クラヴィスの過払い金の請求方法!取り戻せる条件や裁判の争点は?

クラヴィスは「クオークローン」や「タンポート」という名で営業していた貸金業者です。しかし、現在はすでに倒産しており2012年に破産開始決定を受けて2020年に破産手続きを終えています。

そんなクラヴィスですが、実は過去に法定金利を超える貸し付けを行っていました。そのため、多くの人に過払い金を残して倒産しているのです。「貸金業者が破産すると過払い金は請求できない」ことをご存じの方は多いでしょう。

しかし、クラヴィスの場合はその後の債権を引き継いだプロミスに過払い金を請求するという手段があります。本記事では、クラヴィスの過払い金を取り戻す条件や裁判上で争われるポイントについて詳しく解説していきます。

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クラヴィスの変遷

クラヴィスの社名の変遷

クラヴィスは設立してから何度も社名が変わっています。元々は1975年にリッチ株式会社という名で設立され、現在のSMBCコンシューマーファイナンス(当時プロミス)のグループ会社として運営していました。

その後2004年には、他社と合併し株式会社ぷらっとに社名を変更しています。そして一時的にセディナ(当時株式会社クオーク)と連携したことで社名が「株式会社クオークローン」に変更されました。

しかし、この連携は解消され2007年には利息制限法の改正を受けて経営が厳しくなったため全店を閉鎖しています。プロミスの子会社に債権譲渡したことで社名を株式会社タンポートとしました。

その後プロミスに譲渡した債権の売却先であるネオラインキャピタルの子会社となり、2009年に社名をクラヴィスへ変更したのです。このころから経営は破綻しており、2012年7月には破産手続開始決定を受けました。そして2020年10月22日には破産手続きを終了させています。

クラヴィスの抱える負債は債権者約46万人に対して総額3,268億8,798万円です。非常に大きい規模の負債を抱えた破産となりました。 特にクラヴィスは今まで高金利での貸し付けを行っていたため、全体の中でも過払い金の割合が非常に高かったとされています。

配当金の支払い

クラヴィスは2014年10月に過払金を配当金として充当することを発表しましたが、その配当率は1.51%と非常に低いものでした。つまり、1万円の過払い金があっても151円しか返ってこないということです。

配当金の対象者には債権届出書が発送されました。債権届け出書とはクラヴィスから契約者への配当金を示した書類です。

また、2016年5月9日には追加配当があることを発表しています。約0.25%という配当率で契約者に配当を支払うというものです。先のものと合わせても過払い金は2%程度しか戻ってこない計算になります。

なおこの配当金を受け取るための債権届け出書の提出はすでに締め切られています。

クラヴィスに過払い金がある人

2007年以前(クオークローン、ぷらっとの時代)に借金をしていれば過払い金がある可能性がある

2007年の9月に利息制限法の改正を受けて全店舗を閉鎖したとき当時の社名はクオークローンです。つまり、クラヴィスの過払い金があるのは「クオークローン時代の2007年より前に取引のあった人」ということになります。

また、過払い金の請求権は最終取引から10年で時効にかかります。そのため、完済した時点もしくは最後の支払いから10年が経過している人は過払い金請求できないので注意しましょう。

なお、クラヴィスから発行された破産者債権届け出書を受け取った場合は過払い金があるということです。過払い金があるにも関わらず届いていなければ本来ならクラヴィスに問い合わせる必要があります。

しかし、現在は破産者債権届け出書の申請は締め切られてるため破産者債権届出書があっても配当金を受け取ることはできません。

クラヴィスから過払い金を取り戻す条件

一般的に倒産してしまった業者に過払い金請求をすることはできません。しかし、破産した会社の債権や債務すべてを引き継いだ会社があれば、そちらに過払い金請求することができます。

2007年にクラヴィスは全支店の閉鎖と新規契約の停止に伴い自社の契約をプロミスへ切り替えるよう契約者に促しました。そのため、クラヴィスは倒産しましたが現在のSMBCコンシューマーファイナンスであるプロミスに対して過払い金請求することは可能です。

プロミスにクラヴィスの過払い金を請求するときの争点

クラヴィスから契約切り替えをしていれば過払い金請求できる可能性がある

プロミスにクラヴィスとの取引で生じた過払い金を請求した場合、契約者の契約状況が裁判におけるポイントです。具体的には契約切り替えをしたか、または債権譲渡しただけなのかという点が争われます。

契約切り替えの場合

クラヴィスからプロミスへ契約切り替えを行っていればプロミスへ過払い金請求ができる可能性があります。

契約切り替えとはクラヴィスの契約者がクラヴィスと全く同じ取引内容でプロミスと契約することです。この手続きは書面または窓口で直接行われました。

契約切り替えをすると契約者はプロミスと取引していることになるので債権者はプロミスです。つまり、過払い金を支払う義務もクラヴィスからプロミスに移行するということです。

当時クラヴィスは契約の切り替えを契約者にすすめていました。クラヴィスの債権者説明会で提示された資料によれば、切り替えされた契約は合計11万5,000件以上にものぼるとのことです。

クラヴィスとの取引で発生した過払い金をプロミスに請求する際は、契約の切り替えに伴い過払い金がプロミスに引き継がれていることを主張する必要があります。このためには当時の契約内容を示す書類や取引明細などの古いデータが必要です。

クラヴィスが破産している以上、取得の困難な書類もあります。さらに裁判での証拠提示や主張にも専門的な知識が必要です。そのため過払い金があり、なおかつ契約切り替えをした場合は司法書士など専門家に代理人を依頼することをおすすめします。

クラヴィスの過払い金をプロミスに請求できた事例

2011年9月30日、最高裁判所で切り替えをした契約者がプロミスに対して過払い金請求をすることが認められました。

契約切り替えを行ったということはクラヴィスの債権・債務が過払い金の返還債務も含めてすべてプロミスに引き継がれたと考えるのが自然だと認められたのです。

契約者も当然切り替えを経てプロミスに対してすべての債権・債務が譲渡されたことを期待していたと考えるのが妥当だとする判決でした。(参考:最高裁判所第二小法廷平成23年9月30日判決

債権譲渡の場合

債権譲渡とはクラヴィスの債権をそのままプロミスに渡すということです。つまり、契約者が契約を結び直すことはなく、単純にクラヴィスからプロミスへ支払い先を変えることを指します。

債権譲渡は契約切り替えを行わない契約者に対して行われました。そして債権譲渡の場合、過払い金はプロミスから取り戻せないとの判決が2012年に最高裁判所から出ています。

理由としては、債権譲渡されたからといって過払い金の請求権までプロミスに引き継がれたとは言えないからです。またクラヴィスの破産に伴い自動的に債権が移ったものであり、契約者が受益の意思表示をしていないなどといった背景も判決の根拠となりました。(参考:最高裁判所第二小法廷平成24年6月29日判決

この判例が出てからクラヴィスの過払い金をプロミスに請求できるのは契約切り替えを行った場合に限られるようになりました。

ただしクオークローン時代から過払い金があり、プロミスに過払い金も含めて返済していた場合、プロミスには返済した余分なお金は過払い金として請求が可能です。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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