自己破産をすることで借金をすべてなくし、生活を再建することができます。
しかし、自己破産をして借金がゼロになるということは貸金業者に返済を諦めてもらうということです。そのため、裁判所に手続きをし、免責の許可を受けなけばなりません。
では、自己破産をする場合、裁判所にどのような書類を提出し、どんな流れで手続きを進めるのでしょうか?
自己破産の流れ、自己破産の種類(同時廃止か少額管財か)、必要書類、免責不許可事由などをご紹介いたします。
自己破産とは、裁判所に手続きを通し、許可をしてもらうことで借金を免責してもらう破産法で定められた救済制度です。
自己破産をすると財産をすべて処分されるかわりに借金がゼロになる、ギャンブルやFXで作った借金は自己破産できない、というイメージがあります。
しかし、実際には自己破産をしても20万円以下の財産は処分されないことも多く、生活できなくなるということはほとんどありません。射幸行為(しゃこうこうい:FXや株取引、先物取引などのこと)が原因で作った借金であっても裁判官の裁量により自己破産できることもあります。
ただし、自己破産をすることでお金を貸した債権者には利益を失うことになりますので、本当に借金の返済はできないのかどうかは裁判所による厳格な判断があった上で行われます。
お話を伺い、受任いただける場合には司法書士と相談者様の間で「自己破産委任契約」を締結させていただきます。
自己破産にかかる費用は25万円程ですが、保管金、予納金、印紙代などがかかることがあります。
相談者様から受任をいただきましたら、「内容証明郵便」にて当事務所が介入した旨を通知します。この時、同時に金融業者に対して、全ての取引履歴の開示も手続きします。受任以後は、相手との具体的な交渉や手続きなどは全て当事務所が行ないます。
受任通知が到達した時点で金融業者からの取り立てはストップします。
「受任通知」到達後、1週間から4週間程度で各金融業者から「取引履歴書」が当事務所に届きます。この取引履歴をもとに相談者様の借金の総額を確定し、同時に財産の状況を確認します。
この取引履歴を元に過払い金があるかどうかも確認し、取り戻せるお金がある場合には過払い金請求を行います。
裁判所に提出する申立書等の必要書類を作成します。この時に資産や家計状況の調査と免責に関する調査を行います。
預金通帳や家計簿などを元に資産や家計を調査することで、どの資産が処分対象になるのか、残せるのかを確認し、免責になるかどうかを確認します。
もしこの時点で免責不許可事由に該当する場合には自己破産ができない場合があります。ただし、自己破産は裁判官の裁量により許可されることも多く、ギャンブルや浪費などの免責不許可事由があったとしても自己破産手続きが進められることがあります。
裁判所に申立書類を提出し、書類に不備があった場合には不足する書類を追加で提出します。
裁判所より日時を指定され、支払不能になった状況等の質問があります。支払不能になった原因等が不明確な場合など、裁判所が債務者から直接話を聞く必要があると判断したときのみ行われます(通常は破産審尋はありません)。
裁判所で書類の審査が行われ、債務者に住宅等の財産がない場合は競売手続きを行うことなく免責の手続きに移行します。通常の自己破産手続きは大半がここで終了し、免責決定へと移行します。
少額管財となる場合には、破産手続き開始決定の際に破産管財人が選任され、自由財産を除いた財産は破産管財人に処分権が与えられます。後日、破産管財人との面接が行われ、債務、資産、家計状況などを確認することになります。
免責について異議申立をした金融業者から裁判所が意見を聞きます。通常、裁判所で厳格な審査が行われているため、金融業者が異議申し立てをすることはありません。
破産手続きの際には債権者集会が開かれます。債権者集会にて、破産管財人から報告が行われます。
債権者集会により破産手続きが終了した場合、裁判所より呼び出しがあり行われるのが免責審尋です。ここで自己破産を申立てた者に対し、裁判官が免責を認めるかどうかを面談して審査します。
同時期に破産申立した方が一斉に呼ばれますので1対1ということはありません(裁判官1人に対して10人程度。個別に質問されることもありません)。所要時間も10分ほどです。
免責審尋より1週間程度で免責の許可決定(または布許可の決定)があり、免責の許可決定後、約2週間後に官報に載ります。
官報公告の2週間後に確定し、借金が全額免除されます。資格制限、職業制限は免責の許可決定をもってなくなります。
同時廃止とは、自己破産をする人に財産がない場合で、破産管財人を選任し調査をする必要のない場合に、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了し,免責手続だけを行う手続きです。申し立てから3ヶ月~4か月程度で手続き終了します。
少額管財とは、自己破産をする人に財産がある場合や免責不許可事由がある場合に,裁判所から選任された破産管財人が財産や免責不許可事由があるかどうかを調査する手続きです。破産管財人の選任、面談、調査などに時間を要し、6ヶ月程度で手続きが終了します。
ここでいう財産のある、無しは33万円以上の現金や20万円以上の価値がある資産があるかどうかを基準としています。
大きくいうと自己破産の同時廃止と少額管財の違いは、破産管財人が選任されるかどうかです。
ある程度の財産がある場合には破産管財人が選任されるのが原則ですので少額管財になり、時間と費用が掛かりますが、財産がない場合には破産管財人が選任されることもなく同時廃止となります。
少額管財になるのは、20万円を超える財産がある場合ですが、ほかにも個人事業を行っている場合や免責不許可事由がある場合で自己破産を行うときにも管財人が選任され、少額管財として扱う場合もあります。
自己破産は借金をすべて免責にしてもらうことで破産者を救済する制度です。借金を免責にするということは債権者(貸金業者)は請求できなくなり、経済的な利益を失うことになります。
そのため、破産法という法律により一定の条件を満たす場合には免責を許可しない(自己破産させない)というものがあります。このこと免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)といいます。
免責不許可事由には次のようなものがあります。
ただし、免責不許可事由があったとしても自己破産できないというわけではありません。よくギャンブルで作った借金は自己破産できないといわれますが、借金のすべての原因がギャンブルであるとはいえない場合などでは裁判官の裁量により自己破産ができることもあります。
財産があるのに財産目録から除外する行為は免責不許可事由にあたります。自分名義の不動産のままでは処分されることをおそれ、事前に配偶者の名義に変更するような行為も財産の隠蔽に該当します。
過払い金が発生していることを知っていて自己破産前に手続きをしなかった場合にも免責不許可事由にあたることがあります。そのため、時間がかかっても自己破産の申し立て前に過払い金を調査する必要があります。
自身の収入を超える買物や支払いができないことがわかっている上での買い物が免責不許可事由にあたります。その他、競馬やパチンコなどのギャンブル、株取引、FX取引などによって著しく財産を減少させた場合や借金を作った場合にも免責不許可事由にあたります。
特定の債権者に対してだけ返済をすることを偏頗弁済(へんぱべんさい)といいます。偏頗弁済を行うと債権者平等の原則(すべての債権者に対して平等に返済すべきという原則)を守っていないことになり、免責不許可事由にあたります。
クレジットカードで買い物をしたものを換金する行為(ショッピング枠の現金化)などを換金行為といいます。換金行為は免責不許可事由になりえます。
返済するあてがないのに、虚偽の所得証明書や身分証明書を使ってお金を借りた場合には免責不許可事由にあたります。
自己破産を行うにはおおよそ次のような書類が必要です。ただし、自宅があるか、自動車があるか、生活保護や年金を受給しているかどうかなどで必要書類が増えることはあります。
自己破産手続きで亭主る書類は収入や資産、資産などが分かる書類すべてとお考えください。
このように自己破産における必要書類は非常に多く、資料が足りない場合には自己破産を受け付けてもらえない場合もあります。
資料の確認、作成などは煩雑な手続きですので弁護士や司法書士に依頼し、自己破産手続きに入ることをおすすめいたします。
手続き費用 | |
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価格 | 440,000円(税込) |
備考 | 非事業者の場合 |
※依頼者が個人事業主の場合、別途ご相談 (事業規模等により金額を決定します。)
※保管金、印紙代等の実費が別途必要となります。
※破産管財人が選任された場合、別途予納金が必要となります。
※回収した過払い金については別途、成功報酬が発生いたします。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。