過払い金請求の対象になるのか悩んでいませんか?司法書士や弁護士に相談をしようとしても過払い金の対象になるのかわからなければ決断できない方もいるのではないでしょうか?
この記事では、
などについて解説します。
この記事を読めば、過払い金の対象になるかわかるので、安心して過払い金を回収可能です。
過払い金請求の対象者になるためには最低限満たさなければならない条件があります。
過払い金は利息制限法の上限を超える金利でお金を借りた場合にしか発生しません。利息制限法では、以下の表のように借り入れ額によって上限金利が決まっています。
借り入れ額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円〜100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
たとえば、借り入れ額が10万円〜100万円未満の場合は、貸付金利が18%を超えていれば過払い金が発生します。
したがって、まずは貸金業者から借金をした際の金利を調べる必要があります。
過払い金には時効があり10年と決まっています。
そのため、過払い金の対象になる貸金業者から借金をしていても、時効を迎えていない完済をしてから10年が経過していないことが条件の一つです。
また、完済できていない場合でも最後の返済日から10年が経過すると過払い金請求ができなくなります。
なお、令和2年4月の民法改正で過払い金の時効が変わりました。したがって、過払い金の時効期間が5年になるケースもあります。
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。引用元:民法第166条|e-Gov
ただ、令和2年4月よりも前に完済した借金については、従来どおり10年が時効期間です。
過去に利息制限法を上限を超える金利で借金をしたことがあっても、何らかの理由があり過払い金請求ができないと考える方もいるかもしれません。
ただ、以下のケースであれば過払い金請求ができる可能性があります。
「完済から長期間経ったので覚えていない」「取引した業者が多すぎてどうしても思い出せない」方もいるかもしれません。
借金をした貸金業者を覚えていなくても、以下の方法で貸金業者を突き止めれば過払い金請求ができる可能性はあります。
借金を返済する際に利用したカードの特徴を覚えていれば、司法書士などに相談すればわかるかもしれません。
また、返済時の明細書や通帳の写しを見れば貸金業者が記載されています。
そのほかに、JICCやCICなどの信用情報機関を見れば、過去に取引があった貸金業者の情報が残っていることがあります。
借金をした期間が10年以上の場合、貸金業者と取引した期間をくわしく覚えていないかもしれません。
取引期間を覚えていない場合は、貸金業者に対して取引履歴の開示請求を行えば取引期間を調べられます。注意しなければならないのは、貸金業者が古い履歴まで残しているかという点です。
しかし、安心してください。司法書士に相談をすれば古い履歴がない場合でも過払い金の計算ができるので、過払い金請求が可能です。
クレジットカードのキャッシング枠は借金なので過払い金が発生している可能性があります。
実際に、ほとんどのカード会社は消費者金融と同じく利息制限法を超える金利でお金を貸していました。
そのため過払い金請求をすれば過払い金を回収できます。
一度借金を完済した後に同じ業者から何度も借金をする方もいます。完済してから再度借りるまでの期間が概ね1年前後であれば、過払い金請求ができる可能性があります。
たとえば、最初の取引と2回目の取引の間に借金をしていない期間がある場合、最初の取引が時効を迎えているので過払い金請求の対象にならないと考えがちです。
しかし、複数の取引が同一の取引と判断されることがあり、最初の取引分についても過払い金請求ができる可能性があります。
ただ、複数の取引が同一と認められるためには、裁判で貸金業者と争わなければなりません。
複雑なケースになるため、司法書士に相談するのがおすすめです。
過去に自己破産をした際に過払い金の存在に気づかず手続きを行ってしまうことがありました。
そして、自己破産後に過払い金があることがわかったケースでも過払い金請求ができる可能性はあります。
実際に過去に東京高裁や仙台高裁などで自己破産後の過払い金請求が認められた判決があります。
ただし、完済日から10年が経過している場合は、時効が成立するため過払い金は回収できません。
借金の返済を滞納していたところ、過去に貸金業者から以下のような和解案の提案をされて同意した方もいるかもしれません。
ただ、和解をしたケースでも過払い金請求ができる可能性はあります。
ほとんどの貸金業者側は和解書のなかに清算条項があるので、過払い金請求はできないと主張します。
清算条項とは契約書に記載された債務以外には借金がないことを確認する文面です。
しかし、清算条項が記載されていたとしても過払い金がその範囲に含まれないと判断されれば過払い金請求はできます。
実際に平成28年10月25日の小林簡易裁判所の判例では、債務者が過払い金の存在を知らない背景もあり、過払い金請求が認められました。
このように和解を結んでいたとしても、過払い金請求が認められる可能性はあるので諦める必要はありません。
過払い金が発生している借金をおまとめローンで借り換えて完済を行った場合も過払い金請求は可能です。
もともとの借り入れ先 | 利息制限法の上限金利を超えている可能性がある |
---|---|
一本化した金融機関 | 利息制限法の上限金利を超えていない |
おまとめローンとは複数の貸金業者から高い金利で借金をしている場合に金利の低い金融機関に一本化する方法です。
おまとめローンを利用した場合、一本化した金融機関に対しては過払い金請求ができません。
しかし、もともと高金利で借りていた貸金業者からは過払い金を回収できます。
過払い金は消費者金融だけでなくクレジットカード会社からの借金も対象に含まれます。ただ、過払い金請求の対象になるかは、貸金業者や対象期間により異なります。
過払い金請求が盛んになったのは平成18年1月13日の最高裁判決以降です。そして、貸金業法が改正されたのは平成22年6月です。
ただ、平成22年の貸金業法が改正される直前まで利息制限法を超える金利で貸付を行っていた貸金業者はほとんどありません。
ほとんどの貸金業者は平成19年頃までには貸付金利を見直しています。加えて、貸付金利の見直し時期が貸金業者により異なる点にも注意が必要です。
貸金業者 | 貸付金利の見直し時期 |
---|---|
アイフル | 平成19年8月1日 |
プロミス | 平成18年12月19日 |
ニコスカード | 平成19年3月頃 |
セゾンカード | 平成19年7月15日 |
イオンカード | 平成19年3月11日 |
したがって、貸金業法が改正される前から取引をしていれば、過払い金が発生しているわけではないので注意してください。
過払い金の対象になるかを調べるためには、貸付金利を見直す前に取引があったかどうかを調べなければなりません。
過払い金請求の対象カードとはどのようなカードなのでしょうか?たとえば、以下のカードは過払い金請求の対象です。
請求先 | カード名 |
---|---|
三菱UFJニコス |
|
クレディセゾン |
|
エポス |
|
オリエントコーポレーション |
|
楽天KC |
|
三菱UFJニコスやオリエントコーポレーションなど、有名なカード会社も過去に利息制限法の上限を超える金利で貸付をしており、対象カードです。
ほかにも過払い金請求の対象カードはあります。金融業者一覧では過払い金の返還率なども交えて解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
過払い金請求の対象期間はカードにより違います。また、同じカードから借金をしていても完済日が一人ひとり違うため、対象期間も異なります。
カード会社が別のカード会社を吸収合併した場合、吸収したカード会社に対して過払い金請求を行います。
その場合、過払い金請求をする貸金業者が同じでもカードによって対象期間が異なることがあります。
たとえば、セゾンカードとUCカードでは過払い金が発生している期間が異なっており、UCカードの方が過払い金が発生する対象期間は短くなります。
カード名 | 過払い金の対象期間 |
---|---|
セゾンカード | 平成19年7月13日まで |
UCカード | 平成19年6月10日まで |
貸金業者での取引期間が長ければ長いほど過払い金の対象期間も長くなるため、回収できる過払い金が多くなる可能性があります。
UCカードで100万円の借金をしたケースで過払い金請求の取引期間が5年と10年では、どのぐらい過払い金に違うのでしょうか?
取引期間 | 5年 | 10年 |
---|---|---|
貸付金利 | 年27% | |
借り入れ額 | 100万円 | |
発生した過払い金 | 60万円 | 120万円 |
同じ条件で借金をしても過払い金の対象期間が長くなれば、過払い金も多い傾向があることがわかります。
ほとんどのクレジットカード会社は、利息制限法を超える金利でお金を貸していたため、過払い金の対象になります。。
ただ、一部のカード会社では平成18年以前から利息制限法の範囲内でしかお金を貸していません。
たとえば、オリックスやジャックスといった貸金業者は平成18年よりもかなり前から利息制限法の範囲内で貸付を行っています。
そのため、完済日から10年が過ぎているケースも多く時効を迎えている可能性が高いです。
また、JCBのようにリボ払いと一括返済で適用金利が異なるため、一括返済での借り入れのみ過払い金請求の対象になるケースもあるので注意してください。
貸金業者 | 貸付金利の見直し時期 |
---|---|
オリックス | 1990年代 |
JCB | 平成19年6月16日 |
ジャックス | 平成9年2月 |
借金をしても以下のようなケースでは過払い金が発生していません。そのため、過払い金請求の対象からは外れます。
貸金業者から借金をしていても以下のように利息制限法の範囲内で借金をした場合は、過払い金が発生しません。
銀行カードローンは過払い金が発生しません。銀行カードローンを提供している銀行では、利息制限法の範囲内の金利でしか貸付を行ったことがないからです。
そのため、銀行カードローンでは過払い金が発生していません。
住宅ローンや車のローン契約の貸付金利は、カードローンや消費者金融の金利と比べると、もともと低い金利で貸付を行っています。
特に住宅ローンは1%未満で貸付を行うケースも多くあります。そのため、過払い金が発生するケースは皆無です。
奨学金や日本政策金融公庫を利用する際も利息制限法の上限を大幅に下回る金利で借りられます。したがって、過払い金が発生しません。
貸付金利 | |
---|---|
奨学金 | 0.153%〜0.267%(令和2年の場合) |
日本政策金融公庫 | 1.21% |
クレジットカードのショッピング枠を利用した場合には過払い金が発生しません。というのも、ショッピング枠の利用はカード会社から借金をしているわけではないからです。
したがって、ショッピング枠の利用については貸金業法は適用されません。
実際に金融庁のホームページでもショッピング取引については貸金業法が適用されないと明記されています。
Q1-4. 貸金業法の対象となる「貸金業者」とは、どんな業者ですか?
お金を貸す業務を行っており、財務局又は都道府県に登録をしている業者のことを、「貸金業者」といいます。具体的には、消費者金融、クレジットカード会社などが貸金業者です(※)。銀行や、信用金庫、信用組合、労働金庫なども、様々な融資を行っていますが、これらは「貸金業者」ではありません。
※ より正確には、次のとおり、場合に分けて考える必要があります。
(1) クレジットカードで現金を借りる場合(キャッシング)
クレジットカード会社は、「貸金業者」として「貸金業法」に基づき、金銭の貸付けを行います。
したがって、キャッシング取引には、「貸金業法」が適用されます。
(2) クレジットカードで商品やサービスを購入する場合(ショッピング)
ショッピング取引については、「貸金業法」は適用されません(リボ払い、分割払い、ボーナス払いには、別途「割賦販売法」が適用されます。)。引用元:貸金業法Q&A|金融庁
過払い金請求は貸金業者から過払い金を回収できることが前提です。そのため貸金業者が倒産していれば、過払い金請求ができなくなります。
実際に過払い金請求が増えたことが原因で、消費者金融を中心に多くの貸金業者が倒産しています。
倒産した貸金業者 | 倒産時期 |
---|---|
武富士 | 平成22年 |
クラヴィス | 平成24年 |
NISグループ | 平成24年 |
ネットカード | 平成29年 |
なお、倒産した貸金業者が民事再生手続きをしていれば配当金が戻ってくることがありますが、戻ってくる金額は過払い金の数%前後です。
配当金を受け取るためには手続きに加え期限もあるので、倒産から時間が経過していれば、配当金さえ戻ってきません。
また過去には、アイフルが経営状況の悪化を理由に返還額の減額交渉を行ってきたこともあります。
そのため過払い金の対象であることが判明したなら、すぐに過払い金請求をするべきです。
過払い金請求の対象になっていても、自分で過払い金請求をすると満足のいく結果にならないことがほとんどです。
司法書士に依頼したケースで過払い金の返還率や手続きにどのような違いがあるのか解説します。
自分で過払い金請求をした場合と司法書士に依頼をした場合では、司法書士に依頼したほうが多く回収しやすい傾向があります。
和解時の返還率 | 裁判での返還率 | |
---|---|---|
自分で手続き | 50% | 70% |
司法書士が手続き | 70% | 100%+5%の利息 |
なぜなら、貸金業者は交渉相手が司法書士や弁護士でないとわかれば、交渉での過払い金を低めに提示する傾向があるからです。
また裁判まで進んだ場合、司法書士なら利息付きで過払い金を回収できる可能性があります。
したがって、多くの過払い金を回収したいのであれば、自分で手続きをするよりも司法書士に依頼するのをおすすめします。
司法書士に依頼すればすべての手続きを行うので過払い金請求を楽な気持ちで行うことができます。
他方、すべての手続きを自分で行うのは精神的にも体力的にも困難です。また、自分で手続きを行うと以下のようなリスクもあり、想像以上に手間や時間がかかります。
さらに借金を返済中の場合、督促や取り立てが止まらないので精神的な負担も重くなります。
司法書士に依頼をする際の費用を気にされる方もいますが、回収した過払い金から差し引かれるので手元に現金がなくても手続きができます。
過払い金請求に興味があっても、過払い金の対象になるケースがわからなければ、決断をするのは困難です。
ただ、利息を支払いすぎているのであれば取り戻す権利があるので、時効前に過払い請求を行うべきです。
司法書士法人杉山事務所では、過払い金の無料相談を承っています。着手金についても無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。