借金を滞納してしまい遅延損害金が発生した場合の過払い金請求

借金の返済が難しいという理由でやむなく滞納していませんか?ただ、滞納をし続けても借金の悩みから解放されることはありません。

そこでこの記事では、

  • 借金を延滞・滞納した場合どうなるのか?
  • 延滞や滞納した際の過払い金請求への影響
  • 滞納時に過払い金請求をする際の注意点

などについて解説します。

過払い金請求でお悩みの方はお気軽に無料相談をご利用下さい。
ご相談や出張無料も無料!杉山事務所へご質問だけでもお気軽にどうぞ!電話で無料相談するメールで相談するお電話は9時~19時まで、メールは24時間いつでも受付!

借金を延滞・滞納するとどうなるのか?

借金をすると期間を定めて分割払いで返済を続けていきます。

しかし、返済するお金を用意できないなどの理由でやむを得ず借金の延滞や滞納をしている方もいるのではないでしょうか?

では、借金の返済中に延滞したり滞納したりすると、どうなるのでしょうか?

返済に遅れると一括請求される

貸金業者から借金をする際には契約書を結ぶケースがほとんどです。

契約書には「一度でも返済日に遅れた場合は残りの借金も含めて一括請求を求める」という記載があります。

ただ、基本的に借金を延滞しても一括での返済を求められることはほとんどありません。延滞後も返済を続けることができます。

貸金業者は遅延損害金利率を定めている

借金を延滞したら遅延損害金も支払う必要がある

ただ、借金を延滞した場合は通常の返済額とは別に日数に応じた遅延損害金を支払わなければなりません。

遅延損害金とは、債務者が決められた期日までに支払いをしなかった場合に損害賠償金として支払うお金です。

支払う遅延損害金は遅延損害金利率と延滞した日数に応じて決まります。

遅延損害金利率は通常の貸付金利よりも高く設定されていることがほとんどですが上限は年20%です。

たとえば、アコムで50万円を借りた場合の貸付金利の上限は18%です。しかし、遅延損害金利率は20%に設定されています。

遅延損害金は利息制限法の上限金利の1.46倍まで

遅延損害金利率が20%になったのは平成22年に貸金業法が改正されたことが要因です。

それまでは、利息制限法第4条に定められたように利息制限法の上限金利の1.46倍を超えない金利を適用できていました。

借り入れ額遅延損害金率(利息制限法改正前)遅延損害金率(利息制限法改正後)
10万円未満29.2%20%
10万円〜100万円未満26.28%
100万円以上21.9%

しかし、多重債務者を救済する目的で新たに利息制限法第7条が設けられました。

この条文により、貸金業者のようにお金を貸し付ける場合には利息制限法第4条は適用されなくなったのです。

第四条 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

引用元:利息制限法第4条|e-Gov

第七条 第四条第一項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

引用元:利息制限法第7条|e-Gov

つまり、過去に貸金業者から借金をした際に、利息制限法の上限金利を超える遅延損害金を支払った場合は遅延損害金分の過払い金についても取り戻せる可能性があります。

ただし、過払い金を含めても返済ができていない期間に発生した遅延損害金は支払わなければなりません。

延滞や滞納をしても過払い金請求はできる

過去に利息制限法の上限を超える金利で借金をしていれば過払い金請求ができます。そして、過払い金請求をする権利は延滞や滞納をしていても消えません。

ただ、延滞や滞納をしていた場合に発生する遅延損害金の扱いについて債務者と貸金業者で主張が異なるケースがあるので注意が必要です。

債務者側の主張貸金業者側の主張
  • 過払い金は回収できる
  • 年20%を超える遅延損害金も過払い金にあたるので取り戻せる
  • そもそも徴収していたお金は利息ではない
  • 一括請求に応じない期間の遅延損害金を徴収しただけ

貸金業者が遅延損害金利率を適用すべきと主張することがある

貸金業者は払ったのは利息ではなく遅延損害金であると主張し、返還額を引き下げる主張をしてくることがある

貸金業者のなかには「徴収していたお金は利息ではなく一括返済に応じなかった遅延損害金。利息が発生していないので過払い金請求はできない」と主張する業者も存在します。

貸金業者の主張が通れば、毎月返済を続けているのではなく遅延損害金を支払い続けていることになるため、過払い金も減額されます。

なぜなら、遅延損害金率を超えた分しか過払い金請求ができなくなるからです。

借り入れ額遅延損害金率過払い金が発生するケース
10万円未満29.2%29.2%を超える遅延損害金を支払った
10万円〜100万円未満26.28%26.28%を超える遅延損害金を支払った
100万円以上21.9%21.9%を超える遅延損害金を支払った

たとえば、50万円を金利27%で借りていたケースで、貸金業者の主張が通れば違法な金利は9%ではなく0.72%になります。

主張する上限金利27%で借りた場合の違法金利
債務者18%超過した9%分
貸金業者26.28%超過した0.72%

さらに、貸付金利が26.28%以下だった場合は過払い金自体が発生していないことになってしまいます。

債務者は遅延損害金から発生する過払い金も含めて請求する

他方、債務者は過払い金を多く取り戻したいと考えます。

したがって、利息制限法の上限を超える金利で借金をしたことで、毎月の返済金には利息の支払いが含まれていると主張し、以下の2種類の過払い金請求を行います。

  • 借金を返済した際に発生した過払い金
  • 遅延損害金を支払った際に発生した過払い金

遅延損害金から発生する過払い金については、どちらの考え方を適用するかで過払い金は異なります。

返済したお金回収できる過払い金
遅延損害金の支払い少なくなる
通常の返済多くなる

遅延損害金があるケースの最高裁判所の判断

延滞や滞納により遅延損害金が発生した場合、債務者と貸金業者は裁判で争うことが想定されます。では、裁判所の判断はどうだったのでしょうか?

偶然にも平成21年9月11日に最高裁判所で遅延損害金がある場合に貸金業者側の主張が認められた判決と認められなかった判決が出ています。

貸金業者の主張が認められなかった事例

平成21年9月11日最高裁判決では、貸金業者側の以下の主張が債務者の信頼を裏切る行為(信義則に反する)という理由で認められませんでした。

  • 返済が遅れた日以後に支払った返済金は利息ではなく遅延損害金である
  • 過払い金請求の対象になるのは、利息制限法の上限ではなく遅延損害金利率の上限を超えた支払いのみ

そして、裁判官が貸金業者側の主張を認めなかった理由は、貸金業者が債務者に対してこれまで通り返済日までに返済を続ければ良いと信じざるを得ない対応をしていたからです。

債務者が延滞をした際に貸金業者の取った対応は以下の4つです。

  • 債務者の延滞後も、借金の一括請求を求めなかった
  • 延滞後も、利息制限法を超える金利で返済金を受け取り続けている
  • 明細書には返済金額が遅延損害金の返済にも充てられたことが記載されていない
  • 返済が難しいという理由で貸金業者に連絡したところ、1日分の金利を加えて支払うように案内をされたのみだった

このような対応を受けた債務者は、延滞をしても返済を続けてさえいれば当初の契約が継続すると信じるのが通常です。

そのため、回収できる過払い金も多くなります。

(4) そして,上告人は,被上告人が期限の利益を喪失していないと誤信してい ることを知りながら,この誤信を解くことなく,第5回目の支払期日の翌日以降約 6年にわたり,被上告人が経過利息と誤信して支払った利息制限法所定の利息の制 限利率を超える年29.8%の割合による金員等を受領し続けたにもかかわらず, 被上告人から過払金の返還を求められるや,被上告人は第5回目の支払期日におけ る支払が遅れたことにより既に期限の利益を喪失しており,その後に発生したのは すべて利息ではなく遅延損害金であったから,利息の制限利率ではなく遅延損害金 の制限利率によって過払金の元本への充当計算をすべきであると主張するものであって,このような上告人の期限の利益喪失の主張は,誤信を招くような上告人の対 応のために,期限の利益を喪失していないものと信じて支払を継続してきた被上告 人の信頼を裏切るものであり,信義則に反し許されないものというべきである。

引用元:最高裁判所判例集|裁判所

貸金業者の主張が認められた事例

他方、同日に同じく最高裁で争われた別の裁判では貸金業者の主張が認められました。

貸金業者の主張が信義則(誠意を持って行動すべきという法原則)に反しないとされた理由は以下の3つです。

  • 債務者が延滞をした後の対応は貸金業者が自由に決められる
  • 明細書に記載された情報のみでは貸金業者がより高い利息を取ることを目的にしたとはいえない
  • 債務者が何度も1か月以上の延滞を繰り返している

まず、債務者が延滞をした場合に貸金業者は以下のどちらかの対応を行いますが、どう対応するかは自由に決められます。

  • 一括での返済を求める
  • 元金と遅延損害金を受け取り続ける

したがって、延滞時に一括返済を求めなかったという理由だけで、当初の契約通り返済日まで返済を待つことを認めたとはいえないと判断しました。

また、貸金業者は返済後に発行した明細書に返済額を遅延損害金もしくは遅延損害金と元金の返済に充てることが記載しています。

最高裁は、返済額を遅延損害金にも充てることは当然のことであり、この理由で貸金業者が

債務者からより高い金利を取ろうとしたとは判断できないとしました。

さらに、この裁判の判例では、貸金業者の主張が信義則に反する判例とは異なり、債務者が延滞後に返済をした際の金利が違っています。

延滞後に返済があった場合の対応
貸金業者の主張が認められなかった事例
  • 遅延損害金利率を元の貸付利率に戻す
貸金業者の主張が認められた事例
  • 返済後も遅延損害金利率を適用
  • 次の返済日からはもとの貸付利率に戻す

多くの貸金業者は延滞をした場合でも、返済をすればすぐに金利を当初の貸付利率に戻します。

ところが、信義則に反しないと認められた貸金業者は、返済があっても次の返済日を迎えるまでは遅延損害金利率を適用し続けたのです。

その結果、この裁判では「延滞後の返済は遅延損害金の支払い」という貸金業者の主張は信義則に反しないとされました。

他方,前記事実関係によれば,被上告人Y は,本件各貸付けについて期限の利益を喪失した後,当初の約定で定められた支払期日までに弁済したことはほとんどなく,1か月以上遅滞したこともあったというのであるから,客観的な本件各弁済の態様は,同被上告人が期限の利益を喪失していないものと誤信して本件各弁済をしたことをうかがわせるものとはいえない。そうすると,原審の掲げる本件事情①ないし③のみによっては,上告人において,被上告人Y が本件特約により期限の利益を喪失したと主張することが,信義則に反し許されないということはできないというべきである。

引用元:最高裁判所判例集|裁判所

貸金業者の主張が信義則に反すると認められるための条件

延滞後も返済を続けたり、明細書に遅延損害金の記載がない場合など、状況次第では貸金業者の主張が認められないことがある
貸金業者の主張が認められない条件

最高裁判決では、貸金業者の主張について結論が分かれました。

貸金業者の主張が信義則に反すると認められるための条件は、債務者が延滞をしても再度支払期日までに支払いを待ってもらえると信じざるを得ない状況であるかという点です。

契約書上では債務者が延滞をすると、貸金業者は「約束を破った以上これまでのように返済日までに返済を待つことはできない。したがって一括で返済してください」と主張することになります(期限の利益の喪失)。

しかし、延滞をしても貸金業者が一括での返済を求めないことに加え、以下のような対応をすることがあります。

  • 返済後の明細書に遅延損害金の記載がない
  • 延滞したのにまた借金ができた
  • 次回返済日の連絡が届いた
  • 担当者に延滞した日数分に応じた遅延損害金を追加で支払うことだけ言われた
  • 延滞後も貸金業者は返済金を受け取り続けている

債務者はこのような対応を受けると返済日までに返済を行うという契約が続いていると考えるのが自然です。

  • 返済日までに返済を続けるという契約がまだ有効
  • 延滞で契約は終了したが、再度返済日までに返済をすれば良いという契約が結ばれた

多くの貸金業者が延滞をしたという理由で債務者に対して一括返済を求めないのは、利息をできるだけ取りたいからです。

逆に、借金の返済が難しい債務者に対して一括請求をすれば債務整理などをされかねません。

債務整理で借金を減額されたり利息のカットに応じることになれば、利益を得られなくなるのです。

したがって、延滞をした場合でも利息制限法の上限を超える金利から発生した過払い金を取り戻せる可能性はあります。

ただし、契約書に「延滞をした場合は催告通知がなくても一括返済をしなければならない」といった文言がある場合は、遅延損害金を支払わなくてはならないこともあるので注意が必要です。

過払い金請求をする際の注意点

過払い金請求はすでに借金を完済した方だけでなく、借金を延滞や滞納していても可能です。

ただ、過払い金請求をする際には注意点があるので、手続きをする前に押さえておきましょう。

  • 滞納していても督促や取り立てがないときは過払い金の発生を疑う
  • 滞納してブラックになっても過払い金請求をすれば削除できる

滞納していても督促や取り立てがないときは過払い金の発生を疑う

s最後の返済から10年が経過すると時効が成立する
滞納時の過払い金の時効

借金の滞納をすると、通常であれば貸金業者から督促や取り立てが来るようになります。ところが、長期間督促や取り立ての連絡が来なくなるケースも珍しくありません。

貸金業者からの督促や取り立てが止まっているのであれば過払い金が発生している可能性があります。

債務者に対して執拗な督促や取り立てを行えば、焦った債務者が弁護士や司法書士に相談した結果、過払い金の存在に気づかれることもあります。

他方、債務者が過払い金の存在に気づかないまま、最後の返済日から10年を迎えれば時効により過払い金請求をされる心配もありません。

そのため、長期間返済をしていないのに取り立てなどが止まっている場合は、司法書士などに相談をして過払い金がないか確認しておくべきです。

返済中に過払い金請求をした際にブラックになるリスクはある

借金の状況ブラックになるか否か?
完済済みブラックにならない
返済中だが過払い金を回収すれば借金を完済できるブラックにならない
返済中かつ過払い金を回収しても完済ができないブラックになる

過払い金請求をすると必ずブラックになるわけではありません。

しかし、返済中かつ回収できる過払い金よりも借金が多い場合は、過払い金請求ではなく任意整理の扱いになるのでブラックになります。

また、発生している過払い金が借金よりも多いケースでも油断はできません。

過払い金の回収額が想定を下回り、借金の完済ができないケースもブラックになるのです。したがって、借金を返済中で過払い金を取り戻したいのであれば、過払い金請求の実績が豊富な司法書士に相談するのをおすすめします。

時効を迎えると過払い金請求ができなくなる

過払い金は最後の取引日から10年を迎えると時効が成立します。なお、最後の取引日は借金の状況で異なります。

借金の状況最後の取引日
すでに完済している完済日
返済途中最後に返済をした日

借金を長期間滞納している場合、最後の返済日から10年が経過すると時効により過払い金請求ができなくなるので注意してください。

滞納してブラックになっても過払い金請求をすれば削除できる

信用情報機関延滞後に登録される時期延滞の情報が載る期間
CIC返済日から61日以上もしくは3か月以上経過したとき延滞解消後5年間
JICC延滞解消後5年間※
KSC5年間

※2019年9月30日以前に登録された場合は1年間

借金の延滞や滞納をすると信用情報機関に情報が載ります。一度載った情報については、延滞を解消後5年間は消えないケースがほとんどです。

ただ、借金を滞納した結果ブラックになっても回収できた過払い金が借金を上回るのであれば、信用情報機関の情報を削除できます。

なぜなら、完済されたことで借金がなくなるからです。

滞納した借金の過払い金請求を依頼すべき理由

滞納した借金の過払い金請求は司法書士に依頼すべき

滞納した借金の過払い金請求をする場合、自分でもすべての手続きが可能です。ただ、以下の理由から司法書士への依頼をおすすめします。

  • 取り立てが止まる
  • 引き直し計算が複雑で面倒
  • 裁判で争う可能性が高い

取り立てが止まる

返済中に自分で手続きをする際には貸金業者からの督促や取り立てが止まりません。そのため、貸金業者と和解や裁判が結審するまで苦しむことになります。

他方、司法書士に依頼をすればすぐに貸金業者からの督促や取り立てが止まります。依頼を受けた時点で貸金業者に受任通知を送るため、督促や取り立てができなくなるからです。

引き直し計算が複雑で面倒

過払い金請求をするためには過払い金の引き直し計算が必要です。ただ、滞納した場合は遅延損害金が発生しているため、計算が複雑になり間違えるかもしれません。

過払い金の計算を間違えれば、本来発生している過払い金を取り戻せないこともあります。

しかし、司法書士であれば、滞納しているケースでも正確に計算を行うので安心です。裁判で争う可能性が高い

滞納時の過払い金請求をする場合、貸金業者もすんなり債務者の主張は聞きません。

遅延損害金が発生しているため、利息制限法ではなく遅延損害金利率の超過分しか払わないと主張する可能性も高いです。

他方、司法書士に依頼すれば、貸金業者も過払い金の交渉に応じざるを得ません。借金を完済できなくても、遅延損害金や経過利息、将来利息をカットできる任意整理が可能です。したがって、借金の負担を減らせます。

おわりに

借金を滞納し続けても過払い金請求をすることで、支払いすぎた利息を回収できます。ただ、最後の返済日から10年が過ぎれば時効により過払い金を取り戻すことはできません。

したがって、借金の返済に滞納したことがあっても過去に利息制限法の上限を超える金利で借金をしたことがある場合は、過払い金請求をするべきです。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

過払い金とはへ戻る