過払い金請求の手続きを自分でやりたいと考えていませんか?過払い金請求の手続きを自分でやれば司法書士や弁護士の費用が抑えられると考えているかもしれません。
そこでこの記事では、
などについて解説します。
自分で手続きをする際のデメリットや注意点も知っておけば、手続き後に後悔することはなくなります。
過払い金請求は自分でやることも可能です。ただ、過払い金請求を自分でやるとなると過払い金の知識が必要です。
また、手続きの手間や時間をかけられる余裕がある方でなければ精神的な負担が重くなるので注意してください。
過払い金請求を自分でやるメリットは、司法書士や弁護士に支払う費用を抑えられることです。
和解 | 裁判 | |
---|---|---|
自分でやる場合 | 数百円前後 | 2万円前後 |
司法書士や弁護士に依頼する場合 |
|
自分で手続きをする場合にかかる費用は、郵送料や書留料など数百円前後しかかかりません。
裁判をした場合でも2万円前後です。
他方、司法書士や弁護士に依頼すると着手金や基本報酬だけで数万円必要です。さらに、成功報酬として過払い金の20%〜25%前後の費用がかかるので、トータルの費用は数十万円以上にもなります。
このように自分で手続きをした方が手続きの費用は抑えられます。
過払い金請求を自分でやるとさまざまなデメリットがあります。事前にこれらのデメリット理解した上で手続きをしなければ後悔することになります。
自分で手続きをする場合、書類を揃えたり過払い金の計算をしたりと時間がかかります。
過払い金についての知識がなければ、書類の記入ミスや交渉が上手くいかないこともあります。
働きながらこれらの手続きをしなければならないので、仕事にも集中できません。
過払い金の引き直し計算は以下の手順で行います。
過払い金の計算は単純ではないので、知識がなければ難しいです。たとえば、同じ借金額でも取引期間や金利で戻ってくる過払い金は一人ひとり違います。
さらに、返済に遅れた場合や何度も同じ貸金業者から借金をした場合は計算が複雑になるため、自分の力だけで正確な過払い金を計算するのは困難です。
貸金業者との交渉も自分でやらなければなりません。貸金業者の担当者は交渉相手が個人とわかると提示額を低くします。
知識がなければ、債務者の主張を通すのは困難です。
貸金業者の提示額に不満があれば裁判をします。ただ、裁判所は平日しか開いていないため、会社員であれば有給を取って裁判所に行かなければなりません。
また、裁判になれば貸金業者は弁護士を立てます。過払い金の知識が乏しい個人が希望通りの過払い金を回収するのは困難です。
自分で手続きをする場合、貸金業者側とのやりとりを直接しなければなりません。
借金を隠していても、過払い金請求をしたことがきっかけでバレるリスクが高いです。
手続き | バレる原因 |
---|---|
取引履歴の開示請求 | 取引履歴が自宅に届く |
過払い金請求を行う | 督促が止まっていても、過払い金請求の意思を表明したことで、督促が再開される可能性がある |
貸金業者の交渉 | 話で交渉するため、自宅で交渉をすると怪しまれる |
裁判をした際 | 裁判所からの書類が自宅に届く |
したがって、家族に借金を隠している場合は、自分で手続きをするのはおすすめできません。
自分で過払い金請求の手続きをした場合、貸金業者側の提示額でまとまるケースがほとんどです。裁判まで進んでも知識がなければ取り戻せる過払い金は少なくなります。
自分で過払い金請求した際に回収できる金額の目安 | |
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和解 | 過払い金の50% |
裁判 | 過払い金の70% |
和解をした場合は過払い金の50%しか戻ってきません。裁判をしても70%取り戻すことができれば高い方でしょう。
したがって、自分での手続きでは過払い金を満額取り戻すのはほぼ不可能です。
自分で過払い金請求をする際は以下の手順で手続きを行います。
過払い金請求をする際に必要なのが貸金業者との取引履歴です。取引履歴は以下のいずれかの方法で取り寄せます。
電話をする場合、ホームページなどに載っているお問い合わせ先やカード裏面の問い合わせ先などに連絡します。
また、ホームページから開示申請書をダウンロードして郵送することも可能です。
取引履歴が手元に届くまでの期間は早い貸金業者で10日、遅ければ1か月以上かかることもあります。
ちなみに、貸金業者が取引履歴の開示を断ることは認められていません。
平成19年7月19日の最高裁判決でも取引履歴の開示を求められた貸金業者は取引履歴を開示する義務があると結論づけています。
貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うものと解すべきである。
(引用:最高裁判所判例集|裁判所)
なお、取引した貸金業者を覚えていなくても過払い金請求は可能です。
自分で過払い金計算をする場合は、エクセルと過払い金計算ソフトで計算をするのが一番正確に計算できます。
必要なものは以下の通りです。
過払い金計算ソフト(外山式や名古屋式などを用意)はネット上で無料配布されています。
計算ソフト | 配布先 |
---|---|
外山式 | アドリテム司法書士事務所 |
名古屋式 | 名古屋消費者信用問題研究会 |
以下の手順で計算を行えば、過払い金が表示されます。
ただ、1か月ずつ入力をしなければなりません。
つまり10年かけて完済した場合は120行分入力が必要なので手間がかかります。また、過払い金計算ソフトは以下のようなケースを想定して作られていません。
ケース | 正確な計算ができなくなる理由 |
---|---|
返済を滞納したことがある | 遅延損害金が発生するから |
完済後に再び同じ業者から借り入れをした | 複数の取引が個別・一連のどちらになるかで時効を数え始める日が変わるから |
すべての期間の取引履歴が揃ってない | 返済額や利息がわからないから |
そのため、複雑なケースに該当する場合は、自分で計算しようとしても上手くいかないので、司法書士に依頼するのをおすすめします。
正確な過払い金がわかったら、貸金業者に対して過払い金返還請求書を送ります。
過払い金返還請求書は名古屋消費者信用問題研究会などにテンプレートがあるので、テンプレートに沿って作成するのがかんたんです。
過払い金返還請求書には以下の内容を順番に記載します。
なお、時効は過払い金返還請求書を送ってようやく止まります。手続き開始時点で時効が迫っている場合は、素早く手続きをするためにも司法書士への依頼をおすすめします。
過払い金返還請求を送った後に、すんなり貸金業者が請求した金額を支払うことはありません。貸金業者も過払い金を満額支払いたくないからです。
そのため、電話で交渉を行いますが、貸金業者は交渉相手が個人とわかると強気の姿勢を見せます。
ほとんどのケースでは、本来発生している過払い金よりも少ない金額での和解を持ちかけてきます。
したがって、自分での手続きで多額の過払い金を回収するのは困難です。
貸金業者からの提示額に不満があれば以下の手順で裁判を行います。
裁判になったらまず訴状を提出しなければなりません。
そして、裁判所で第1回口頭弁論が行われます。口頭弁論では訴状の内容(過払い金請求額など)について主張します。
結論が出るまでの間1か月に1回のペースで何度も裁判所で口頭弁論が行われます。したがって、貸金業者側ともめた場合は裁判が長引くので注意が必要です。
たとえば、以下のようなケースは貸金業者ともめやすいです。
ケース | 主な争点 |
---|---|
完済後に同じ貸金業者から再び借金 |
|
借金を滞納している | 滞納後に支払ったお金が利息・遅延損害金のどちらか? |
過払い金を利息付きで請求 | 過払い金を利息付きで返済するか否か? |
返還する過払い金の割合でもめる | 返還する過払い金をいくらにするか? |
古い取引履歴がない | 債務者の計算した過払い金に信用性があるか? |
貸金業者がすぐに満額の返還に応じた場合は3か月前後で裁判は終わります。
ただ、自分で裁判をした場合、貸金業者は全力で争ってくる可能性が高く、裁判だけで6か月以上かかることもあるので注意が必要です。
貸金業者との主張の違い | 裁判の期間 |
---|---|
すんなり判決や和解した場合 | 3か月前後 |
貸金業者との争点が多い場合 | 6か月以上 |
また、和解は裁判中でも可能で、裁判前の交渉よりは多くの過払い金が戻ってきやすいです。
和解の種類 | 特徴 |
---|---|
裁判をする前の和解 | 戻ってくる過払い金は少ない傾向 |
裁判中の和解 | 裁判前の和解よりも過払い金が多く戻ってきやすい |
自分で過払い金請求の手続きを行い裁判に持ち込んでも、戻ってくる過払い金は7割前後が限界です。
裁判を終えるまでの時間も長く何度も裁判所に出頭しなければなりません。自分で手続きをする負担を考ええれば、司法書士に依頼した方が楽です。
過払い金請求を自分でやる際はさまざまな注意点があります。過払い金についての知識がなければ、手続きに苦労するので把握しておきましょう。
貸金業者に対して取引履歴の開示請求をすると、ゼロ和解の提案をされることがあります。ゼロ和解とは、借金をゼロにするのでお互いに債権や債務がない(過払い金も発生していない)ことの同意をすることです。
ゼロ和解をすれば借金はなくなりますが、過払い金請求ができなくなります。
特に、取引期間が長ければ借金を超える過払い金が発生しているケースも珍しくありません。
借金がゼロになる代わりに過払い金請求の権利を放棄することにつながるので、貸金業者の提案にのらないように注意してください。
ネット上では司法書士や弁護士事務所が運営しているサイトで、過払い金診断シミュレーターと呼ばれるものがあります。
これらのシミュレーターでは「わずか5分で過払い金がわかる」ような表記がありますが、正確な過払い金はわからないので過信は禁物です。
なぜなら、借金の返済状況は一人ひとり違うため、借金額や金利・返済期間を入力しただけでは正確な計算が難しいからです。
実際に、過払い金シミュレーターの計算結果と実際に回収できた過払い金がまったく異なり、トラブルに発展するケースもあります。
したがって、過払い金を楽に計算したい場合は、司法書士に相談して過払い金の計算を依頼するのをおすすめします。
ケース | 過払い金請求への影響 |
---|---|
誤って少ない金額で請求した場合 | 戻ってくる過払い金が減る |
誤って多い金額で請求した場合 | 貸金業者が対応してくれない |
自分で手続きをする際に過払い金の計算を間違えると、過払い金請求にも悪影響です。
たとえば、誤って少ない金額で過払い金請求をすれば、戻ってくる過払い金は本来発生している金額よりも減ります。
一方、多い金額で請求をすると、過払い金の計算を間違えたという理由で貸金業者は応じてくれません。
特に、何度も同じ貸金業者で借金をしたり滞納をしていたりする場合は、計算が複雑になるので間違えた金額で請求するリスクも高くなります。
貸金業者に取引履歴の開示請求を行っても、すべての期間の履歴を開示しないケースがあります。その理由は、貸金業者が古い履歴を残していないことがあるからです。
すべての取引履歴がない場合は、以下の方法で計算を行いますが、通常の計算方法よりもさらに複雑になるため、自分の力で計算をするのは困難です。
計算方法 | 概要 |
---|---|
ゼロ計算 | 開示されている履歴の冒頭を0円として計算 |
推定計算 | 取引履歴のうち開示されていない部分を再現することで、発生している過払い金を計算する方法 |
また、ゼロ計算をする場合は、開示された履歴よりも数年前から取引があったことを証明する必要があります。
古い履歴を破棄している貸金業者もあるので、自分でやるよりも司法書士に計算をしてもらった方が正確に計算が可能です。
過払い金には時効があります。時効を迎える前に過払い金請求の手続きを行わなければ、過払い金は二度と取り戻せません。
したがって、過払い金があることに気づいたのが時効直前だった場合、自分で手続きをするよりも司法書士に依頼するのをおすすめします。
過払い金の知識が少なければ自分での手続きに時間がかかり、時効までに手続きが間に合わない可能性があるからです。
自分で手続きをするメリットは司法書士や弁護士に支払う費用がないため、手続き費用を抑えられることです。
ただ、司法書士や弁護士に支払う費用がないからといって、手元に残るお金が増えるわけではありません。
たとえば、過払い金が100万円発生しているケースで考えてみましょう。
自分でやる場合 | 司法書士に依頼する場合 | |
---|---|---|
手続き費用 | 数百円 | 17万円※ |
回収できた過払い金 | 50万円 | 70万円 |
手元に残る現金 | 約50万円 | 53万円 |
貸金業者と交渉で和解した場合、司法書士に依頼した方が約3万円ほど多くお金が残ります。
着手金や基本報酬がかからない司法書士事務所もあり、その場合は手元に残るお金がさらに多くなるのです。
次に裁判をした場合に同じ条件で比較します。
自分でやる場合 | 司法書士に依頼する場合 | |
---|---|---|
手続き費用 | 2万円 | 28万円 |
回収できた過払い金 | 70万円 | 100万円 |
手元に残る現金 | 約68万円 | 72万円 |
裁判をした場合も、自分でやるより司法書士に依頼した方が手元に残るお金が多い傾向です。
このように、自分で手続きをした方が必ず手元に現金を残せるわけではありません。
さらに、司法書士への依頼費用は回収した過払い金から回収するので、依頼費用を用意できない方でも安心して依頼できます。
過払い金請求の手続きは自分でやることも可能です。ただ、知識がなければ途中で行き詰まるケースも多くあります。
過払い金請求で行き詰まった場合は、手続きの途中から司法書士へ依頼することも可能です。
司法書士に依頼すると以下のようなメリットがあります。
司法書士に依頼をすれば自分で手続きをするよりも多くの過払い金を回収できます。
自分で手続きをした | 司法書士に依頼した | |
---|---|---|
和解の場合 | 50% | 70% |
裁判の場合 | 70% | 100%+利息 |
たとえ和解になるケースでも発生している過払い金の半分と7割では大きな違いです。
また、過払い金を満額取り戻したいのであれば、司法書士に依頼して裁判をするしか方法がありません。
司法書士に手続きを依頼すればすべての業務を代行するので手間や時間がかかりません。
働きながら過払い金が戻ってくるのを待つだけなので、手続きで疲れることもないのです。
司法書士に依頼した場合、貸金業者や裁判所とのやり取りは司法書士が行います。そのため、自宅に書類が届いたり貸金業者から電話がかかってきたりしません。
このように安心して司法書士に手続きを任せられるのです。
過払い金請求は自分で手続きを行うことができます。ただ、手続きの手間や時間を考えると割に合わないと考えるので自然です。
また、司法書士に依頼した方が多くの過払い金を回収できます。
司法書士に支払う費用を差し引いても自分で手続きをやるよりも多くの過払い金が手元に残る可能性があります。
司法書士法人杉山事務所は毎月過払い金の相談が3000件以上、取り戻した過払い金は毎月5億円以上です。
相談料だけでなく着手金も無料で承っているので、お気軽にお問い合わせください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。