過払い金請求は消費者金融からの借金にしかできないと思っていませんか?
実はクレジットカード会社から借金をしたケースでも、過払い金が発生していれば、取り戻すことができます。
そこでこの記事では、
など、クレジットカードの過払い金について解説します。
この記事を読めば、クレジットカード会社へ過払い金請求する際の不安も解消できるので、安心して過払い金を取り戻せます。ぜひ最後まで読んでみてください。
過払い金は、貸金業者が利息制限法に定められている年15%〜20%を超える金利でお金を貸した際に発生する支払いすぎた利息です。
過払い金は民法第703条の不当利得にあたるため、お金を借りた債務者は貸金業者から支払いすぎた利息を取り戻すことができます。
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(引用元:民法第703条|e-Gov)
過払い金請求と聞くと、消費者金融からの借金のみが対象と考える方もいるかもしれませんが、クレジットカード会社から借金をした場合も過払い金請求が可能です。
そもそも過払い金とはどのような場合に発生するのでしょうか?貸金業者に対して適用される法律には利息制限法と出資法があります。
実は貸金業法が改正される前まで利息制限法の上限金利と出資法の上限金利は異なっていました。
その上、利息制限法を超える金利でお金を貸しても罰則規定がなかったため、多くの消費者金融やクレジットカード会社は出資法の上限金利である29.2%を超えない金利でお金を貸していたのです。
しかし、平成18年1月13日の最高裁判決により利息制限法を超える金利でお金を貸すことは違法となります。
貸金業法改正後の出資法上限金利
そのため、最高裁判決以降、支払いすぎた利息を取り戻すために過払い金請求が盛んになりました。
消費者金融だけでなく、多くのクレジットカード会社も利息制限法の上限を超える金利でお金を貸していたため、クレジットカード会社に対しても過払い金請求ができるのです。
本件期限の利益喪失特約の下で,債務者が,利息として,利息の制限額を超える額の金銭を支払った場合には,上記のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできないと解するのが相当である。
(引用元:最高裁判所判例集|e-Gov)
クレジットカードを利用した場合に過払い金が発生するためには以下の3つの条件を満たす必要があります。
クレジットカードにはキャッシング枠とショッピング枠の2つの機能があります。前提条件として、過払い金が発生する可能性があるのは、キャッシング枠を利用して借金をした場合のみです。
クレジットカードのキャッシング枠は、れっきとした借金であり、貸金業法が適用されます。
クレジットカードのキャッシング枠で年15%〜20%を超える金利で借金をした場合、過払い金が発生します。
ほとんどのクレジットカード会社では、過去に年20%を超える金利でお金を貸していました。
そのため、過払い金請求が可能なカード会社も多いです。
10万円未満 | 20% |
---|---|
10万円〜100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
過払い金が発生しているケースでも、過払い金が時効を迎えていない必要があります。すでに完済している借金から発生した過払い金の時効は借金完済日から10年と定められています。
もし、借金の完済日から10年を過ぎると時効により過払い金請求ができなくなるので注意してください。
なお、まだ返済を続けている場合は、時効が借金の完済日から5年になるケースもあります。
いずれにしても、過払い金を取り戻すためには、時効を迎える前に手続きをしなければなりません。
クレジットカードを利用したことがあっても、過払い金請求ができないケースもあります。たとえば、以下の3つの条件に当てはまった場合は過払い金請求ができず、お金を取り戻すことは不可能です。
クレジットカードのうち、ショッピング枠を利用しただけでは過払い金が発生しません。ショッピング枠はカード会社が利用者の代わりに購入費用を立て替えているだけで借金をしたわけではありません。また、毎月支払っている費用は利息ではなく手数料という扱いです。
加えて、ショッピング枠が適用される法律は割賦販売法です。
過払い金はあくまでも借金をした場合に発生する利息であり、ショッピング枠を利用しても過払い金は発生しません。
(5)クレジット会社を規制する法律 ①クレジットカードのショッピング機能は「割賦販売法」で規制されている ショッピングの機能については、「割賦販売法」により規制されています。割賦販売の類型には、割賦販売(自 社割賦)、信用購入あっせん、ローン提携販売があります。クレジットカードの契約は信用購入あっせんのう ち「包括信用購入あっせん」という仕組みとして規制されています。
クレジットカード会社から借金をした結果、過払い金が発生しているケースでも借金の完済日から10年が経過した場合は時効を迎えます。
過払い金請求もできなくなるため過払い金を取り戻せません。
過払い金請求が可能な条件が揃っていてもクレジットカード会社が倒産したり廃業している場合は過払い金を取り戻すことは不可能です。
過払い金請求をしてもカード会社が存在していない以上、過払い金を支払うことができません。
たとえば、以下のクレジットカード会社は倒産あるいは廃業しているため過払い金を取り戻すことは不可能です。
実際にマルフクはCFJに資産売却を行い廃業をしていますが、過払い金請求ができない判決が出ています。
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転すると解することはできない。
(引用元:最高裁判所判例集|裁判所)
また、以下のカード会社は業績不振などの理由で他社に吸収合併されています。
吸収されたカード会社 | 吸収した会社 |
---|---|
ライフカード | アイフル |
新生カード | アプラス |
セントラルファイナンス・クオーク・OMCカード | セディナ |
しかし、吸収した会社に対して過払い金請求をすれば、過払い金を取り戻せる可能性があります。
クレジットカード会社に対して過払い金請求が可能ですが、具体的にどのようなカード会社で過払い金が発生しているのでしょうか?
カード会社 | 貸付金利 | 金利を見直した時期 |
---|---|---|
セゾンカード | 24%〜25% | 平成19年7月14日 |
UCカード | 27.8% | 平成19年6月11日 |
CFJ | 22.88% | 平成19年8月21日 |
エポスカード | 27% | 平成19年4月 |
イオンクレジット | 25.6% | 平成19年3月10日 |
JCBカード | 27.8% | 平成19年6月16日 |
三井住友VISAカード | 27.8%以上 | 平成17年 |
知名度のあるカード会社も平成19年頃までは年利20%を超える金利でお金を貸していました。
また、銀行カードローンは利息制限法の範囲内での貸付しか行っていないため、過払い金請求の対象外です。
ただ、三井住友VISAカードなど銀行系クレジットカードは、過払い金が発生している可能性があります。
司法書士法人杉山事務所では、あらゆるクレジットカード会社から過払い金を取り戻した実績があります。
金融業者一覧からカード会社を選べば、過払い金が請求の可能性、過払い金の返還率や返還までの期間などわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
すべてのクレジットカード会社に対して過払い金請求ができるわけではありません。以下のカード会社では過払い金が発生しないことが多いです。
ジャックスやオリックスでの過払い金請求は難しいといわざるを得ません。、なぜなら、金利を引き下げてから時間が経っているため、時効を迎えている可能性が高いからです。またJCBについては、一括払いで返済した場合のみ過払い金が発生しているので、条件が厳しいでしょう。、ただ、繰り返し同じカード会社から借金をしているケースは、過払い金が発生している可能性もあるので、早めの相談をおすすめします。
クレジットカード会社によっては、一括払いとリボ払いで貸付金利が異なるケースがあります。
このようなことが起きるのは、一括払いで返済する場合のみ利息制限法の上限を超える金利でお金を貸していた会社もあるからです。
返済方法 | 貸付金利 |
---|---|
一括払い | 利息制限法の上限を超える金利 |
リボ払い | 利息制限法の範囲内の金利 |
そのため、返済方法が一括払いであれば、過払い金が発生している可能性があります。
たとえば、ちばぎんディーシーカードでは、平成18年10月までは一括払いでの借金をする際の貸付金利は27.8%でした。
しかし、リボ払いのケースでは、利息制限法の範囲内でしかお金を貸していません。そのため、一括払いでの借金をするケースのみで過払い金が発生します。
クレジットカードのキャッシング枠で借金をする際にリボ払いを選択すれば、毎月の返済額が少ないので、負担を減らせます。
しかし、リボ払いの場合、返済期間が長期化する傾向があります。そのため、最終的に支払う利息も増えている可能性が高く、過払い金も多くなりやすいです。
クレジットカード会社に対して過払い金請求をするメリットは、過払い金が戻ってくることです。返済途中で過払い金請求をしたケースでも、借金の一部を減額できます。
ただ、過払い金請求をした際に注意すべき点もあります。
過払い金請求をすると、過払い金の請求先であるクレジットカード会社が発行するカードはすべて解約扱いになります。
たとえば、三井住友カードで、三井住友VISAカードとSMBC JCB CARDクラシックを利用しているのであれば、三井住友VISAカードに過払い金請求をすると両方のカードが使えなくなります。
その他に以下の点にも注意しましょう。
クレジットカードでは、利用額に応じてポイントが貯まるカードが多く、数万円分以上のポイントを貯めている方も多くいます。
ポイントを交換する前に、過払い金請求をすると、解約によりポイントは失効されるので注意が必要です。
また、公共料金や携帯料金などの費用をクレジットカードから支払っている場合、解約になると、引き落としができなくなります。
過払い金請求をする前に、支払い先を他のカードに変更するのを忘れないようにしましょう。
借金を完済した後で、過払い金請求をすればブラックになりません。
しかし、借金の返済途中に過払い金請求をしたケースで、借金よりも戻ってくる過払い金が少なければ、任意整理の扱いになるので注意が必要です。
任意整理になると、信用情報機関に5年間情報が載るため、ブラックになります。
JICC | CIC | KSC |
---|---|---|
5年 | 5年 | 5年 |
信用情報機関に情報が載る主なデメリットは、以下の2つです。
過払い金請求先のカードが使えなくなるだけでなく、他社のカードの利用やローン契約もできなくなるので注意しましょう。
なお、過払い金請求した際にブラックになる条件については、過払い金請求してもブラックリストに載らない唯一の方法で解説しているので、参考にしてみてください。
クレジットカードにはショッピング枠があります。
ただ、ショッピング枠の支払い残高が残っているケースでは、借金よりも先にショッピング枠の支払い残高との相殺が優先されます。
もし、返済中に過払い金請求をした場合、借金が完済できないこともあるので注意しなければなりません。
クレジットカード会社へ過払い金請求をする場合、どのような流れで手続きをすればよいのでしょうか?
以下の流れで手続きを行います。
過払い金請求をする際は自分で手続きを行うか、司法書士などに依頼をします。司法書士に依頼する場合、過払い金の相談を行います。
なお過払い金の相談を無料で承っている事務所も多いです。
過払い金請求をするためには、過払い金がどのぐらい発生しているかを調べる必要があります。その際に必要なのが取引履歴です。
取引履歴を自分で取り寄せる場合は、カード会社への電話や郵送などの方法で取り寄せます。なお貸金業者を忘れた場合や契約書がない場合でも過払い金請求は可能です。
貸金業者を忘れた場合や書類がなくても過払い金請求する方法でくわしく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
取引履歴が届いたら過払い金を計算します。自分で過払い金の引き直し計算をする場合、過払い金計算ソフトなどに取引履歴の情報を入力して計算します。
司法書士に依頼する場合は、司法書士がすべて計算を行うので安心してください。
くわしい計算方法については、過払い金の引き直し計算とは?具体的な計算方法は?で解説しているので、自分で過払い金の計算をしたい方はぜひ参考にしてみてください。
なお、自分での計算が難しければ、弁護士や司法書士へ計算を依頼することも可能です。
過払い金が発生していることがわかれば、クレジットカード会社に対して過払い金返還請求書を送ります。
過払い金返還請求書の作成も司法書士が行います。
過払い金返還額 | 要する期間 | |
---|---|---|
和解の場合 | 80%前後 | 2か月〜4か月 |
裁判の場合 | 100%も可能 | 6か月以上 |
続いて、カード会社の担当者と交渉を行います。ただ、自分で手続きをしようとした場合、まともに対応してもらえず、低い和解額を提示されるケースがほとんどです。
そのため、司法書士や弁護士への依頼をおすすめします。弁護士や司法書士に依頼をすれば、和解で解決するケースでも過払い金の7割ほどが戻ってくる可能性が高いです。
もし、カード会社の提示額に不満があれば、裁判を行います。
裁判を行えば、過払い金を満額取り戻せる可能性があります。ただ、過払い金が戻ってくるまでの期間が長くなるケースがほとんどです。
そのため、過払い金を早く取り戻すのと、取り戻す金額のどちらを優先するかよく考えましょう。
過払い金請求をする際は司法書士への相談がおすすめです。では、なぜ自分での手続きや弁護士ではなく、司法書士へ依頼した方が良いのでしょうか?
その理由は3つあります。
借金の返済中に過払い金請求をする場合、司法書士に依頼をすると受任通知をカード会社に送ります。
受任通知とは、司法書士が債務者の代わりに過払い金請求などの手続きを行うことを通知する書類です。
受任通知を送られたカード会社は、ただちに債務者への督促や取り立てをやめなければなりません。
ただし、自分で手続きをする場合は受任通知を送ることができないため、カード会社からの督促や取り立ては止まりません。
カード会社からの督促や取り立てに悩んでいるのであれば、司法書士に依頼した方が借金の悩みから解放されやすいのです。
司法書士への依頼をおすすめする理由は、自分で手続きするよりも手間がかからないからです。
自分で必要書類を揃えるとなると、時間がかかりますし、記入ミスなどが原因で手続きがスムーズに進まないこともあります。
他方、司法書士に依頼すれば、必要書類の準備から裁判の代行までほとんどの手続きを行います。そのため、債務者がやることはほとんどありません。
司法書士に依頼すると、カード会社との交渉も代行します。自分で交渉をした場合と比較して、和解額も多くなる傾向があります。
裁判まで持ち込んだ場合も、過払い金を満額取り戻せることがあります。
ただし、過払い金を満額取り戻すためには、過払い金請求の実績が豊富な司法書士に依頼しなければなりません。
過払い金請求をする場合、一般的には司法書士よりも弁護士に依頼した方が良いといわれています。
なぜなら、司法書士は司法書士法第3条と裁判所法第33条1項1号により、過払い金など債務額が140万円を超える場合、業務ができないからです。
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
(引用元:司法書士法第3条1項7号)
第三十三条 簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
(引用元:裁判所法第33条1項)
ただし、140万円というのは1社あたりの金額です。
実際の過払い金請求で貸金業者1社あたりの過払い金が140万円を超えるケースは多くありません。
複数のカード会社から借金をしているケースもよくあります。
それぞれのカード会社の過払い金など債権額が140万円を超えていなければ、司法書士でも数百万円以上の過払い金を取り戻すことができるのです。
なお、弁護士と司法書士の違いについては、弁護士と司法書士の違いとは?で解説しています。
弁護士と司法書士のどちらに相談をするか迷っている場合は、ぜひ参考にしてみてください。
過払い金請求は消費者金融だけでなくクレジットカード会社に対して行うことも可能です。過去に利息制限法の上限を超える金利で借金をしたことがあれば、過払い金を取り戻せるかもしれません。
過払い金を多く取り戻すためには、過払い金請求の実績が豊富な司法書士に依頼する必要があります。
司法書士法人杉山事務所では、過払い金請求の相談や着手金が無料です。
過去にカード会社から借金をしたことがあり、過払い金が発生しているか調べたい場合もお気軽にお問い合わせください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。