過払い金から発生した利息も回収できる?利息も取り戻すための条件とは?

過去に貸金業者から利息制限法を超える金利で借金をした場合、過払い金請求ができます。ただ、過払い金だけでなく、過払い金にかかった利息も取り戻すことが可能なことをご存知でしょうか?

この記事では、

  • 過払い金の概要
  • 過払い金から発生する利息
  • 利息も含めて過払い金を回収するための条件

などを解説します。

過払い金から発生した利息についても請求すれば、より多くの過払い金を回収できるかもしれません。

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過払い金とは支払いすぎた利息のこと

過払い金とは支払いすぎた利息のことです。貸金業者から借金をすると借りたお金だけでなく利息をつけて返済をしなければなりません。

利息制限法を超える金利で借金をした場合、本来の利息よりも多く支払っていることになります。そのため、支払いすぎた利息は過払い金になるので取り戻すことができます。

過払い金が発生した原因はグレーゾーン金利

利息制限法と出資法では上限金利が異なる
利息制限法と出資法の上限金利

過払い金が発生した原因はグレーゾーン金利の存在です。グレーゾーン金利とは、利息制限法の上限を超えた金利と出資法の上限金利の範囲のことです。

貸金業者がお金を貸す際に適用される法律には利息制限法と出資法があります。

平成22年の貸金業法改正前には、2つの法律で上限金利が異なっていたため、多くの貸金業者は利息制限法を超える金利で貸付を行っていたのです。

しかし、平成18年1月13日の最高裁判決以降、利息制限法を超える金利での貸付はすべて違法となり、支払いすぎた利息は取り戻すことができるようになりました。

過払い金請求ができる根拠とは?

過払い金請求ができる根拠は過払い金が民法第703条の不当利得返還請求権にあたるからです。

第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

(引用:民法第703条|e-Gov

貸金業者が利息制限法の上限に違反する金利で貸していなければ過払い金は発生しません。以上のことから過払い金は不当利得にあたるので、取り戻すことができるのです。

過払い金はカードキャッシングのリボ払いも対象

過払い金請求と聞くと消費者金融をイメージするかもしれません。ただ、クレジットカード会社でリボ払いなどをしていたケースも過払い金は発生します。

その理由はほとんどのカード会社が、利息制限法を超える金利でお金を貸していたからです。

ただ、消費者金融とは異なり、過払い金が発生しない貸金業者もあるので注意してください。

過払い金請求は利息をつけて請求ができる

利息を含めて過払い金請求ができる
過払い金の利息も請求できる

過払い金は利息をつけて請求ができます。民法第704条にあるように貸金業者が悪意の受益者として認められれば、過払い金の利息も含めて請求可能です。

第七百四条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

(引用:民法第704条|e-Gov

悪意の受益者とは、高い金利でお金を貸した際に発生する利息が過払い金にあたることを知っている貸金業者のことです。

過払い金だけでなく、過払い金から発生した際にかかる利息についても請求ができるのです。

過払い金の利息は何%?

過払い金にかかる利息はどのぐらいでしょうか? 過払い金にかかる利息は5%です。

民法第404条(民法改正前) 5%
商法514条(後に削除) 6%

利息の割合については各法律によって異なっていました。

しかし、平成19年2月13日の最高裁判決により過払い金の利息は5%になったのです。

その理由は、過払い金が利益を得るための行為により発生したものと認められず、商法が適用される商行為に該当しなかったからです。

商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分と解するのが相当である。

(引用:最高裁判所判例集|裁判所

ただし、民法改正により令和2年4月1日以後に発生した過払い金については利息が3%になりました。

第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

2 法定利率は、年三パーセントとする。

(引用:民法第404条|e-Gov

他方、令和2年4月1日以前から発生している過払い金の利息は、これまで通り5%のままです。

過払い金発生日 過払い金にかかる利息
令和2年4月1日以前 5%
令和2年4月1日以後 3%

令和2年4月1日を挟んで過払い金が発生している場合はどうなる?

令和2年4月1日をはさんで過払い金が発生している場合は争う可能性がある
過払い金にかかる利息

ただ、令和2年4月1日以前から過払い金が発生しており、4月1日以降も返済を続けたケースでは、貸金業者と裁判で争う可能性が高くなります。

令和2年4月1日以前の利息 令和2年4月1日以後の利息
貸金業者の考え方 5% 3%
債務者の考え方 5% 5%

貸金業者の考え方は、令和2年4月1日を境に過払い金の利息を5%と3%に分けることです。この考え方が採用されると、債務者に返還される過払い金の利息は減ります。

他方、債務者の考え方は令和2年4月1日以前に一度でも返済をしていれば、4月1日以後も5%を適用する考え方です。

どちらの主張が適用されるかで戻ってくる過払い金にも影響が出るので、今後の裁判で貸金業者と争われる可能性が高いです。

過払い金の利息の発生時期はいつになるの

過払い金の利息が発生する場合、いつから発生したものと考えるのでしょうか?

平成21年9月4日の最高裁判決では、過払い金の利息の発生時期を過払い金が発生した時点としました。

したがって、過払い金の利息を計算する際も、過払い金が発生した時点から行います。

金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し,その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において,貸 主が悪意の受益者であるときは,貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない(大審院昭和2年 (オ)第195号同年12月26日判決・法律新聞2806号15頁参照)。このことは,金銭消費貸借が,貸主と借主との間で継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって,当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも,異なるところはないと解するのが相当である。

(引用:最高裁判所判例集|裁判所

利息つきで過払い金請求するとどのぐらい回収できるの?

過払い金請求する際に利息も含めて請求ができます。ただ、利息も含めて回収できたケース、そうでないケースと比較してどのぐらい戻ってくる過払い金が違うのでしょうか?

あくまでも簡易的な計算になりますが、過払い金が100万円、取引期間が10年で、以下の返還率のケースで比較しました。

  • 返還率70%
  • 返還率100%で利息は取り戻せなかった
  • 返還率100%で5%の利息も取り戻した

返還率70%

返還率が70%の場合、戻ってくる過払い金は70万円です。発生した過払い金を全額取り戻せたわけではないので、あまり良い結果とはいえません。

返還率100%で利息は取り戻せなかった

過払い金を満額回収したが利息を取り戻せなかった場合、戻ってくる過払い金は100万円です。

過払い金請求をしても7割ほどしか戻ってこないケースもあるので、戻ってきた過払い金が少ないともいえません。

返還率100%で5%の利息も取り戻した

一方、過払い金を満額かつ5%の利息も含めて取り戻した場合に、戻ってくる過払い金は150万円です。利息については以下のように計算できます。

100万円×5%×10年=50万円

たった5%の利息といえども返済期間が長ければ、戻ってくる過払い金は数十万円以上になるのです。

なお、この計算はあくまでも簡易的な計算です。実際に計算をする際は過払い金が発生した時点から利息がかかるので、さらに戻ってくる過払い金が増える可能性があります。

過払い金請求をするのであれば、利息つきで請求した方がより多くの過払い金を取り戻せるのです。

利息つきで過払い金を回収するための条件とは?

過払い金請求をすれば、必ず過払い金を利息つきで回収できるわけではありません。貸金業者が民法第704条にある悪意の受益者と認められる必要があります。

ただ貸金業者のなかには、過払い金が発生していることを知らずにお金を貸していたので、悪意の受益者ではないと主張するケースもあります。

なぜなら、平成18年1月13日の最高裁判決より以前は、多くの貸金業者が利息制限法の上限を超えていても出資法の上限を超えていなければ過払い金は発生しないと考えていたからです。

しかし、平成19年7月13日の最高裁判決では、ほとんどの貸金業者は悪意の受益者になると判断されました。

そうすると,少なくとも平成11年判決以後において,貸金業者が,事前に債務者に上記償還表を交付していれば18条書面を交付しなくても貸金業法43条1項 の適用があるとの認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるというためには,平成11年判決以後,上記認識に一致する解釈を示す 裁判例が相当数あったとか,上記認識に一致する解釈を示す学説が有力であったというような合理的な根拠があって上記認識を有するに至ったことが必要であり,上 記認識に一致する見解があったというだけで上記特段の事情があると解することはできない。

したがって,平成16年判決までは,18条書面の交付がなくても他の方法で元金・利息の内訳を債務者に了知させているなどの場合には貸金業法43条1項が適用されるとの見解も主張され,これに基づく貸金業者の取扱いも少なからず見られたというだけで被上告人が悪意の受益者であることを否定した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

(引用:最高裁判所判例集|裁判所

ただし、平成18年1月13日以降の取引については、貸金業者側も過払い金の発生を知らなかったと主張して裁判で争ってくる可能性があります。

取引期間 貸金業者の立場
平成18年1月13日以前 ほぼ悪意の受益者になる
平成18年1月13日以降の取引 悪意の受益者にならない可能性もある

その場合は「貸金業者がみなし弁済の要件を満たしていないので悪意の受益者である」と主張します。

ほとんどの貸金業者はみなし弁済の要件を満たしていることを立証するのは困難です。

そのため、悪意のある受益者と認められやすくなり、利息も含めて過払い金を返還しなければなりません。

司法書士や弁護士に依頼し、裁判を行うこと

過払い金にかかる利息も取り戻したい場合、過払い金を満額取り戻すことが前提です。

ただ、過払い金請求の手続きを自分で行った場合は過払い金を満額取り戻せる可能性はかなり低いです。

過払い金を満額取り戻すためには、司法書士や弁護士に依頼した上で、裁判をしなければなりません。

過払い金に利息をつけて請求するための方法とは?

過払い金に利息をつけて請求をするためには以下の方法で請求をしなければなりません。

  • 裁判をする
  • 司法書士や弁護士に依頼する

裁判をしなければ満額の回収さえ不可能

過払い金請求をすると、交渉による和解か裁判で過払い金が決まります。ただ、裁判をしなければ利息つきはおろか満額の回収さえ不可能です。

なぜなら、ほとんどの貸金業者が交渉段階で提示する金額は、本来発生している過払い金よりも低い金額だからです。

自分で手続きした 司法書士や弁護士に依頼した
交渉した際の相場 50% 70%
裁判をした場合の相場 70% 100%+利息も可能

交渉で解決すると、多くても過払い金の7割ぐらいしか回収できず、利息も戻ってきません。

したがって、利息も取り戻したいのであれば裁判をする必要があります。

司法書士または弁護士に依頼しなければならない

過払い金を利息つきで回収するためには、司法書士や弁護士の力を借りざるを得ません。

なぜなら、過払い金の知識に劣る個人が貸金業者側の弁護士に勝つことは不可能だからです。

他方、過払い金請求の経験が豊富な司法書士や弁護士に依頼すれば、過払い金を利息つきで取り戻せる可能性があります。

また、自分で手続きをする場合は、すべての手続きをしなければならず、手間や時間がかかります。

さらに、貸金業者側は強気な姿勢に出るため、提示額が低くなる傾向があり、回収できる過払い金は少ないです。

そのため、自分で手続きをするのではなく、司法書士や弁護士への依頼をおすすめします。

利息つきで過払い金請求したければ計算も司法書士に依頼する

過払い金を利息つきで取り戻す際に注意しなければならないのは過払い金の計算です。以下の理由から過払い金の計算も司法書士に依頼した方が精神的な負担もかかりません。

  • 過払い金の計算がより複雑になる
  • 計算を誤ると取り戻せる過払い金が少なくなる

過払い金の計算がより複雑になる

過払い金を計算する際は、実際に支払った利息と利息制限法の上限金利で正しい利息を計算し直す必要があります。

利息をつけて過払い金を請求する場合、その計算も複雑になります。なぜなら、実際に支払った利息には、過払い金から発生した利息は反映されていないからです。

そのため、自分で過払い金の計算をするのは困難です。

計算を誤ると取り戻せる過払い金が少なくなる

自分で過払い金の計算をすると、計算を間違える可能性があります。計算を間違えると、取り戻せる過払い金が少なくなるので注意してください。

過払い金の計算結果 結果
実際の過払い金よりも少ない金額 請求が認められても、回収できる過払い金は減る
実際の過払い金よりも多い金額 金額が正しくないと理由で貸金業者から返還を断られる

特に、以下のようなケースに当てはまる場合は、さらに計算が複雑になるので誤った金額を算出する可能性が高くなります。

ケース 計算が複雑になる理由
完済後、再び同じ貸金業者から借り入れをした
  • 時効を数え始める日について貸金業者と債務者で主張が異なる
  • 複数の取引を別個とするか一連性のある取引とするかで過払い金が異なる
借金の返済が遅延したことがある
  • 遅延損害金からも過払い金が発生している
  • 貸金業者が返済を利息ではなく、遅延損害金の支払いを主張することがある

裁判でも貸金業者と争点になりやすいので、自分で解決しようとはせず司法書士への相談をおすすめします。

おわりに

過払い金が発生している場合、過払い金に利息をつけて請求できます。

また、消費者金融やクレジットカード会社は、悪意のある受益者として認められやすいです。

ただ、利息も含めて過払い金を回収するためには、過払い金請求の実績が豊富な司法書士や弁護士に依頼した上で裁判をしなければなりません。

司法書士法人杉山事務所では、毎月過払い金の相談を3000件、回収した過払い金は毎月5億円にも上ります。

相談料や着手金は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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