武富士は2010年10月31日に、会社更生法の手続きを行ったため、期日までに債権を届出していなければ過払い金は戻ってきません。
しかし、当時の借金は債務整理によって減らすことができます。時系列順に武富士の過去から現在までの状況、過払い金請求の対応について解説します。
武富士の最盛期であった2000年代前半頃は多くのCM広告が流れ、業界トップクラスの消費者金融だったのですが、2010年9月に経営破綻し、2017年には完全に姿を消しました。現在では、武富士は倒産しており、過払い金の請求は不可になっております。2011年2月28日までに裁判所に債権の届出をしていれば「配当」という形でお金を受け取ることができました。
通常企業が倒産した場合に、会社更生法などの手続き時に債権者(貸したお金を返してもらう権利がある人)が配当や一部の債権を受け取ることができます。過払い金請求権も債権であり、過払い金請求する人は相手賃金業者の債権者という立場になり、配当などの支払いを受けることができます。ただし通常の過払い金請求時に返ってくる金額と比べると、かなり少なく数%の返還になることが多いです。
武富士が破綻した2年後の2012年3月1日に株式会社ロプロへ承継されました。また、2012年9月1日付で株式会社ロプロは「株式会社日本保証」に商号を変更しています。そのため武富士やロプロに関することは株式会社日本保証に問い合わせをする必要があります。上記のように会社名が変わり事業を承継させています。
年月 | 内容 |
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2010年10月1日 | 会社更生手続きを行い、倒産する。 |
2012年3月1日 | 事業を株式会社ロプロへ承継と同時に武富士の商号をTFK株式会社に変更。 |
2012年9月1日 | 株式会社ロプロは株式会社日本保証に商号を変更 |
2017年3月17日 | 会社更生手続きの終結。 |
過払い金返還の対象となるには、2011年2月28日までに債権を届出をしていなければなりません。武富士は会社更生法の適用申請を行ったため、期限内に債権を届出していなければ過払い金の請求権利は失効してしまうため、請求はできません。
武富士が会社更生法の手続きを行った後、「配当」という形で第1回の弁済を2012年2月から10月末にかけて行われた実績がありますが、返還率はわずか3.3%でした。しかしながら、過払い金返還訴訟をして、多額の賠償支払い命令が出たケースもあります。以下の例をご紹介します。
2010年に破綻した武富士に対して元利用者24人が、過払い金相当額の返還が受けれなくなったとして、元代表取締役の健晃氏ら創業家一族3人に計7500万の損害賠償を求めた判決が、大阪地裁において2015年5月8日に下されたという判例があります。結果として健晃氏のみに5人に対して計約327万円を支払うよう命じられました。(参考:武富士過払い金訴訟、創業者次男に一部賠償命令 大阪地裁)
2013年5月8日において、広島地裁における過払い金に関する武富士への損害賠償を求める裁判が行われていました。約150人にものぼる原告が合計2億1000万円の損害賠償を求めましたが、請求を拒否しました。広島地裁の裁判長は「被告には利息の引き直し計算をする法的義務が無い」と判例を出したため、2013年以降、裁判を行う方は過払い金の請求が難しくなる可能性があるとみていいでしょう。(出典:元社長らへの賠償請求棄却 武富士過払い金訴訟)
武富士の過払い金請求に関する過去の状況を時系列順に解説します。
具体的な流れとしては以下の通りです。
2020年10月31日に、東京地裁において会社更生法の手続きを行いました。会社更生法とは「経営困難である株式会社について、事業の更生を目的として手続きを定めるために制定された倒産法」です。つまり、倒産はしますが解散はさせず、業務を続けながら再建をするということです。裁判所の所定の手続きを経て、管財人を立て、経営再建を第三者に委ねます。
更生計画における1回目の弁済として、過払い金の返還は2012年2月頃から開始されました。返還率は3.3%(過払い金が10万の場合でも3300円の返還)でした。
更生計画における2回目の弁済について、2012年6月22日にTFK株式会社のホームページで詳細が発表されました。
2回目の弁済については、資産の売却や訴訟などにより弁済のための原資を確保するため、約3年後になるという見解を示していました。実際には4年後の2016年6月20日に第2回の弁済が行われました。最終弁済率は0.9368%(過払い金が100万の場合でも9368円の返還)で決定しました。残る過払い金は更生計画において全て免責となります。
会社更生手続き中である2012年3月1日に株式会社ロプロへ承継したタイミングで、武富士はTFK株式会社に商号を変更をしました。
2017年3月17日に会社更生手続きが終結しました。現在では株式会社日本保証に事業を承継しているため、事実上「武富士」は消滅しました。
債務届出書の提出期限は2011年2月28日のため、届出がされていない場合は、過払い請求はできません。ただ、武富士時代の借金でも債務整理をすることで借金を減らせる可能性はあります。司法書士または弁護士にご相談ください。
届け出を出している場合、2012年1月中旬から2012年10月末日にかけて口座振り込みで入金されています。
現在株式会社日本保証では、消費者金融事業の新規営業は終了し、不動産担保金融のみを取り扱っています。
商号 | 株式会社日本保証 |
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設立日 | 1970年3月 |
URL | https://www.nihon-hoshou.co.jp/index.html |
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門一丁目7番12号 虎ノ門ファーストガーデン10F |
資本金 | 1億500万円 |
貸金業者登録番号 | 関東財務局長(13)第01509号 |
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。