クロスシードの過払い金請求対応の現状は?

クロスシードは2016年1月20日に破産手続きを終結させており、過払い金請求はできません。しかし、債権譲渡前のプロミスやクラヴィスから借り入れをしていた場合、過払い金の請求ができる可能性があります。今回は時系列順にクロスシードの過去から現在までの状況、過払い金請求の対応について解説します。

現在のクロスシードの過払い金請求対応について

2013年12月26日、大阪地方裁判所においてクロスシードは破産手続の開始決定を受け倒産しました。そのため、クロスシードに過払い金請求はできなくなっています。

破産手続き終結により請求はできない

2016年1月20日、破産手続き終結により過払い金の請求はできなくなりました。貸金業者が倒産してしまうと一切の過払い金請求ができなくなります。

配当は受け取れた

破産手続きが取られると過払い金請求はできなくなりますが、代わりに裁判所に債権の届出をした人のみ「配当」という形でお金を受け取ることができていました。現在では提出期限が過ぎているため、配当を受け取ることはできません。通常企業が倒産する場合、民事再生や破産の手続きを取ります。その手続き内で配当や債権(相手に請求ができる権利)などの支払いが行われます。

過払い金請求権も債権に含まれるので、相手業者に対して配当などの支払いを受けることができます。ただし、通常の過払い金返還額と比べて極めて低い場合が多く、数%の割合になります。クロスシードの場合は2015年6月に配当率が「2.1519%」に決定されています。

プロミスから過払い金を回収できる場合がある

前提として、クロスシードへの過払い金請求はできませんが、プロミスから過払い金を回収できる場合があります。クロスシードはクラヴィスやプロミスから取引の移転がされてきました。

取引の移転の流れは以下の通りです。

  • クラヴィスからプロミスへ取引の移転
  • プロミスからクロスシードへ債権譲渡

そのため、クロスシードと関わっている人は過去にプロミスやクラヴィスに関わっている可能性が高く、プロミスから過払い金を取り戻せる可能性があります。クラヴィスやプロミスの過払い金が取り戻せるかどうかは、契約形態の違いによって変わってきます。

  • 契約切替
  • 債権譲渡

契約切替の場合

契約切り替えがあった場合にはプロミスに過払い金請求できることがある

クラヴィスとの契約がプロミスに切り替えられ、プロミスから借り入れをするようになった場合は、プロミスに過払い金を請求できる可能性があります。クラヴィスも倒産していますが、プロミスとクラヴィスの間で「クラヴィスが負担するはずだった過払い金債務を引き受ける」契約を交わしています。

つまり、クラヴィスやプロミスにおいてクロスシードに譲渡される前に借り入れをしていた場合、過払い金は返ってくる可能性があります。実際に最高裁の判例において、クラヴィス・プロミスの取引は一連一体の取引であり、プロミス側はクラヴィスで生じた過払い金の返還債務があるという結論が出ています。(参考:最高裁判所第二小法廷2011年9月30日判決)そのため、プロミスやクラヴィスから借り入れをしていた方はプロミスから過払い金を取り戻せる可能性があります。

債権譲渡の場合

クラヴィスからプロミスに債権譲渡があった場合にもプロミスに過払い金請求できることがある

債権譲渡は契約切替に応じなかった顧客に対して取られる処置になります。債権をクラヴィスからプロミスに譲渡していた場合は、プロミスの時に発生していた過払い金のみを請求できます。債権譲渡の場合は、クラヴィスに発生した過払い金は直接クラヴィスに請求しなければならず、倒産しているので事実上過払い金の請求はできなくなっています。実際に最高裁の判例でプロミス側はクラヴィスで生じた過払い金の返還債務は無いという結論が出ています。(参考:最高裁判所第二小法廷2012年6月29日判決)

債権譲渡の場合は、クラヴィスに発生していた過払い金は回収できませんが、プロミスに発生した過払い金はプロミスに請求することができます。

クロスシードの過払い金請求に関する過去の状況

クロスシードの過払い金請求に関する過去の状況を時系列順に解説します。

具体的な流れとしては以下の通りです。

  • 2012年1月31日に社名を変更
  • 2013年12月26日に破産手続き開始
  • 2015年6月に配当率が「2.1519%」に決定

2012年1月31日に社名を変更

2012年1月31日にネオラインキャピタル株式会社からクロスシード株式会社に社名を変更しました。

2013年12月26日に破産手続き開始

2013年12月26日にクロスシードは破産手続き開始を開始しました。破産手続きが開始されると、過払い金請求という形ではなく裁判所に債権の届出をして「配当」という形で支払われることになります。また、過払い金請求の時効は「最終取引から10年」ですが、破産手続きが開始されると時効前でも過払い金の請求ができなくなります。

2015年6月に配当率が「2.1519%」に決定

2015年6月に配当率が「2.1519%」に決定され、支払い予定日は「2015年7月30日」と発表されました。過払い金返還相当額が100万円の場合、21519円しか戻ってこないことになります。

クロスシードの過払い金請求に関するよくある質問・Q&A

債権譲渡前のクラヴィスで発生していた過払い金は請求できますか?

クラヴィスは現在倒産しているので過払い金の請求はできませんが、代わりにプロミスに過払い金の請求をすることが可能です。ただし、クラヴィスからプロミスへ「契約切替」をしている場合に限られてきます。「債権譲渡」なのか「契約切替」なのかを判断する場合は、取引履歴を取得して判断するしかありません。

プロミスから過払い金が発生している期間はいつですか?

2007年11月から2009年3月31日までになります。プロミスは2007年5月に組織再編計画としてクラヴィスを廃業にして、プロミスに契約切替を行いました。また、切り替えに応じなかった顧客をプロミスに債権譲渡させました。そして、2009年3月31日にクロスシードへ債権譲渡を行ったので、上記の間の期間が「プロミスで過払い金が発生している」期間になります。

請求はどこの会社に行えばよいですか?

過払い金の請求はプロミスに行います。

クロスシードの会社概要

現在クロスシードは倒産しているため存在しない会社です。クロスシードの沿革を一覧表でまとめました。

年月内容
1969年11月22日ロイヤル信販株式会社として設立。
2004年10月12日ライブドアの子会社になる。
2004年12月株式会社ライブドアクレジットに社名変更。
2007年2月2006年12月20日にライブドアグループを離脱し、かざかファイナンス株式会社に社名変更
2008年11月17日ネオラインキャピタル株式会社に社名変更
2009年1月7日かざかフィナンシャルグループから離脱。
2012年1月31日クロスシード株式会社に社名変更。
2016年1月20日破産手続きの終結。
代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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