だという理由などで過払い金請求をしなければどのようなリスクがあるのでしょうか?
過払い金には時効があります。過払い金が発生しているにもかかわらず、完済日から10年が経過すると時効を迎えるため過払い金を取り戻せなくなってしまいます。
また、遅延損害金が発生しているケースでは、過払い金が多くなる可能性が高いです。
なぜなら、平成22年の貸金業法改正以前の遅延損害金率は利息制限法上限の1.46倍までと定められていたからです。
しかし、貸金業法改正により利息制限法第7条が新たに設けられたことで遅延損害金率は年20%までとなりました。
借り入れ額 | 借り入れ時の金利 | 遅延損害金の上限金利 |
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10万円未満 | 20% | 29.2% |
10万円〜100万円未満 | 18% | 26.28% |
100万円以上 | 15% | 21.9% |
貸金業法改正後の遅延損害金の上限 | 20% |
その結果、現行法の遅延損害金率である20%を超える遅延損害金を支払ったことがあれば過払い金がさらに増える可能性があるのです。
第四条 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
(引用元:利息制限法第4条1項|e-Gov)
第七条 第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
(引用元:利息制限法第7条1項|e-Gov)
貸金業者が倒産している場合、過払い金があっても過払い金を取り戻せないので注意しましょう。
請求先の貸金業者が倒産していれば、過払い金を支払うことが不可能だからです。たとえば武富士やクラヴィスなど倒産した貸金業者から過払い金を取り戻すことはできません。
過払い金請求をする際に弁護士や司法書士に依頼すると費用がかかるから自分で手続きをしようと考えている方もいるかもしれません。
ただ、自分での手続きはさまざまなリスクがあるのでおすすめできません。
自分で手続きをすると以下のようなタイミングで家族や会社に借金がばれる可能性が高いです。
そのため、家族に借金を隠している場合は、司法書士や弁護士への相談をおすすめします。
過払い金請求をするためには過払い金の引き直し計算を行います。
ただ、過払い金を誤って計算すると以下のようなリスクがあります。
また、複雑なケースによっては自分での計算が困難なこともあるため、弁護士や司法書士への依頼をおすすめします。
間違えた金額で過払い金請求を行い裁判で認められると、再び請求をすることはできないので、安易に請求をするべきではありません。
自分で手続きをする場合、貸金業者との交渉に苦戦するケースがほとんどです。
なぜなら、ほとんどの貸金業者は個人が交渉相手となると、発生している過払い金よりも相当低い金額での和解をもちかけるからです。
そのため、過払い金を多く取り戻すのは難しいでしょう。
過払い金請求の手続きを自分で行うケースでは、過払い金の交渉中も督促や取り立てがとまりません。
和解や裁判で解決するまでの期間、借金の悩みから解放されないのです。
司法書士や弁護士に依頼をしなければ、書類の準備や貸金業者との交渉などを自分で行わなければなりません。
法律の知識に乏しい方が働きながら必要書類を揃えて間違いなく記入するのは困難です。そのため手続きを進めるのに時間がかかり、負担の重くなります。
なお、過払い金が返還されるまでの期間については、過払い金請求の入金までの期間はどのくらい?1日でも早く取り戻す方法で解説しているので、参考にしてみてください。
自分で過払い金請求をするリスクが高いとなれば、司法書士や弁護士への依頼も検討しなければなりません。
では、過払い金請求を司法書士や弁護士に依頼した場合にもリスクはあるのでしょうか?
司法書士や弁護士のなかには悪徳業者も存在します。
たとえば、相談時には「過払い金が◯万円発生する」と説明されたのに、取り戻せた金額が半分という事例もあります。
司法書士や弁護士の能力不足の可能性もありますが、わざと少ない金額を伝えて着服する業者もあるので注意しなければなりません。
また、依頼者が望んでいないにもかかわらず大幅な減額和解を勧めてくる事務所も存在します。
このようにすべての司法書士や弁護士が頼れるわけではありません。ただ、複数の事務所に相談して決めれば悪徳業者に依頼するリスクは減らせます。
過払い金がどのぐらい返還されるかは依頼する事務所次第です。
そのため、過払い金請求の実績が乏しい事務所に依頼すると、過払い金があまり戻ってこないことがあります。
戻ってくる過払い金よりも弁護士や司法書士に支払う費用がかかり赤字にならないか心配されている方はいませんか?
着手金や基本報酬がかかる事務所では赤字になるリスクはあります。
ただし、着手金や基本報酬を無料にしている事務所も多くあり、費用も戻ってきた過払い金から支払わることがほとんどです。
そのため、手元のお金がなくても過払い金請求は可能なので安心してください。
司法書士法人杉山事務所に依頼をした場合も、回収した過払い金から費用を差し引くので費用の心配は必要ありません。
過払い金について電話で問い合わせを行う方も多いでしょう。
ただ、断りの連絡を入れた後も営業の電話が何度もかかってきたり強引な契約を迫ったりする事務所もあります。
強引に契約を結ばされた場合でも解約は可能です。
事務所が所属している弁護士会や司法書士会に連絡すれば、しつこい営業はされなくなるでしょう。
司法書士に依頼をすれば、過払い金請求におけるリスクのほとんどを避けられます。また以下のメリットもあるので安心して依頼できます。
過払い金請求をする際のリスクについて気になっている方はトラブルに遭わないか、過払い金をきちんと取り戻せるのか心配なのではないでしょうか?
ただ、司法書士に依頼すれば、リスクを避けながら多くの過払い金を回収できます。
司法書士法人杉山事務所では、過払い金の相談や着手金を無料で承っています。お気軽にお問い合わせください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。