アコムは三菱UFJフィナンシャルグループに所属する最大手消費者金融です。マスターカードのライセンスを与えられた唯一の消費者金融としても知られており、「はじめてのアコム」というCMのフレーズは有名です。
アコムの利用者数は多く、顧客数は140万人以上ともいわれています。
それだけ顧客を抱えているアコムには多くの過払い金が発生しています。
アコムの過払い金請求をするには、最初に取引履歴を取り寄せるところからはじまります。取引履歴には借りた時の金額・金利・日付、返済した金額・日付が記載されていますので、取引履歴を確認することで自分にいくらの過払い金があるのかを調べることができます。過払い金請求の前の手続き、アコムの取引履歴を取り寄せる手順や注意点・リスクについてご紹介いたします。
アコムの取引履歴の特徴として、記載が細かく、他の消費者金融の取引履歴と比較してもわかりやすい点が挙げられます。
そのため、過払い金がどのくらいあるのかは比較的わかりやすく、完済と借入を繰り返している場合に取引が一連のものか、分断された取引なのかもわかりやすいのが特徴です。
取引履歴とは、アコムなどの消費者金融が行った貸し出しの日付、金額、金利、返済を行った際の日付、金額などを記載している書類です。
過払い金請求や債務整理を行う場合には、いくらの過払い金があるのかを確認する必要があるため、まずは取引履歴を取得するところから始まります。
消費者金融には10年間の取引履歴の保管義務と要求されたときの開示義務がありますので、どのような消費者金融でも必ず取引履歴を取得することができます。
アコムの場合、取引履歴の開示請求後、約1週間~4週間で開示されます。
取引履歴の取得方法はさまざまで、インターネット・電話・郵送・店頭受け取りなどの方法があります。
傾向でいえば、個人から開示依頼をするよりも弁護士や司法書士からの開示依頼の方を優先させることが多いです。
貸付額・返済額・取引の日付の3つについてはアコムに限らずほとんどの消費者金融の取引履歴で記載があります。
一方、取引の方法・約定利率(やくじょうりりつ)・遅延損害金・無利息残の記載については記載のない消費者金融も多く、アコムの取引履歴には詳しい情報の記載があるといえます。
ATMでの取引か店頭取引なのか、契約か解約かが記載されています。
返済額は、利息充当部分取引欄に「店頭」と記載があればアコムの店舗での取引、「ATM」と記載があればアコムのATMでカード取引をしたことになります。
さらに契約締結や解約があった場合にも記載があります。
アコムの場合、取引履歴に利率の記載があるので、取引履歴を見れば過払い金が発生するかどうかわかります。
利息制限法の上限金利は15%~20%です。金利に幅があるのは借金の額によって上限金利が変わるためです。
借入額が10万円未満 | 上限金利20% |
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借入額が10万円~100万円 | 上限金利18% |
借入額が100万円以上 | 上限金利15% |
上記の表のように、借入額が100万円未満で金利が18%以上であれば違法(過払い金が発生)、借入額が100万円以上で金利が15%以上であれば違法(過払い金が発生)とお考えください。
ATMでの返済の場合、返済額は1,000円単位です。1,000円未満の金額は返済できないため、残高の端数が残ります。ただし、1,000円未満の金額には利息がつかないため「無利息残」という記載になります。
アコムの取引履歴の大きな特徴は記載内容が細かいことです。
そのため、他の消費者金融の取引履歴と比較すると過払い金があるかどうかがすぐにわかります。
取引方法の記載があることから、一度完済した借金を分断取引とするか一連取引とするかが判断しやすくできています。
取引が分断になると過去に完済した借金に対する過払い金が請求できないことが多く、逆に一連取引となれば過去に完済した借金に対する過払い金も請求することができます。
過払い金請求において、取引が一連なのか分断なのかは請求額に大きくかかわりますのでご注意ください。
アコムの取引履歴では一度完済して再度借入をした際にATMの取引で借入を再開しているかどうかが分かります。取引が再開となれば一連取引と認められやすく、反対に「解約」と記載があれば分断取引と判断されやすいです。
アコムに取引履歴を請求する際には手数料はかかりません。無料で取り寄せることができます。
ただし、他の消費者金融に取引履歴を取り寄せる場合には1,000円程度の開示手数料がかかることがありますのでご注意ください。
なお、杉山事務所をはじめ多くの弁護士事務所、司法書士事務所では取引履歴を取り寄せる時の手数料は事務所負担で行います。
取引履歴の取得にお金がかかる点や取得後に過払い金計算を正しく行う必要がある点からも弁護士や司法書士などの専門家に依頼することをお勧めいたします。
杉山事務所であれば過払い金についてのご相談、調査、計算、着手金はすべて無料で行っております。
取引履歴を取り寄せ、状況を確認し、過払い金があるかどうかの引き直し計算まで自分で行うことは可能です。
特にアコムの取引履歴の場合には過払い金の発生があるかどうかがわかりやすく、自分で引き直し計算を行いやすい消費者金融といえます。
しかし、取引履歴の取り寄せ方法次第では過払い金が取り戻せなくなったり、引き直し計算を間違えることで本来取り戻せる金額が戻ってこないなどのリスクがあります。
過払い金請求のリスクを回避するためにも、取引履歴の取得や引き直し計算は弁護士や司法書士に依頼するようにしましょう。
アコムの取引履歴は自分で取り寄せることはできます。
しかし、個人で取引履歴を請求することで開示までの時間がかかるリスク、時効になり請求できなくなるリスク、不本意な和解に誘導されるリスクなどがあります。
アコムは過払い金請求が多い消費者金融だけあって、過払い金請求を受けた際の対応にも慣れています。過払い金請求の基本的知識を持たずに交渉することにはリスクがあることを把握しておきましょう。
消費者金融には取引履歴の開示義務があることは前述した通りです。
しかし、開示請求をされてから開示までの期間については定められておりません。
傾向でいえば、取引履歴を請求しても個人からの請求では対応が後回しになり、弁護士や司法書士からの請求には迅速に対応することが多いです。
個人で取引履歴を請求する時には本人確認に時間がかかりますが、確認作業を抜きにしても個人の対応には時間がかかる傾向がありますので、消費者金融によっては先延ばしを考えたり、不誠実な対応をしている可能性がありえます。
アコムの取引履歴は1週間~4週間程度で開示されますが、これ以上かかるようであれば取引履歴を取り寄せた後からでも弁護士や司法書士に相談しましょう。
過払い金請求をする際に特に注意すべきなのは消滅時効です。
最後の返済日から10年が経過すると消滅時効を迎え、過払い金が請求できなくなります。
最後の取引日からですので、現在借金の返済が終わっている場合には時効を迎える前に過払い金請求をする必要があります。
もし、借金を返済し終わった状態で取引履歴を取り寄せ、なかなか送ってこないという場合には、消費者金融側は時効を待っている可能性があります。取引履歴を送るのが遅くなれば、その後の過払い金の引き直し計算も遅くなります。結果的に請求時点で最後の返済日から10年が経っていれば時効になりますので、開示時期を調整し意図的に時効にさせているのです。
アコムの取引履歴を請求する際に引き延ばしをしてきたという話はありませんが、消費者金融によっては実際にある話ですので、今後アコムの体制が変わればどうなるか分かりません。
弁護士や司法書士に依頼すれば取引履歴の開示を迅速に行ってくれる可能性が高く、その後の引き直し計算もすぐに行うことができますので時効のリスクを回避できます。
個人で取引履歴を請求する際に特に注意してほしいのは、取引履歴の利用目的に答えてはいけないことです。
アコムに取引履歴を請求する際に利用目的を聞かれることがあります。しかし、取引履歴は開示を要求されたら開示しなければならないものです。本来、取引履歴の開示には理由は必要ありません。
アコムはヒアリングの1つとして理由を聞いてきますが、正直に「過払い金を確かめるため」と答えてしまうと、後に「今まで過払い金があるとわかった上で利息を払っていた」と主張される可能性があります。
過払い金があるとわかった上で返済しているということになれば、その後の交渉で不利になります。
もし理由を聞かれた場合には「状況を確認したい」とだけ答えましょう。
貸金業者によっては過払い金があることを知った上でお金を返したくないためにゼロ和解を提案してくることがあります。
ゼロ和解とは、現在返済中の借金をゼロにする、という内容で和解することです。一般に、ゼロ和解をすると過払い金が請求できなくなりますので損をすることになります。
借金返済中に貸金業者から提案してくることもありますが、取引履歴を請求したタイミングでゼロ和解を提案してくることがあります。
普通、取引履歴を請求することはありませんが、取引履歴を請求されるということはこの後に過払い金請求が来ることを貸金業者知っているので、先にゼロ和解をすることでその後の返金をなくし、損害を減らそうとしているのです。
ゼロ和解を提案してくるということは、現在の借金をゼロにして、さらに手元にお金が戻ってくるだけの過払い金が発生しているということです。
借金返済がなくなるという言葉に釣られて和解してしまうと過払い金請求ができないリスクがあります。和解前には必ず弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。
貸金業者には取引履歴の保存義務がありますが、保存義務があるのは10年です。
そのため、10年を過ぎると古い履歴を処分しているため、取引履歴を開示請求しても履歴の一部しか開示してくれない貸金業者もあります。履歴を一部しか開示しないということは過払い金の引き直し計算に影響します。
貸金業者の中には過払い金請求をさせない対策として履歴を処分しているという業者もあります。
アコムの取引履歴の保管期間は非常に長く、30年以上前の履歴であっても確認できます。事実上、すべての取引履歴を開示してくれると考えてよいでしょう。
しかし、すべての貸金業者で全取引履歴が開示されるとは限らないことは覚えておきましょう。
なお、取引履歴が一部しかなくても弁護士や司法書士に依頼した場合には、推定計算(当初0計算、冒頭0計算、残高0計算ともいいます)という方法を使って過払い金を計算することができます。
アコムの取引履歴は無料で取り寄せることができますが、貸金業者によっては取引履歴の開示手数料に1,000円ほどの費用がかかることがあります。
もし、弁護士や司法書士に依頼した場合には取引履歴の開示手数料は事務所が負担いたします。取引履歴を取り寄せか、内容を確認しても過払い金が出ないこともあります。リスクを回避する意味でも過払い金請求は弁護士や司法書士に依頼することをお勧めいたします。
なお、アコムに取引履歴を取り寄せる際には事前に開示請求書に記載してからの手続きになります。
アコムから取引履歴を取り寄せたら次に行うのは過払い金の引き直し計算です。
この引き直し計算を間違えると過払い金を請求する金額が少なくなったり、請求そのものができなくなったりするリスクがあります。
さらに、完済と借入を繰り返している場合の引き直し計算や返済中の借金の過払い金の引き直し計算にもリスクがございます。
過払い金請求のリスクを最小限に抑えたい場合には、弁護士や司法書士に依頼するようにしましょう。
なお、自分で過払い金計算を行う場合には、無料計算ソフトの外山式利息計算ソフトや名古屋消費者信用問題研究会が配布している利息計算ソフトの他、有料計算ソフトローンマスター/金利引き直し計算 S-Typeなどをおすすめいたします。
取引履歴を確認した上で引き直し計算で出てきた金額を過払い金として請求することになりますので、引き直し計算は非常に重要です。
もしここで計算を間違えて少ない金額で請求してしまうと取り戻せる金額も少なくなります。1社に対して過払い金請求ができるのは1度しかありませんので、自分で過払い金請求をする場合、計算間違いは起こさないように慎重に行いましょう。
アコムから何回も借りたり返したりを繰り返している場合の引き直し計算には注意が必要です。
一度完済し、その後に再度お金を借りた場合には1つの取引が続いていると判断される(一連取引)ことがあります。一連取引と認められれば最初に完済した取引が10年以上前であったとしても時効にはならず、より多くの過払い金が取り戻せる可能性があります。
反対に、一度完済した取引が分断されていると判断された場合(取引の分断)には古い借金の過払い金は時効により取り戻せない可能性があります。
アコムの場合には取引履歴には「再開」や「解約」などの記載があり、比較的わかりやすくなっていますが、貸金業者によっては一連なのか分断なのかの判断が難しいこともあります。
正確な過払い金を計算するには弁護士や司法書士に任せるのが無難です。
借金返済中に過払い金請求を行う場合、注意すべきなのは返済すべき借金の残りと取り戻せる過払い金のどちらが多いかです。
過払い金が借金の残額よりも多い場合には、借金をすべて返済し、手元にお金が戻ってくることになりますので過払い金請求を行うデメリットはありません。
しかし、過払い金が借金の残額よりも少ない場合には、過払い金をすべて返済に充てても足りませんのでブラックリストに載ることになります。
ブラックリストに載ってでも過払い金請求を行った方がよいこともありますが、その後の生活に影響が出ることもありますので一度見送って、借金を返済し終えてから過払い金請求を行うという方法もあります。
ブラックリストに載るかどうかを判断するためにも引き直し計算を正確に行うことは重要です。過払い金を計算した上でどのくらいの過払い金が取り戻せるのかも実績が多い事務所は判断ができますので、リスクを回避するためには弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。
アコムの取引履歴を取り寄せる方法はインターネット、店頭受け取り、電話請求の3つの方法があります。
どの方法も開示請求書に記入し、本人確認書類を郵送または店舗に届けるという点では同じです。
アコムに限らず、一般的に取引履歴は本人以外には開示はしてくれません。
しかし、契約者本人が亡くなって相続をした場合には、相続人であることが分かれば家族の取引履歴も取り寄せることができます。
家族がなくなり、相続する段階ではじめて借金をしていたことが分かることも多く、相続を放棄することで借金を放棄することはできますが、一部だけを相続放棄するということはできませんので、土地や財産を相続する場合には借金も一緒に相続することになります。
しかし、相続した借金の中に過払い金があることもありますので、借金があるから相続しないと考えるのは早計です。
役所で除籍謄本や戸籍謄本を取得することで本人が亡くなったことや相続したことを証明できますので、書類を添付した上で取引履歴を開示請求することで家族の取引履歴であっても確認することは可能です。
ただし、亡くなった方がどこから借りていたのかを把握できないという場合もあります。その場合には弁護士や司法書士にご相談ください。
アコムの取引履歴では、貸付額・返済額・取引の日付・取引の方法・約定利率と遅延損害金・無利息残の記載が確認できます。
過払い金の引き直し計算で重要になるのが、取引開始時点での金利です。
もし、利息制限法の上限金利以上での返済を1度でも行ったことがあれば過払い金は発生しています。
アコムは2007年6月18日に金利見直しを行っていますが、その後も法定金利以上の金利を取っていれば過払い金を払い続けていることになるので、より多くの過払い金を取り戻すことができます。
アコムの取引履歴は比較的わかりやすいものですが、それでも過払い金の引き直し計算を正確に行うのであれば弁護士や司法書士に任せるのが無難です。
アコムの取引履歴を取得する際にアコム側から和解の提案を受けることがあります。
これは取引履歴を取得するということは過払い金請求をするつもりだとアコム側もわかっているため、会社の損害を減らすために、一見契約者に有利な提案をし、和解後に過払い金請求をさせないことが目的です。
アコム側からは和解という言い方ではなく、契約者のための提案のように話してくるため注意が必要です。
現在の借金がなくなる(ゼロ和解)というような話があった場合には過払い金がある可能性が非常に高く、和解をしてしまうと損をしてしまうかもしれません。
このような提案があった場合には書面にサインする前に弁護士や司法書士にご相談ください。
取引履歴は契約者本人から請求された際は開示しなければならないと法律で決まっています。そのため、アコムに開示依頼をすれば必ず開示されます。
改ざんはありません。以前は取引履歴の改ざんがありましたが、改ざんが判明すると厳しい行政処分の対象になるのでアコム側で改ざんするメリットがありません。
アコムの取引履歴は1~4週間程度で開示されます。
取引履歴の開示請求は契約内容を確認するだけですのでデメリットはありません。ただし、取引履歴を開示請求する理由を聞かれたときに「過払い金を計算するため」と答えてしまうと、その後、過払い金請求できなくなるリスクがあります。
理由を聞かれた際には「取引内容を確認するため」程度にしてください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。