Q.奨学金に過払い金は発生しますか?

A.奨学金は金利が低く、過払い金が発生することはありません。ただし、例外的に保証人であればお金を取り戻せる可能性があります。

過払い金が発生するには利息制限法の上限金利(15%~20%)以上での借り入れをしたことがあることが条件です。奨学金も借金ではありますが、金利は非常に低く、利息制限法の金利を順守していますので過払い金が発生することはありません。

ただし、保証人が奨学金を返済したことがある場合に限って、後述するようにお金を取り戻せる可能性があります。

奨学金には過払い金は発生しない

過払い金は貸金業者に利息を支払い過ぎた場合に発生するものですが、奨学金は金利が非常に低いため利息を支払い過ぎたということがおきることがありません。

これは一般的な貸金業者は利潤を目的として貸し出すため、できるだけ高い金利で貸し出しをしていたのに対し、奨学金は利益を目的としていないため高い金利で貸し出す必要がないためです。

毎月の返済でかなりの利息を支払っているという方もいますが、利息が高いのは借りた金額が多いということであり、金利が高いということではありません。

奨学金の金利

奨学金は地方公共団体や奨学金事業団体から借りることもできますが、ほとんどの場合では日本学生支援機構(JASSO)から借りているはずです。

奨学金借り入れの際の金利は変動しますが、令和2年のJASSOの貸与利率では高くても0.4%前後です。通常の借金やカードローンでは15%前後の金利であることを考えれば非常に低い金利であることがわかります。

奨学金に過払い金が発生しない理由

前述のように奨学金の金利は0.4%前後と非常に低く、過払い金が発生する理由がグレーゾーン金利で返済をしていたことであることから奨学金には過払い金が発生しません。

グレーゾーン金利というのは利息制限法の上限金利(15%~20%)以上であり、改正前の出資法の上限金利(29.2%)を越えない金利のことを指します。

奨学金の返済に困った場合の対処法

奨学金の返済に困った場合には次のような制度を使って返済免除、減額、猶予してもらうことができます。

  • 返還免除制度
  • 減額返還制度
  • 返還期限猶予制度

返済がどうしても難しい場合には債務整理(自己破産)という手段しかありませんが、多くの場合には自己破産を選択せずとも解決は可能です。

奨学金の返済が難しくなった場合には返還が難しいとき(日本学生支援機構)をご確認ください。

保証人であれば返還される可能性がある

例外的にですが保証人が奨学金を返済した場合にはお金が戻ってくる可能性があります。

ただし、返還される可能性があるのは保証人の返済義務を越えて支払った場合に限ります。

※ここでいう「過払い金」は一般的な過払い金とは異なります。

保証人の返済義務

法律では分別の利益といいますが、借金に対して保証人が複数人いた場合には人数で借金を割った金額が保証人の返済額の上限となります。

例えば、100万円の借金をして保証人が2人いた場合には50万円が返済義務、3人いた場合には33万円が返済義務となります。

奨学金の場合には連帯保証人と保証人を付けますので保証人の返済額の上限は最大でも借りた額の半分です。そのため、借りた額の半分以上を保証人が返済した場合には過払いの状態になります。

連帯保証人に分別の利益はない

分別の利益が認められるのは保証人に限りますので連帯保証人であれば全額を返済する義務があります。そのため、連帯保証人が奨学金を返済した場合にはお金が戻ってくることはありません。

保証人が奨学金を過払い金請求した例

保証人が奨学金の過払い金請求をして実際に変換を受けた事例は2020年の段階では確認できておりませんが、2019年5月10日付けの朝日新聞の記事によると全額を返し終えた保証人が返還を求めて東京地裁などに訴えを起こしたとあります。

2020年の時点では裁判所が返還を認めたのか、認めなかったのかの結論が出ておりませんが、一度認めるとそれが判例となって全国的に保証人からの過払い金請求を認める可能性があります。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

過払い金請求のよくある質問へ戻る