過払い金請求はカードのリボ払いでもできる

クレジットカードのリボ払いで借金を返済した場合は過払い金が発生しないと思っていませんか?

実は、リボ払いで返済をしていたケースでも過払い金が発生することがあります。

この記事では、

  • クレジットカードのリボ払いで過払い金が発生する条件
  • リボ払いでも過払い金が発生しないケース
  • リボ払いで借金をした際に過払い金が多くなる理由

などについて解説します。

リボ払いでも過払い金が発生しているケースもあるため、高額な過払い金を取り戻すことができるかもしれません。

クレジットカードのリボ払いで過払い金が発生する3つの条件

過払い金と聞くと、消費者金融からの借金にしか発生しないと考えている方もいるかもしれません。

ただ、クレジットカードのリボ払いでも過払い金が発生することがあります。以下の3つのケースでは、過払い金が発生します。

  • キャッシング枠を利用して借金をした
  • 利息制限法の上限を超える金利でお金を借りた
  • 借金の完済日から10年を経過していない

キャッシング枠を利用して借金をした

キャッシング枠の利用のみ過払い金が発生する

クレジットカードには以下の2つの機能があります。

  • キャッシング枠
  • ショッピング枠

このうち、キャッシング枠を利用してお金を借りた場合は、過払い金が発生していることがあります。

そのため、過払い金請求をすれば、過払い金を取り戻すことが可能です。

利息制限法の上限を超える金利でお金を借りた

借金をした際にリボ払いで返済をしたケースで過払い金が発生するのは、過去に利息制限法の上限を超える金利で借金をした場合のみです。

利息制限法では、借り入れ額により年15%〜20%が上限金利となっています。

借り入れ額利息制限法の上限金利
10万円未満20%
10万円〜100万円未満18%
100万円以上15%

平成19年以前、ほとんどのクレジットカード会社は利息制限法を超える金利でお金を貸していました。

なぜなら、利息制限法の上限金利を超えていても出資法の上限金利(年29.2%)にさえ違反していなければ、罰則規定がなかったからです。

しかし、平成18年の1月13日の最高裁判決で、利息制限法に違反する金利での貸し付けができなくなりました。

本件期限の利益喪失特約の下で,債務者が,利息として,利息の制限額を超える額の金銭を支払った場合には,上記のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできないと解するのが相当である。

(引用元:最高裁判所判例集|裁判所

そして、出資法の上限金利については、平成22年の貸金業法の改正により利息制限法と同じ金利となっています。

第五条の三 金銭の貸付けを行う者が、当該貸付けに係る保証料の契約の後に当該貸付けの利息を増加する場合において、その保証料と合算して年二十パーセントを超える割合となる利息(年二十パーセントを超える割合のものを除く。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合となる利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

(引用元:出資法第5条の3|e-Gov

そのため、クレジットカード会社から借金をしてリボ払いで返済をしているケースでも過払い金が発生している可能性があります。

借金の完済日から10年を経過していない

過払い金の時効

過払い金には10年の時効があります。そのため、時効を迎えるまでの間に過払い金請求をしなければ過払い金を取り戻すことができません。

たとえば、平成24年に借金を完済したケースでは時効を迎えるのは令和4年です。つまり、令和4年の時効日までなら過払い金請求が可能です。

ただ、借金を完済後10年が経過していても過払い金が時効を迎えていないケースもあります。

具体的な事例については、過払い金の消滅時効と時効後の対応方法で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

リボ払いで過払い金があるカード会社とは?

ほとんどのクレジットカードでは、リボ払いでの返済ができます。では、どのようなカードで過払い金が発生しているのでしょうか?

リボ払いで過払い金請求できるカード一覧

たとえば、以下のカードはリボ払いで過払い金が発生している可能性があります。

クレジットカード貸付金利(当時)
りそなカード27.8%前後
マイカルカード26.4%
三井住友カード27.8%以上

りそなカードは、平成19年7月13日まで27.8%の金利でお金を貸していました。マイカルカードや三井住友カードも現在の金利と比べると高い金利です。

そして、他にも過払い金が発生している可能性があるクレジットカードがあります。

実際に司法書士法人杉山事務所では、他にも多くのカード会社に対して過払い金請求を行っています。

クレジットカードの過払い金請求で知らないと損する注意点の記事でくわしく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

リボ払いでも過払い金が発生しないケース

クレジットカード会社から借金をすると、リボ払いでも過払い金が発生しているケースがあります。

ただ、以下の3つのケースではリボ払いで返済をしていても過払い金が発生しません。

  • クレジットカードのショッピング枠の利用
  • 利息制限法の金利で借金をしたケース

クレジットカードのショッピング枠の利用

クレジットカードのショッピング枠を利用しただけでは、過払い金が発生しないため過払い金請求により過払い金を取り戻せません。

ショッピング枠を利用しても借金をしたわけではないからです。毎月支払っているお金も利息ではなく手数料になるので、過払い金が発生しないのです。

実際に割賦販売法の第3条にも手数料率という文言があり、利息という文言は他のクレジットカードに関連する条文を探しても見当たりません。

第三条 割賦販売を業とする者(以下「割賦販売業者」という。)は、前条第一項第一号に規定する割賦販売(カード等を利用者に交付し又は付与し、そのカード等の提示若しくは通知を受けて、又はそれと引換えに当該利用者に商品若しくは権利を販売し、又は役務を提供するものを除く。)の方法により、指定商品若しくは指定権利を販売しようとするとき又は指定役務を提供しようとするときは、その相手方に対して、経済産業省令・内閣府令で定めるところにより、当該指定商品、当該指定権利又は当該指定役務に関する次の事項を示さなければならない。

四 第十一条に規定する前払式割賦販売以外の割賦販売の場合には、経済産業省令・内閣府令で定める方法により算定した割賦販売の手数料の料率

(引用元:割賦販売法第3条4項|e-Gov

したがって、ショッピング枠の利用金額をリボ払いで支払っても過払い金請求はできないのです。

利息制限法の金利で借金をした

借金の返済方法がリボ払いであっても利息制限法の金利での借金なら、過払い金は発生しません。

過払い金は利息制限法を超える金利で借金をした場合にしか発生しないからです。また、カード会社によって貸付金利を見直した時期が異なるので注意しましょう。

クレジットカード貸付金利を見直した時期
オリコカード平成19年4月1日
OMCカード平成19年9月2日
KCカード平成19年以前
ライフカード平成18年11月

たとえば、オリエントコーポレーションは貸付金利を平成19年4月1日に見直しています。

そのため、オリコカードで平成19年3月31日以前に借金をしたことがあれば、過払い金が発生している可能性が高いです。

他方、ライフカードは平成18年11月と貸付金利を早い段階で見直しています。

リボ払いで過払い金が発生しないカード会社一覧

そして、過去にはリボ払いと一括払いで貸付金利が異なるカード会社もありました。

返済方法貸付金利過払い金の発生
リボ払い利息制限法の範囲内(年15%〜20%以内)なし
一括払い利息制限法を超える金利あり

JCB、ちばぎんディーシーカード、三井住友VISAカードでの借金をリボ払いで返済している場合は過払い金が発生しません。ただ、この3社でも一括払いで返済しているのであれば過払い金が発生している可能性があります。

  • JCB
  • ちばぎんディーシーカード
  • 三井住友VISAカード

クレジットカード会社に過払い金請求をする際の注意点

クレジットカード会社に対して過払い金請求をする際には、以下の注意点を把握しておきましょう。

  • 発行するすべてのカードが使用できなくなる
  • 過払い金請求でブラックになることがある
  • ショッピング残高は過払い金と相殺される

何も知らない状態で過払い金請求をすれば、不利益を被る可能性があるので注意が必要です。

過払い金請求をした会社が発行するすべてのカードが使用できなくなる

過払い金請求をすると、過払い金が発生しているカードは使えなくなります。さらに、請求先のカード会社が発行する他のカードも使用できなくなるので注意しなければなりません。

たとえば、他のカードで以下の支払いをしていませんか?

  • 携帯電話の料金を支払っている
  • 家賃を支払っている
  • 月額課金のサービス料を支払っている

このように、カードから料金の引き落としをしている場合は、引き落としができなくなります。

ただ、過払い金請求をしても、他社発行のカードはこれまで通り利用できます。そのため、過払い金請求をする前に、支払い先を他社のカードに変えたり支払い方法を変えたりしましょう。

借金よりも取り戻した過払い金が少なければ、ブラックになる

借金よりも取り戻した金額が少ないとブラックになる

完済後に過払い金請求をするケースのデメリットは、請求先のカード会社発行のカードが使えなくなることぐらいです。

しかし、返済をまだ続けているケースでは注意が必要です。

実は、借金よりも取り戻した過払い金が少ない場合はブラックになります。

その理由は、過払い金請求ではなく任意整理の扱いになり、信用情報機関に情報が載ってしまうからです。

たとえば、借金が100万円あるケースでは取り戻せる過払い金が100万円を超えていれば、ブラックになることはありません。一方で、過払い金が100万円未満の場合は借金自体は減るものの、借金の完済ができないためブラックになってしまいます。

信用情報機関任意整理をした場合の登録期間
JICC5年
CIC5年
KSC5年

信用情報機関に登録されると、5年間新たなカードの利用やローン契約ができません。そのため、生活が不便になります。そして、任意整理から5年間経過した後も、カードの利用やローン契約ができない可能性が高いです。

したがって、借金を返済できていなければ、過払い金請求をすぐにしない方が良いケースもあります。

借金を返済して借金額を減らした後に過払い金請求をすればブラックになることはありません。

さらに返済したことで時効も延ばせるため過払い金請求をする期限に余裕ができるでしょう。

ショッピング残高がある場合、戻ってくる過払い金と相殺される

利用しているクレジットカードにショッピング残高がある場合は、事前に残高を支払っておくのをおすすめします。

なぜなら、過払い金が戻ってくると、まずショッピング残高と相殺されるからです。

ショッピング残高よりも戻ってくる過払い金が少なければ、借金が完済できません。その結果、ブラックになってしまいます。

リボ払いで過払い金が多くなる理由

リボ払いで借金をした際に発生する過払い金は多くなりやすい傾向があります。では、なぜリボ払いでは、過払い金が多くなりやすいのでしょうか?

リボ払いは返済期間が長期化しやすい

返済方法をリボ払いにすると、返済期間が長期化しやすいです。なぜなら、リボ払いが毎月の返済金額を少なくする方法だからです。

毎月の返済金額が少なければ、返済までの期間も長くなるでしょう。

一般的に利息は返済期間が長ければ長いほど増えます。そのため、過払い金も多く発生するのです。

たとえば、借入金額が100万円のときに金利が年29.2%、返済期間が短いケースと長いケースで考えてみましょう。

返済期間発生する過払い金
5年56万円
10年112万円
15年168万円

※あくまでも概算です。過払い金の調査を行うと異なる結果が出ることがあります。

返済期間が5年では過払い金は56万円です。しかし、返済期間が15年に延びると168万円も過払い金が発生します。

このようにリボ払いをしたことで返済期間が長くなれば戻ってくる過払い金も多くなるのです。

リボ払いでは元本がなかなか減らない

またクレジットカードのリボ払いでは元本がなかなか減らないという特徴があります。リボ払いをする場合の主な返済方法には以下の2つがあります。

  • 元利均等方式
  • 残高スライド元利定額方式

元金定額方式のケース

支払額のほとんどが手数料のため元金が減りにくい

元利均等方式とは、毎月の返済額が一定になる返済方法です。ただし、返済開始当初は元金への返済がほとんどできません。

元金がほとんど減らないということは、利息がかかる期間が長くなるため、最終的に支払う利息金額が増えてしまうのです。

残高スライド元利定額方式で返済をした場合

残高スライド元利定額方式には、以下のような特徴があります。

  • 毎月一定の元金と利息を支払う
  • 借り入れ残高によって返済額が変動

通常の元利定額方式は、一定の金額に加えて利息を支払う方法なので元利均等方式よりも返済額は多くなりますが、返済のスピードが早くなります。

しかし、残高スライド元利定額方式の場合、借り入れ額によって毎月の返済額が変動します。

たとえば、残高スライド元利定額方式を採用しているアプラスで借金をした場合、毎月の返済額は以下のように変動します。

借り入れ残高毎月の返済額
10万円以下3000円
10万円超〜20万円以下6000円
20万円超〜30万円以下9000円
30万円超〜50万円以下1万2000円
50万円超〜100万円以下2万5000円
以降借り入れ残高が100万円増えるごとに2万5000円ずつ増える

借り入れ残高が50万円を超えている場合、毎月の返済額は2万5000円です。ところが、借り入れ残高が少なくなれば、毎月の返済額も自動的に減ってしまいます。

したがって、ずっと2万5000円を返済し続けた場合と比較すれば、返済期間は長くなってしまいます。

つまり、残高スライド元利定額方式を採用しているカード会社で借金をした場合でも、利息が多く発生する可能性があるのです。

このようにリボ払いは返済期間が長くなる傾向があるので、発生している過払い金も多くなります。

過払い金請求をすれば、過払い金を多く取り戻せるかもしれません。クレジットカード会社への過払い金請求は司法書士への依頼がおすすめ

クレジットカード会社への過払い金請求は司法書士への依頼をおすすめします。ただ、司法書士へ手続きを依頼するとお金がかかるため、相談しようか迷っている方も多いでしょう。

では、なぜ自分で請求するのではなく司法書士への依頼が良いのでしょうか?その理由について解説します。

リボ払いでの契約で過払い金が発生した判例

元金が減れば発生する利息も減る

過払い金についての判例は多くあります。平成19年6月7日の最高裁判決では、いわゆるリボ払いでの返済方法で契約をしており、同じ契約内容の取引が複数回行われたケースです。この裁判では、発生した過払い金を他の取引の元金返済に充てられるかどうかが争われました。

結論としては、契約内容が同一であれば1回目の取引で発生した過払い金を2回目以降の元金の返済に充てられることが認められました。

なお、そのほかに1回目の取引が終了した後、1年前後経過してから再度同じ貸金業者でお金を借りるケースもあります。このようなケースでも1回目の取引で発生した過払い金を2回目以降の元金返済に充てられる可能性があります。

同じ貸金業者で複数の取引をした場合については、過払い金請求の分断計算と一連計算とはで解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

そうすると,本件各基本契約は,同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち制

限超過部分を元本に充当した結果,過払金が発生した場合には,上記過払金を,弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより,弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。

(引用元:裁判所判例集|裁判所

おわりに

過払い金はクレジットカードからキャッシングをしてリボ払いで返済しているケースでも発生します。

リボ払いで過払い金が発生する可能性が低いクレジットカードは多くありません。そのため、過払い金が発生する条件を満たしていれば、過払い金請求が可能です。

司法書士法人杉山事務所では過払い金についての相談を月に3000件以上承っており、毎月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

過払い金の相談や着手金については無料で承っているので、お気軽にお問い合わせください。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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