過払い金の手続きの流れが知りたいといったお悩みを解決します。過払い金の手続きには全部で4パターンあり、それぞれによって手続きの流れや返ってくる過払い金の金額も変わってきます。今回は、過払い金の手続きの流れや必要書類・費用・期間や合わせて弁護士や司法書士に依頼するべき理由などを解説します。
過払い金請求の手続きは全部で4パターンあります。【任意交渉】で行うか【裁判】を行うかに分かれ、さらに個人で手続きをするか弁護士や司法書士に依頼するかによって、過払い金請求の手続きの流れは変わってきます。
それぞれどのようなメリットがあるか一覧に表しています。
手続きの方法 | メリット |
---|---|
依頼して裁判 | 効率的で利息分も含めてより多くの過払い金が取り戻せる |
依頼して任意交渉 | 効率的に早く過払い金を取り戻せる |
自分で裁判 | 法的知識を持っている人であれば依頼費用をかけずに取り戻せる。 |
自分で任意交渉 | 和解交渉で妥協しなければ依頼費用が掛からない分、多くを取り戻せる |
基本的に、個人で裁判や任意交渉を行うのはかなり難しいため、弁護士や司法書士に依頼して過払い請求をする流れが一般的です。
弁護士や司法書士に依頼して任意交渉を行う方法です。
裁判を行わないので、過払い金返還までの期間は短く済み「できるだけ早くまとまったお金が欲しい」という方に向いています。
弁護士や司法書士に依頼することで、個人で行う場合よりも過払い金請求手続きにかかる時間や手間を減らすことができ、交渉を上手に進めてくれるので、多くのお金が返ってくる可能性があります。基本的には着手金・報酬金などの費用がかかりますが、それ以上の多くの過払い金が返ってくる可能性が高いです。
弁護士や司法書士に依頼して裁判を行う方法です。
裁判を行うことで、基本的に過払い金の元本が全て返ってきて、なお且つ利息も含めて返還してもらうことができます。そのため、「時間をかけてもよいから、多くの金額を取り戻したい」という方に向いています。
弁護士や司法書士に依頼せずに、自分で任意交渉を行う方法です。過払い金請求の手続きを行う場合、多くの書類を用意したり引き直し計算の手間がかかるので、余計な時間が掛かってしまう可能性があります。
弁護士や司法書士に依頼せずに、自分で裁判を行うこともできます。ただ、裁判を行う場合、貸金業者とのやり取りは書類や電話を通して自分で行う必要がありますし、平日の日中に出頭しなければいけないなどの時間的制約もあります。
弁護士や司法書士に依頼した場合の過払い金請求の手続きの流れを解説します。任意交渉を行う場合と、裁判を行う場合では手続きの流れが若干変わってきます。
任意交渉の場合の過払い金請求手続きの流れは以下の通りです。
まずは過払い金請求に関するお話を面談を通してヒアリングします。
上記は一例ですが、ご相談様が今後どうされたいのかを一緒に考えていきます。
お話を伺い、受任いただける場合には事務所と相談者様の間で「過払い金請求委任契約」を締結させていただきます。「過払い金請求委任契約」を結んだ後は、相談者様は消費者金融やクレジットカード会社とのやり取りは一切不要で、担当が連絡を取ります。
「内容証明郵便」にて事務所が介入した旨を貸金業者に通知します。同時に貸金業者に対して、取引履歴の開示も行います。
借金を返済中に過払い請求手続きを行う場合、貸金業者に受任通知が到達した時点で借金の取り立てはストップします。(個人で行う場合は、借金の取り立てはストップしません)
「受任通知」到達後、1~2週間から1ヶ月くらいの間に各貸金業者から「取引履歴書」が事務所に届きます。取引履歴書をもとに引き直し計算をおこないます。引き直し計算とは「グレーゾーン金利で過剰に支払っていた金利分を利息制限法に基づいて借金の残高を調べ直す」ことを言います。
過払い金が発生していた場合、事務所が貸金業者と直接交渉をおこない、返還の金額と時期を協議します。
過払い金返還の流れとしては、金融業者から事務所の口座に入金されたのち、費用を清算した上でご相談者様の口座に入金という流れになります。
任意交渉の段階で過払い金の返還額に折り合いがつかなかった場合に裁判を起こします。裁判をすると任意交渉に比べて過払い金返還までの期間が長期化になりがちですが、オリエントコーポレーション(オリコ)など、一部の貸金業者では最初から訴訟した方が早い上、より多くのお金が戻ってくるという例もあります。
裁判を行うと過払い金の元本を全て返還してもらえる上に、利息も含めて全額回収できます。そのため、「時間がかかっても多くのお金を取り戻したい」という方に向いています。
裁判の場合の過払い金請求手続きの流れは以下の通りです。
訴訟による過払い金請求は、過払い金の引き直し計算後に訴状、証拠説明書、準備書面などを作成し、裁判所に提出することではじまります。
裁判所に訴状を提出します。第1回口頭弁論は訴状提出後の約1ヵ月に開催されます。その後は結論が出るまで毎月1回くらいのペースで第2回、第3回と繰り広げられていきます。
裁判中であっても和解を行うことは可能です。期間を長引かせたくない場合はこちらから和解しても良いですし、相手側から和解案を提示されることもあります。
なお、通常、過払い金請求を裁判で行った場合には原告(依頼者)が負けることはありません。一方で裁判が長引いて6~12ヵ月かかる可能性もあるので、和解案に応じるかどうかは裁判にかかる時間とどれぐらい返金されるかの兼ね合いを考えるようにしましょう。
過払い金返還の流れとしては、金融業者から杉山事務所の口座に入金→費用を清算した上でご相談者様の口座に入金という流れになります。
任意交渉 | 裁判 | |
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成功報酬 | 20% | 25% |
必要期間 | 3か月~ | 6ヶ月~ |
弁護士や司法書士に依頼する場合は、ほとんどの場合において、任意交渉では返還額の20%、裁判すると返還額の25%は必須です。加えて、相談料、着手金、基本報酬・解決報酬、過払い金(成功)報酬、減額報酬といった費用が掛かります。
弁護士や司法書士に依頼する場合は、必要書類を用意してくれるケースが多く、身分証明書や印鑑があれば良いです。
個人で行う場合のの過払い金請求の流れを解説します。
手続きの流れとしては以下の通りです。
各賃金業者に電話やメールなどで「取引履歴」が欲しいと伝えれば、店頭受け取りまたは郵送にて開示されます。
現在では、インターネット上で公開されているエクセルを利用した過払い金計算ツールを使って、引き直し計算ができるようになっています。
取引履歴書を見ながら、「お取引日」「貸付」「入金」部分に従って、日付と借入金額・日付と返済金額を入力していきます。
過払い金が分かったら、貸金業者に過払い金返還請求書の送付をします。特に決まった書式などはありません。送った・受け取った証拠が分かるように、内容証明郵便で配達証明を付けて送ると良いでしょう。
担当者と電話で直接やり取りをして過払い金の返還金額・返還期日の交渉をします。
提示された金額に納得がいかなければ、過払い金請求の裁判を起こします。裁判を行う場合は、訴状や証拠書面など必要書類の作成が必要です。また、平日に裁判所に出頭する必要があります。
任意交渉による和解や裁判による判決が下されれば、過払い金が返還されます。
個人で行う場合は、必要な書類を全て自力で用意しなければいけないため、時間や手間がかかります。
必要書類は以下の通りです。
過払い金請求を自力をやるのは難しい理由をご紹介します。
上記は一例ですが、さまざまな理由から自力で過払い金請求を行うことはおすすめできません。
過払い金の引き直し計算は複雑で細かい計算が必要になるため、面倒と感じることも多いです。あまりの複雑さゆえに債権者も間違えることもあります。
引き直し計算が複雑で面倒と感じる理由は主に2つあります。
取引の分断は、「一度借金を完済した後、空白期間が空いて再度お金を借り入れる際に別々の取引として見ること」を指します。反対に、一連取引は全てを同じ取引としてみることを指します。同じ取引としてみるか、別々の取引としてみるかで過払い金の額が変わってくるため、「これは取引の分断にあたるのか、それとも分断にはあたらないのか」を正確に判断し引き直し計算をする必要があります。しかしながら、個人で行う場合は判断が難しい場合が多いです。
また、閏年問題があります。通常賃金業者からお金を借りる際は、閏年の時でも、1年を365日として利息計算を行います。しかし、引き直し計算の場合は閏年を366日として正しく計算します。上記の知識が無ければ正しい計算ができずに、余計な時間が掛かってしいます。
債権者は個人に対して強気で交渉してくることが多いです。弁護士や司法書士に依頼するのではなく、個人で争う場合は足元を見られて低めの金額を提示されることも多いです。より多くお金を取り戻したい場合は、弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。
自分で過払い金返還請求をする場合には、賃金業者と書面上のやりとりも自ら行うことになります。そうなると自宅へ取引履歴や裁判所からの通知書などの書類が送られてくるので家族へ借金をしていたことがバレてしまうリスクもあります。
支払いの延滞には遅延損害金といって、遅れた分の損害金を払わなければいけないケースがあります。遅延損害金も違法な高金利で支払っていた可能性があるので過払い金が増えるケースもあります。
遅延損害金が発生した場合は引き直し計算が複雑になるほか、計算間違いが原因で請求額が少なくなったり、請求できなくなる可能性があります。
過払い金請求の手続き時のよくある質問をご紹介します。
可能です。ただし完済した日から10年経ってしまうと時効により請求が出来なくなります。
可能です。ただし、生活保護を受給している場合は申告が必要です。
必要な書類を紛失した、あるいは用意が出来ないといった場合でも過払い金の請求ができる可能性があります。例えば取引履歴があれば、利用明細や領収書が無くても引き直し計算は可能です。
過払い金請求の手続きは個人で行うのではなく弁護士や司法書士に依頼するべきです。
弁護士や司法書士に依頼するメリットは以下の通りです。
上記のように個人で行う場合と比べて、はるかにメリットが大きいです。
無料相談も可能なので、過払い金請求にお悩みの方は一度杉山事務所にご相談ください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。