セディナに過払い金がある人の条件は?請求の流れやポイントを解説!

セディナは現在、SMBCフィナンシャルサービスが経営しているカード会社です。過去にはセディナという社名でカードを発行していました。2007年以前の「セディナ」時代にキャッシングを利用した方は過払い金が発生しているかもしれません。

2010年6月に出資法と貸金業法が改正されたことにより法定上限金利が引き下げとなりました。それまでは29.2%の金利が認められていましたが、法改正後は最大で20%の金利が上限とされたのです。

そして今まで支払っていた金利が法定金利を超える場合は、その分を過払い金として取り戻すことができるようになりました。これが過払い金請求です。

そこで本記事では、セディナからの借り入れに過払い金が発生する条件や実際の請求の流れやポイントについて詳しく解説します。ご自身やご家族がセディナを利用していたことがある場合は特に必見です。

セディナの変遷

セディナは2021年現在、セディナという社名はなく「SMBCファイナンスサービスという社名」で存続しています。

セディナの始まりは2009年4月からです。当時三井住友フィナンシャルグループの傘下であったオーエムシーカードとクオーク、セントラルファイナンスという3社が合併し社名を「セディナ」としました。

そして2011年5月にセディナは株式交換の後SMFGカード&クレジット(FGCC)の完全子会社となりました。SMFGカード&クレジット(FGCC)は、当時三井住友フィナンシャルグループ傘下にあるクレジットカード事業の中間持株会社として知られていた会社です。

その後、2019年にはSMFGカード&クレジット(FGCC)が三井住友カードに吸収合併されました。そのため、この時点でセディナは三井住友カードの完全子会社となります。

さらに2020年の7月1日にはセディナがSMBCファイナンスサービスと合併し「SMBCファイナンスサービス」と社名を変更しました。これが現在のセディナです。

セディナで過払い金が発生しているケース

2007年のセディナ金利引き下げ前に借金をしていれば過払い金が発生する可能性がある

セディナもかつてはグレーゾーン金利と呼ばれる金利での貸し付けを行っていました。そのため、過払い金が発生する可能性はあります。

セディナに過払い金が発生する条件は以下のとおりです。

  • 2007年以前にセディナから借り入れをした
  • 最終取引から10年が経っていない

セディナは2007年に、貸し付けの上限金利を最大20%以内へと変更しています。法改正があったのは2010年だったため、法改正を見据えて少し前に金利の見直しをしていたということです。

また、過払い金は最終取引から10年が経過すると時効にかかり請求できなくなります。そのため、2007年以前に取引があったとしても最後の取引や完済時点から10年以上が経過している場合は過払い金を取り戻せません。

なお2018年3月31日に発表されたセディナの第92期決算公告によると、合計342億円もの過払い金があることが分かっています。

過払い金があるかもしれないセディナのカード

セディナの過払い金がある可能性があるのは2007年以前に借り入れがあった人です。しかし、2007年はオーエムシーカードとクオーク、セントラルファイナンスの3社が合併してセディナになる前のことです。

つまり、セディナの過払い金がある可能性があるのは合併前の3社のカードを使ってキャッシングしていた人ということになります。当時発行されていた各社のカードは以下のとおりです。

カード会社(当時)カードの種類
クオークカード
  • クオークカード ミニモ
  • クオークETCカード
オーエムシーカード
  • OMCJiyu! da!カード
  • OMCエコロジーカード
セントラルファイナンス
  • CF Card

クオークは、1999年に東京総合信用株式会社と日本総合信用株式会社が合併したことで誕生した会社です。クオークカードミニモやクオークETCカードなどのカードを発行しています。

オーエムシーカードは元々、現在大手スーパーで有名な「ダイエー」の子会社でした。そのため、当時はダイエーOMCカードというカードを発行していたという経緯があります。ダイエーグループのスーパーをよく利用していた方が持つ傾向にありました。

セントラルファイナンスはCFカードという名前でカードを発行していました。セントラルファイナンスは一部銀行とつながりがあったため、旧東海銀行や旧UFJ銀行を利用していた方はCFカードを作っているかもしれません。

なお、これらのカードは現在持っていなくても過払い金請求できます。過払い金の有無を確かめるための参考までにご確認ください。

こんな場合でも過払い金請求できる

過払い金があることは分かっていても資料や当時の情報が分かるものが揃わなければ請求できないと考える人が多くいます。しかし、当時の契約書や取引履歴などが全てそろっていなくても過払い金請求はできます。

以下のような場合でも過払い金請求はできます。

契約書やカードがない

セディナ(クオークカード、オーシーエムカード、セントラルファイナンス)との契約書や当時のカードがなくても過払い金請求はできます。過払い金請求に必要なのはどのような取引があったかという事実を証明する書類です。つまり、取引の明細や履歴さえあれば過払い金請求はできます。

なお、取引履歴は貸金業者に請求して取り寄せることができるので自分で保管していなくても問題ありません。また、貸金業者の名前を覚えていない場合でも直近5年の取引があれば信用情報機関に問い合わせて把握できます。

亡くなった家族に代わって過払い金請求する

亡くなった家族に過払い金があった場合、過払い金の請求権は相続人に引き継がれます。つまり、亡くなった人に代わって家族が過払い金請求できるのです。

契約者本人が亡くなったからといって過払い金は消滅するわけではありません。あきらめずに過払い金請求を試みましょう。過払い金の相続については、以下の記事で詳しく解説しています。

取引履歴の一部がない

取引履歴は貸金業者から直接取り寄せられます。しかし、古い取引の場合は一部のデータが残っていない場合もあるのです。

またセディナでは、オーエムシーカード社分の顧客情報を一部紛失したというお知らせを公式サイト上で発表したこともあります。セディナ側で誤って顧客情報を破棄した可能性が高いというものであり、このような理由で取引履歴が欠ける場合もあるかもしれません。

しかし、取引履歴がなくても過払い金請求は可能です。データのない部分は推定計算と呼ばれる計算で算出できます。なおこの推定計算は、通常の引き直し計算よりも計算方法が複雑です。そのため、司法書士に依頼して間違いのない金額を算出してもらうことをおすすめします。

セディナに過払い金請求する流れ

では実際に、セディナに過払い金請求したときの流れについて見ていきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。

  • 取引履歴を取得
  • 過払い金の計算
  • 過払い金請求
  • 和解交渉
  • 裁判による訴訟
  • 過払い金返還

取引履歴を取得

まず、過払い金の額を計算するのに必要な取引履歴を取得します。

取引履歴を取得するにはまずセディナの電話窓口に問い合わせ、個人情報開示申込書を郵送してもらう必要があります。カード会社ごとの問い合わせ窓口電話番号は以下のとおりです。

  • オーエムシーカード:03-5638-3222
  • セントラルファイナンス:03-3345-8183
  • クオーク:03-6722-9009

取引履歴を請求する際は「過払い金の請求に使う」と言わないようにしましょう。過払い金請求の意志を伝えてしまうと和解や裁判での交渉時に不利になってしまう可能性があります。

個人情報開示申込書を申請する際は「過去の取引履歴が見たい」とだけ伝えるとよいでしょう。それ以上はセディナから詳しく用途を聞かれることもありません。

そして後日、個人情報開示申込書がセディナから郵送されてきます。この申込書に必要事項を記載して郵送すればあとは取引履歴を待つだけです。

ただし、セディナは他社に比べて取引履歴の取得に時間がかかるので注意しましょう。取引履歴の郵送までかかる時間は1~2ヶ月ほどです。長ければ4ヶ月かかることもあるので、時間に余裕をもって申請することをおすすめします。

セディナの取引履歴を取得するのに時間がかかる理由は帳票の管理システムにあります。セディナは情報が簡単に見えないようマイクロフィルムという特殊なシステムを使っています。取引履歴を出力するには専用の機器を使う必要があるため、他社よりも時間がかかるのです。

過払い金の計算

取引履歴が揃ったら続いては過払い金の計算です。過払い金額を調べる計算のことを「引き直し計算」と呼びます。

自分で計算する場合はエクセルに専用のツールをインストールし取引履歴の内容を打ち込んで計算する必要があります。ただし、ここで計算を間違えてしまうと交渉で不利になってしまう可能性があるので計算は司法書士に依頼することをおすすめします。

過払い金請求

過払い金の額が計算できたら過払い金を請求します。請求の旨を記載した文書を作りセディナに内容証明郵便で送るのが一般的な方法です。請求書に所定の書式はありませんが、以下の内容の記載が必須です。

  • 請求した日付
  • SMBCファイナンスサービス株式会社の代表名
  • 請求者の氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • 振込口座情報
  • 契約者番号
  • 過払い金額
  • 返還の請求をするという文章

もちろんこうした書面も司法書士に代理人を依頼すれば自分で作成する必要はありません。

和解交渉

過払い金請求の文書がセディナに届いたら和解交渉を行います。和解交渉ではお互いの希望する額を提示し合い妥協できる金額で和解します。司法書士に代理人を依頼した場合はセディナは約8割の金額を提示してくることが多いようです。

セディナに和解交渉を持ちかけて取り戻せる過払い金は全体の約70~90%とされています。ただし契約者本人が交渉をした場合、全体の50%前後で条件提示されることもあるようです。つまり、交渉する人の腕次第で取り戻せる金額が大きく変わるということです。

交渉は実績豊富な司法書士に依頼することをおすすめします。

裁判による訴訟

和解できなかった場合や利息を付けた額を請求したい場合は裁判所を通して交渉をします。裁判では任意の和解交渉と違い以下の書類が必要です。

  • 訴状
  • 計算書
  • 証拠説明書
  • 登記簿謄本
  • 収入印紙代
  • 予納郵券
  • 手数料 など

裁判をすると任意の交渉よりもやや事務手続きが多く書類作成も煩雑にはなります。しかし、裁判では100%の過払い金に加えて利息付きで取り戻せる可能性が高いのです。

セディナは基本的に無意味に時間を引き延ばしたりすることはなく比較的対応のよいカード会社です。そのため、判決まで行かず和解で済むケースも多数。

ただし、争点がある場合については代理人を立てて争ってきます。こうした場合は特に、こちらも専門家である司法書士に代理人を依頼した方が有利に交渉をすすめられるでしょう。

過払い金返還

過払い金返還率 かかる時間
任意交渉による和解 70%~90% 3~5ヶ月
裁判 ~100%+利息 5~8ヶ月

和解や裁判手続きが終わったら、あとは過払い金が自身の口座に振り込まれるのを待つだけです。セディナと和解交渉をすると0%~90%の過払い金を取り戻せる可能性が高く、返還までにかかる時間は約3~5ヶ月です。

一方裁判で交渉した場合は100%の過払い金と利息を取り戻せる可能性が高い反面、振込まで5~8ヶ月かかります。

つまり、和解交渉では金額は減る反面すぐに取り戻すことができます。一方、裁判では満額以上の金額を取り戻せる反面やや時間がかかるという特徴があります。

セディナに過払い金請求するメリット

「過払い金請求は難しそう」「デメリットの方が大きそう」と考えている方は多いでしょう。しかしセディナは他社に比べて過払い金を取り戻しやすい会社といえます。ここからはセディナに過払い金請求するメリットを見ていきましょう。

比較的和解しやすい

セディナは和解と裁判のどちらにおいても比較的スムーズに交渉を進められる会社です。裁判においては判決まで徹底抗戦する姿勢を見せることはほぼばく、和解交渉でまとまるケースが多いとされています。

また古い取引履歴が一部ない場合、取引開始時点で借金が0円であったことを前提に和解交渉できるのもポイントです。さらに裁判で争点になりがちな取引の分断についても、過去複数回の取引を一連のものとして考えてくれることが多い傾向にあります。

このことから、セディナは比較的過払い金請求に対する対応がよい会社といえるでしょう。

過払い金請求をしてもカードを使える場合がある

セディナは完済後過払い金請求をした後に「カードは継続して使いますか?」と契約者に尋ねることがあります。

一般的には、一度過払い金請求をしたカードはその後使えなくなり請求した会社でカードを作ることもできなくなります。しかし、セディナは過払い金請求後もカードが使えるケースがあるのです。

カードが使えなくなることを大きなデメリットとして捉える方は多いですが、これなら安心して過払い金請求できます。ただし、確実にカードを使い続けられるとは限りません。そのため、原則として過払い金請求後は使えなくなると思っておいた方がよいでしょう。

完済の場合ローン審査には影響なし

すでに借金を完済した状態で過払い金請求をする場合、その後の住宅ローンをはじめとする審査に影響はありません。過払い金は支払いすぎたものを取り戻すだけの手続きであり、信用情報に影響するものではないからです。

セディナに過払い金請求する際のポイント

セディナに過払い金請求する前にいくつか確認しておきたいポイントがあります。

優遇制度が適用されていないか確認

セディナは過去に社員に対して金利を優遇して貸し付けできる制度を作っていました。そのため、金利優遇を受けていた方は2007年以前の取引でも過払い金が発生しません。

ご自身が支払っていた金利の割合が不明な場合は、司法書士事務所で過払い金の無料診断を受けることをおすすめします。

過払い金より残債が多い場合はブラックリストにのる

借入残高が過払い金よりも多かった場合にだけブラックリストにのる

すでに借金が完済している場合、過払い金請求をしてもブラックリストには載りません。先述のとおり、住宅ローンも問題なく組めます。

しかし、借金が残っている状態で過払い金請求をすると手続きは「債務整理」という扱いになります。またセディナのカードは、キャッシングだけでなくショッピングでも利用できます。

借金は完済していても、ショッピングによる支払い額が過払い金よりも大きければ、ブラックリストに載ってしまいます。借金とショッピングの支払合計額が過払い金よりも大きい場合も同様です。

ブラックリストに載ると、各社借り入れの審査に通りにくくなります。ブラックリストに載るかどうか確認する際は、キャッシング枠だけでなくショッピング枠の支払い額にも気を付けましょう。

楽天銀行スーパーローンから借り入れがある場合が注意

セディナは現在、楽天銀行スーパーローンの保証会社になっています。保証会社とは契約者が支払いを滞納したときに契約者に代わって代位弁済する会社のことです。

セディナに過払い金請求しても楽天銀行スーパーローンの借り入れに影響はありません。しかし、セディナの前進となった3社からの借金やカードのショッピング利用額などが過払い金額より多いときには注意が必要です。

この場合は過払い金請求でなく貸金業者に対して借金を減額する交渉が必要になるので任意整理という扱いになります。

和解書を結んでいると過払い金請求できない場合も

過去にセディナと和解書を結んでいると過払い金請求できない場合があります。たとえば、過去に支払いに困っていたときに利息をカットする和解書を結んでいた場合などには要注意です。

和解書の中には「今後一切の請求をしない」といった文言が入っていることがあります。この場合、過払い金請求も認められないケースがあるのです。

セディナが倒産すると過払い金請求できなくなる

セディナに限らず過払い金は対象となる会社が倒産すると請求できなくなります。そのため、セディナに対する過払い金は倒産する前に請求するのがおすすめです。

ただし、今やセディナは三井住友フィナンシャルグループ傘下の完全子会社なのですぐに倒産するリスクは少ないでしょう。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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