借金をしたことがあれば過払い金請求という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ただ、借金の返済に悩んでいても「過払い金が発生しているのか」「自分のケースで過払い金請求が可能なのかがわからない」のではないでしょうか?
そこでこの記事では、
などについて解説します。
過払い金は取り戻すことが可能です。まずはこの記事を読んで過払い金請求ができるのか把握しましょう。
過払い金とは貸金業者に対して支払いすぎた利息のことです。貸金業者や金融機関から借金をする際には、借金したお金とは別に利息を付けて返済をしなければなりません。
ただ、平成22年の貸金業法改正以前は、利息制限法を超える金利でお金を貸していた貸金業者がほとんどでした。
したがって、支払いすぎた利息については、過払い金請求をすれば取り戻すことができるのです。
過払い金が発生する理由は、借金をする際に適用される上限金利が出資法と利息制限法で異なっていたからです。
出資法の上限金利 | 29.2% |
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利息制限法の上限金利 | 年15%〜20% |
さらに出資法を超える金利でお金を貸すと罰則規定がありましたが、利息制限法を超える金利でお金を貸しても罰則がありませんでした。
したがって、貸金業者は利息制限法に違反をしても出資法に違反しない金利であれば、何ら罰則を受けなかったのです。
ただ、平成18年1月13日の最高裁判決で利息制限法を超える金利での貸付が違法となり、過払い金請求をすれば支払いすぎた利息を取り戻せるようになったのです。
過払い金を取り戻すことは平成18年までほぼ不可能でした。
なぜなら、みなし弁済と呼ばれる制度により、利息制限法を超える金利でお金を貸していても違法にならなかったからです。その結果、返済に苦しむ債務者は増加し続け社会問題にもなりました。しかし、平成18年1月13日の最高裁判決でみなし弁済制度を否定する判決が出たことで、過払い金請求が認められやすくなったのです。
過払い金はすべての借金に発生するわけではありません。また、過払い金が発生していても請求できなくなることもあるので注意しなければなりません。
過払い金が発生するためには最低限以下の条件を満たす必要があります。
過払い金は年15%〜20%を超える金利で借金をしたケースでのみ発生します。
なぜなら、過払い金は支払いすぎた利息にあたるからです。過去に高金利でお金を貸していた貸金業者から借金をしたことがあれば、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金には10年の時効があります。時効を迎えていなければ過払い金請求をする権利が残っています。
完済をしているケースと返済途中のケースでは時効の成立日が違うので注意してください。
借金の状況 | 最後の取引日 |
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完済している | 完済日 |
返済を続けている | 最後の返済日 |
貸金業者から借金をして過払い金が発生していても、以下の条件に当てはまる場合は過払い金請求ができなくなります。
過払い金は時効期間を過ぎると過払い金請求ができなくなります。したがって、時効期間をすぎる前に過払い金請求を行わなければなりません。
貸金業者が倒産してしまうと過払い金の回収は不可能です。貸金業者が存在しなければ過払い金を支払うことができないからです。
ただし、他社から吸収合併をされている場合は、合併先の会社に対して過払い金請求ができる可能性があります。
過払い金請求を検討していてもデメリットが気になり決断できない方もいるかもしれません。では、過払い金請求をするメリットやデメリットとは何なのでしょうか?
メリット | デメリット |
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過払い金請求をするメリットは過払い金を取り戻せることです。さらに、返済期間が長いほど多くの過払い金を回収できます。
また、現在返済中でも借金を上回る過払い金が発生していれば、完済できるだけでなく、お金がいるケースも珍しくありません。過払い金請求をしたら借金が完済できることもあるのです。
一方、過払い金請求をすると以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。
過払い金を請求した貸金業者は二度と利用できなくなります。なぜなら、過払い金請求をした方の情報が、社内で共有されるからです。
したがって、二度と同じ貸金業者からは借金ができなくなります。
借金の状況 | ブラックになるか否か? |
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完済した | ブラックにならない |
返済中だが、回収した過払い金で完済できる | ブラックにならない |
過払い金を回収しても借金を完済できない | ブラックになる |
過払い金請求をすると必ずブラックになるわけではありません。そのため、過払い金請求をした後も他の貸金業者から借金をしたり住宅ローンなどの契約ができる可能性があります。
ただし、返済途中で過払い金を回収しても借金を完済できない場合は、過払い金請求ではなく任意整理の扱いになります。
したがって、ブラックになってから5年間、新たな借金やローン契約ができません。
借金はさまざまな貸金業者や金融機関からできますが、過払い金の対象になるのは、以下の貸金業者から利息制限法の上限を超える金利でお金を借りたケースのみです。
消費者金融は利息制限法を超える金利でお金を貸していたため、過払い金が発生している可能性が高いです。
クレジットカード会社も利息制限法を超える金利でお金を貸していたため、過払い金が発生している可能性が高いです。
ただし、一部のカード会社は平成18年よりもかなり前から貸付金利を利息制限法の範囲に見直しています。したがって、時効を迎えている可能性が高いため、過払い金請求ができないケースがほとんどです。
毎月支払っているお金 | 過払い金の対象か? | |
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キャッシング枠 | 借金の元金と利息 | 対象になる |
ショッピング枠 | 立て替えた費用と手数料 | 対象にならない |
クレジットカードにはキャッシング枠とショッピング枠があります。過払い金が発生している可能性があるのはキャッシング枠で借金をしたケースです。一方で、ショッピング枠の利用は借金にならないため、過払い金は発生しません。
過払い金請求の手続きを依頼する際は以下の手順に沿って行います。
過払い金請求をする際自分でやった場合と司法書士や弁護士に依頼した場合ではどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
メリット | デメリット |
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自分で手続きをする場合のメリットは、司法書士や弁護士に支払う費用を抑えられることです。ただ、自分での手続きは手間や時間がかかるため精神的な負担が重くなります。また、多くの貸金業者は交渉での提示額を低くする傾向があるので、過払い金をあまり取り戻せないことがほとんどです。
メリット | デメリット |
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司法書士や弁護士に依頼すれば、すべての手続きを代行するので精神的な負担がありません。過払い金請求の実績が豊富な司法書士や弁護士に依頼すれば、過払い金を満額取り戻すことも可能です。なお自分で手続きをするよりも司法書士や弁護士に依頼した方が過払い金を多く回収できるので、手元に残る現金も増えます。
ただし、悪徳弁護士や悪徳司法書士なども存在するので、依頼する事務所は慎重に選びましょう。
過払い金請求をすると貸金業者との交渉(和解)か裁判で過払い金が決まります。では、債務者はどちらを選んだ方が得をするのでしょうか?それぞれ解説します。
メリット | デメリット |
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過払い金が返還される期間が短くなる | 貸金業者の提示額が低いことがある |
まず、和解になった場合のメリットは、貸金業者から過払い金が返還される期間が短いことです。
ただし、貸金業者が提示する金額は満額ではありません。したがって、過払い金を満額回収したいのであれば、和解よりも裁判をすべきです。
メリット | デメリット |
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和解よりも過払い金が多く戻ってくる | 過払い金の返還までに時間がかかる |
貸金業者から提示された金額に不満があれば、裁判で過払い金を回収することになります。裁判をするメリットは、和解よりも回収できる過払い金が多いことです。他方、手続き開始から過払い金を回収できるまでの期間は長くなります。
また、裁判で貸金業者ともめた場合は、過払い金が戻ってくるまで時間がかかるので注意が必要です。
過払い金請求した際に和解か裁判かの判断基準は、以下のどちらを優先するか次第です。
優先事項 | 選ぶべき方法 |
---|---|
早く回収したい | 和解 |
多く回収したい | 裁判 |
なお、司法書士に依頼すれば和解や裁判のどちらでも手続きの負担はありません。手続きの費用は裁判が高いですが、成功報酬金を差し引いても手元に残るお金が増える可能性が高いです。
過払い金請求ではすんなり貸金業者と交渉がまとまるとは限りません。以下のようなケースでは貸金業者側ともめることが多く、裁判でも争点になることがあります。
借金を完済後に同じ貸金業者から借金をした場合にもめるのは以下の理由からです。
裁判での争点 | 貸金業者が争う理由 |
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時効を数え始める日をいつにするのか? | 時効により過払い金請求の権利がなくなる可能性がある |
最初の取引で発生した過払い金を2回目以降の取引の元金返済に充てられるか? | 支払う過払い金の金額が増えてしまう可能性がある |
遅延損害金が過払い金に含まれるか? | 過払い金ではなく遅延損害金の支払いと認められれば過払い金が減る |
貸金業者ともめると自分で手続きをしても、貸金業者側の主張が通りやすいため、多くの過払い金を回収できません。司法書士に相談するのをおすすめします。
過払い金請求をするためには過払い金を計算しなければなりません。
支払った利息 – 利息制限法に引き直した利息 = 過払い金
また、過払い金の計算方法は借金を完済しているケースと返済中のケースで異なるので順番に解説します。
借金を完済している場合は以下のように計算します。
借金額 × (貸付金利-利息制限法の上限金利) × 貸付期間
たとえば、25%の金利で200万円を借り10年で返済した場合は以下のように計算するので、過払い金は200万円です。
200万円 × (25% – 15%) × 10年間 = 200万円
ただし、上記の計算方法は簡易計算ですので概算程度しかわかりません。取引履歴を取り寄せたうえで調査することで正確な金額を調べることが可能になります。
返済を続けている場合は完済したケースとは若干計算が異なります。1年あたりに発生する過払い金を計算した後、現在までの期間で発生している過払い金を計算します。たとえば、借り入れ後5年が経過しているケースで計算するとどうなるでしょうか?
1年あたりに発生する過払い金を計算 | 200万円×(25%-15%)×1年間=20万円 |
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借り入れから5年経過後の過払い金 | 20万円×5年間=100万円 |
借り入れから5年が経過した時点で発生している過払い金は100万円です。ただ、これらの計算ではあくまでも簡易的な方法です。債務者によって以下のように状況が異なります。
つまり、正確な過払い金は返済をするたびに計算をしなければなりません。したがって、自分で計算するよりも司法書士に計算を依頼した方が良いです。
過払い金請求には費用がかかりますが、自分で手続きをした場合と司法書士に依頼した場合ではどのぐらい変わるのでしょうか?
交渉で和解した | 裁判をした | |
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必要書類 |
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大まかな費用 | 数百円 | 2万円前後 |
自分で手続きした場合、司法書士に支払う費用はありません。そのため手続きに必要な費用は数百円前後です。ただし、貸金業者との交渉が不調に終わった場合は裁判が必要になるため、概ね2万円前後が必要です。
なお、複数の貸金業者に対して過払い金請求を行う場合は、費用も多くなるので注意が必要です。
他方、司法書士に依頼した場合の費用はどのぐらいかかるのでしょうか?司法書士事務所により異なりますが、概ね以下の費用がかかります。
和解 | 裁判 | |
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相談料 | 30分で無料〜1万円 | |
着手金 | 1社あたり1万円〜2万円 | |
基本報酬 | 1社あたり2万円〜3万円 | |
成功報酬 | 回収した過払い金の20% | 回収した過払い金の25% |
自分で手続きをする方が費用はかかりません。ただ、司法書士に依頼した方が戻ってくる過払い金は多いので手元に残る金額が多くなる傾向があります。
過払い金が発生していても何らかの理由で過払い金請求に踏み切れない方もいるかもしれません。そこで、さまざまなケースに応じて過払い金請求に対する質問に答えていきます。
過払い金請求をしてもブラックにならなければ住宅ローンや自動車のローンは組めます。ただし、借金の返済中かつ回収できた過払い金が借金よりも少なければ、ブラックになるので、5年間はローンの契約ができなくなります。
借金の状況 | 社内ブラックへの登録 | 信用情報機関への登録 |
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借金を完済した | 登録される | 登録されない |
回収した過払い金が借金よりも多い | 登録されない | |
過払い金を回収しても完済できない | 登録される |
借金を完済しているか、回収した過払い金が借金よりも多ければ過払い金請求をしてもブラックリストには載りません。ただし、過払い金請求をした貸金業者については社内ブラックに登録されます。したがって、二度と利用できなくなることがあります。
自分で過払い金請求をすれば家族や職場にバレる可能性が高いです。その理由は以下の3つです。
他方、司法書士に依頼すればすべての手続きを代行します。貸金業者とのやり取りや裁判所への出頭なども司法書士が行うので、自宅に書類が届く心配もありません。
本人に特に問題がない | 本人しか請求できない |
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本人が病気や怪我で動けない | 家族や親族が代行できる |
本人が亡くなっている | 相続人が請求できる |
過払い金請求は本人以外の方も手続きが可能です。
借金をしている本人が病気や怪我で動けない場合やすでに亡くなっている場合は家族や親族が代わりに請求できます。
ただし、代行にあたり委任状などが必要です。また、本人が過払い金請求をする意思がない場合でも、相談していただければ説得することもできます。
借金をしている本人が亡くなった場合に相続人の方が過払い金請求をすることも可能です。ただし、過払い金は最後の取引日から10年が過ぎれば請求できなくなります。早めに相談するのをおすすめします。
過払い金が発生しているかわからないし、相談をしてお金を取られるのが不安な方もいるかもしれません。過払い金は支払いすぎた利息なので取り戻す権利があります。また、司法書士法人杉山事務所では、過払い金の相談や調査を無料で承っています。万が一、過払い金が発生していなくても費用がかかることはないのでご安心ください。
ケース | 解決方法 |
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貸金業者を忘れた |
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取引期間がわからない |
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借金を完済したのが10年以上も前であれば、貸金業者を覚えていない方や取引期間がわからない方もいるのではないでしょうか?貸金業者を忘れた場合や契約書などの書類がなく取引期間を忘れたケースでも過払い金請求は可能です。
商品 | 過払い金を請求できない理由 |
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銀行カードローン | 利息制限法の範囲内なので過払い金が発生しない |
銀行のその他のローン |
銀行カードローンからの借金には過払い金が発生していません。サービス開始当初から利息制限法の範囲内でしか貸付を行っていないからです。
依頼先 | 費用面 |
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法テラス | 着手金や基本報酬を含めると高くなることもある |
司法書士や弁護士 | 相談料や着手金が無料な事務所を選ぶ |
費用をなるべく安く済ませたい場合は、相談料や着手金が無料な事務所を選ぶと良いです。なお、法テラスを利用しても、着手金や基本報酬がかかる事務所を紹介されれば、費用が高くなることがあります。また、過払い金請求の実績に乏しい事務所を紹介されると、過払い金があまり戻ってこない可能性があるので注意が必要です。
大手銀行 | 保証会社 |
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みずほ銀行 | オリエントコーポレーション |
三菱UFJ銀行 | アコム |
三井住友銀行 | プロミス |
銀行などからの借金には過払い金が発生していません。しかし、多くの銀行や信用金庫ではアコムやアイフルなどが保証会社になっています。そのため、アコムやアイフルで過払い金が発生していれば、銀行のカードローンなどとの相殺を主張される可能性があるので注意が必要です。
基本的に取り戻した過払い金自体には税金がかかります。その理由は過払い金が支払いすぎた利息だからです。しかし、以下の3つのケースでは過払い金に税金がかかる可能性があります。
過払い金請求を司法書士に依頼する際に必要なものは以下の4つです。
契約書や明細書は用意できなくても問題ありません。貸金業者から取引履歴を取り寄せることで過払い金請求が可能です。
過払い金診断のメリット | 過払い金診断のデメリット |
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司法書士や弁護士事務所が運営しているサイトで過払い金診断を無料で行っていることがあります。ただ、無料の診断サイトでは、正確な過払い金はわかりません。 ひどいケースでは過払い金診断で出た金額よりも明らかに少ない金額しか回収できないこともあるので注意してください。
相談料 | 無料 |
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着手金 | 無料 |
成功報酬 | 返還額の27.5%~ |
司法書士法人杉山事務所に依頼した場合は相談料や着手金はいただきません。ケースによりますが、費用としていただく金額は過払い金の返還額に応じた成功報酬のみです。 過払い金が発生していない場合は費用をいただかないのでお気軽にお問い合わせください。
事務所がある地域 | エリア外にお住まいの方 |
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| 個別出張相談が可能 |
司法書士法人杉山事務所では以下の地域に事務所があります。また対応エリア外にお住まいの方に対しては個別出張相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
司法書士法人杉山事務所では、過払い金の相談を毎月3,000件以上承っており、毎月の請求額は5億円を超えます。長期間借金の返済に悩まれている方や過去に借金をしたことがある方の多くが過払い金の回収に成功しています。
では、実際に過払い金を取り戻した方の体験談や解決事例を掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。
杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。