過払い金請求は裁判した方が得!少しでも多く取り戻すために

過払い金請求には任意交渉と裁判をする方法があります。どちらが良いとは言えませんが、より多くのお金を取り戻すという点では裁判をした方が得になることが多く、おすすめです。

司法書士法人杉山事務所が、過払い金請求を裁判した方が得になる理由、手続きの流れと要する期間、裁判のデメリット、裁判の争点・注意点をわかりやすく解説いたします。

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過払い金請求は裁判した方が得

過払い金請求には任意交渉(話し合い)と裁判の2つの方法があります。任意交渉では相手の合意さえ得られれば早い段階で和解できるため、早くお金が戻ってくるというメリットがありますが、発生した過払い金の7割前後しか戻ってきません。

対して裁判で過払い金請求を行った場合には裁判の争点によっては時間がかかりますが、判決次第では発生した過払い金を全額取り戻すことが可能です。

さらに裁判を行った場合には利息がプラスされて戻ってきますので、より多くのお金を取り戻すということを考えれば裁判をした方が得です。

利息がついて返還される

(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

(悪意の受益者の返還義務等)
第七百四条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

民法703条の不当利得の返還義務を根拠に過払い金請求を行うことができます。さらに民法704条により利益を付して返還しなければならないとあります。これにより過払い金に利息をつけて取り戻すことが可能になります。

プラスで戻ってくる利息については 平成19年2月13日最高裁判所第三小法廷の判決により年5%と定まりました。

ただし、任意交渉(話し合い)では貸金業者側の合意が取れないことがほとんどですので、利息をつけてもらうためには裁判により手続きを進める必要があります。

つまり、裁判をすれば発生した過払い金に対して年5%の利息がついて取り戻すことが可能です。

裁判をした時の報酬

過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼すると成功報酬として回収額の20%がかかるのが一般的です。ただし、裁判をする場合には回収額の25%が成功報酬になります。

報酬額は上がりますが裁判をすることで回収額が大幅に増えることが多く、結果的には裁判をした方が得をします。

裁判と交渉の比較

ここまでの話をまとめると次のようになります。

任意交渉裁判
要する期間短い争点次第では長い
過払い金返還率約70%100%も可能
利息つかない年5%がつく

仮に2010年の時点で50万円の過払い金が発生していて、2020年に返還された場合を例にしてシミュレーションしてみます。

任意交渉裁判
返還額35万円50万円
利息(年5%)0円25万円
報酬額7万円18.75万円
戻ってくる金額28万円56.25万円

実際の利息の計算は過払い金は発生した時点からです。また、貸金業者によっては任意交渉でも70%以上取り戻せる場合もありますし、裁判をしても100%取り戻せない場合や争点に次第では利息が戻ってこないこともあります。

上の例はわかりやすくするために単純計算をしていますが、それでも任意交渉よりも裁判の方が得をするということがわかります。

交渉中心の事務所が多い理由

弁護士事務所や司法書士事務所の中には方針として裁判をせずに交渉を中心に行うところもあります。

裁判をすると報酬額は増えますが、それ以上に事務所側の手間や負担が増えますので、事務所の利益を最大化するために交渉中心の請求を行うことがよくあります。

過払い金請求の広告は数多く出回っていますが、大量の件数を追っている事務所では特に裁判を行わない傾向にあります。

依頼者の利益を最大化するのが弁護士や司法書士の業務ですので、全く裁判をしないという事務所であれば別の事務所との比較検討をおすすめいたします。

過払い金裁判の流れと期間

過払い金請求を裁判でする場合の流れと要する期間をご説明いたします。

なお、ここでは過払い金請求を裁判で行う場合の説明ですので受任通知の発送や過払い金の引き直し計算については省いています。全体的な流れを確認されたい場合には過払い金請求手続きの流れをご確認ください。

訴訟提起

裁判による過払い金請求は、過払い金の引き直し計算後に訴状、証拠説明書、準備書面などを作成し、最寄りの裁判所に提出することではじまります。

過払い金額の元金が140万円未満の場合には簡易裁判所、140万以上の場合には地方裁判所で裁判を起こすことになります。

訴訟の提起は書類さえ集まればすぐに行えますが、事前に過払い金の引き直し計算をするために取引履歴を取り寄せるため、準備には1か月~3か月ほどかかります。

裁判・判決

裁判所に訴状を提出後は裁判所から貸金業者に訴状を郵送します。その後、第1回口頭弁論期日(裁判日)が決まり、期日までに貸金業者の主張や反論が届きます。

だいたい訴状の1か月後が第1回口頭弁論期日となり、その後は結論が出るまで月に1回程のペースで第2回期日、第3回期日が設けられます。

裁判途中であっても和解は可能です。そのため、状況により貸金業者から和解の提案があることもあります。両者の合意があればそこで和解することも可能です。和解しない場合には判決が出ることになります。

裁判は早いと3か月程で終わることもありますが、争点が複雑で長引くと半年以上かかることもあります。

過払い金の返還

解をした場合でも判決が出た場合でも、貸金業者からの返金にはある程度の期間を要します。貸金業者により返金までの期間は大きく変わりますが、確定後2ヶ月~3ヶ月程度で返金されます。

なお、稀なケースですが貸金業者が返金に応じない場合には、強制執行手続きが必要になることもあります。

訴訟するデメリットとリスク

過払い金請求そのもののデメリットや裁判することのデメリットやリスクを気にされる方がいますが、過払い金請求を裁判で行うことのデメリットやリスクはありません。

最高裁判所の過去の判例により過払い金を返還することは決まっていますので、裁判で負けるということはまずありえません。また、裁判をすることでブラックリストに載ったり、生活に支障が出るということはありません。

ただし、裁判をするよりも任意交渉の方が早く手続きが終わる可能性はありますので、早く現金が戻ってきてほしいという方は裁判ではなく任意交渉を行うことをおすすめします。

裁判にかかる費用

裁判をするには訴状を裁判所に提出しなければなりません。その際、訴状には印紙、郵券(ゆうけん)、資格証明書を添付する必要があります。

そのため、過払い金請求を裁判で行う場合には訴訟費用がかかります。訴える貸金業者数や請求額に応じて裁判費用は変わってきますが、最低でも2万円程度はかかることは想定しておいていください。

ただし、弁護士事務所や司法書士事務所によって裁判費用の請求方法が変わりますので事前に確認した方がよいでしょう。

印紙代

印紙とは収入印紙のことです。過払い金裁判の場合、過払い金の元金の金額に応じて必要な印紙の額が変わってきます。

訴額印紙代
10万円1,000円
20万円2,000円
30万円3,000円
40万円4,000円
50万円5,000円
60万円6,000円
70万円7,000円
80万円8,000円
90万円9,000円
100万円1,0000円
120万円1,1000円
140万円1,2000円

印紙代は訴額が100万円までは10万円ごとに1,000円ずつ上がり、100万円を越えると20万円ごとに1,000円ずつ上がります。

予納郵券

郵券(ゆうけん)とは郵便切手のことです。

訴状を受け付けた裁判所は貸金業者に訴状を郵送しますが、その際の送料(特別送達代)は事前に郵券で納めることになります。また、和解調書や判決文などの書類を郵送する際にも使われます。

判所によって必要な予納郵券の額は変わりますが、例えば東京地裁の場合には合計で6000円分の切手を用意することになります。なお、裁判が終了した時点で余っている切手は返還されます。

代表者事項証明書

裁判を開始するために訴状を貸金業者に送りますが、裁判所は貸金業者の代表者が誰なのかを確認して、代表者宛に郵送を行います。

そこで登記簿のうち代表者に関する部分だけを抜き出した証明書(代表者事項証明書)を提出することになります。

代表者事項証明書は法務局に行けば窓口で手数料分の印紙を買って支払うか、オンライン申請で郵送してもらうかです。どちらにしても費用は500円~600円程度です。

交通費

裁判期日には弁護士や司法書士が裁判所に赴く必要があります。その際にかかる交通費が実費としてかかります。

事務所によっては出廷手当という名目で数万円の費用が掛かることもありますので事務所に依頼する際にご確認ください。

過払い金訴訟における争点

以下はすべて過払い金請求を裁判で行う場合の争点となる問題です。裁判そのものは弁護士や司法書士が対応しますが、争点があることで裁判が長引く可能性があることがあります。

  • 一連取引と分断取引
  • 過払い請求の時効
  • 期限の利益の喪失
  • 和解後の過払い金訴訟
  • クレジットカードの充当合意

一連取引と分断取引

借金を一度完済した後に改めて同じ貸金業者から借り入れをした場合、最初の借金と次の借金を1つの取引とするか(一連取引)、別の取引とするか(分断取引)で取り戻せる金額が大きく変わることがあります。

貸金業者は少しでも返還額を減らすために取引の分断性を争ってくることがあります。

過払い金の時効

最高裁判所の判例により過払い金の時効は最後の取引日から10年と定まっています。ただし、2020年4月1日の民法改正により時効の扱いが変わりましたので4月1日以降に完済した場合や諸々の事情を合わせて争点にしてくることが考えられます。

期限の利益の喪失

期限の利益とは借金を分割払いの支払い期限まで待ってもらえる利益のことです。しかし、契約上は返済が遅れると期限の利益が喪失し、借金の残りを一括で支払う義務を負うことになっているのが通常です。

ほとんどの場合で、返済の遅れがあっても一括請求はされず(期限の利益は喪失していない)返済は継続しますが、過払い金請求の裁判をすると期限の利益の喪失を主張してくる貸金業者があります。

この主張はアイフルやCFJなどが行いますが、裁判所に認められると過払い金の返還を受けられなかったり、完済したはずの借金が残っていることになったりする可能性があります。

和解後の過払い金訴訟

借金の返済が遅れた時に貸金業者から借金の金利を下げる提案や支払い金額を下げて分割払いをしてく和解書(合意書)を交わすことがあります。この和解書の内容次第では過払い金請求できないということもあります。

クレジットカードの充当合意

クレジットカードでキャッシングをして1回払いで返済をした場合、アプラス、オリコ、ライフカードなどは過払い金の充当合意について争ってくることがあります。

過払い金の充当合意とは、取引中に発生した過払い金は後の貸付金に充当するという合意のことです。この主張が認められると返還される過払い金額に影響します。

過払い金訴訟における注意点

過払い金請求を訴訟ですることは金銭的メリットがあります。しかし、一部の貸金業者の場合には裁判をする際には注意する点があります。

また、2020年の新型コロナウィルスの影響により過払い金訴訟に影響が出ておりますのであわせてご紹介いたします。

アイフルとライフカードを訴える場合

過払い金請求を弁護士や司法書士に依頼した場合、手続きのすべてを事務所側で行いますので依頼者に連絡が入ったり、郵送物が届いたりすることはありません。

しかし、アイフルやライフカードなどの貸金業者は過払い金請求を起こされると債務不存在確認訴訟(〇〇円以上の過払い金は存在しないことを確認する裁判)を起こしてくることがあります。

債務不存在確認裁判は過払い金請求の裁判とは別物なので訴状が自宅に届くことになり、家族に秘密にしていた借金のことがバレるというリスクがあります。

新型コロナウィルスの影響

2020年の新型コロナウィルスの影響により過払い金請求に要する時間に影響が出ています。

貸金業者側ではリモートワークが多くなったため、取引履歴の開示や和解交渉に割く人員が減少し、ウィルス流行前よりも対応に時間がかかるようになりました。

また、過払い金請求を裁判で行う場合にも今までは提訴後1か月程度で裁判期日が設けられていたものが3か月以上待たされることになるなどの事例があります。

ウィルスの流行により過払い金が取り戻せなくなるということはありませんが、より多くの時間を要することになりましたのでご注意ください。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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