ネットカードの過払い金はもう取り戻せない?

ネットカードは過去にGMOネットカードまたはオリエント信販株式会社などの名前で運営していた貸金業者です。現在は破産しておりネットカードに過払い金請求はできません。

しかし、すべての貸金業者への過払い金請求が締め切られたわけではありません。現在も過払い金請求をできる貸金業者はいます。

本記事ではネットカードが過払い金請求できなくなった経緯と、過払い金請求を早めに行う重要性について解説していきます。ネットカード以外にも過払い金があるかもしれない方はご参考にしてみてください。

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ネットカードの変遷

1976年、ネットカードは元々オリエント信販株式会社という名前で営業をスタートしました。貸金業で売り上げを出し、2000年には富士キャッシュサービス株式会社を吸収合併します。

2001年からは当時人気だったベティさんというキャラクターを起用し女性のためのキャッシングを展開しました。「ベティ・ローン」というこのサービスでは、女性スタッフが24時間体制でサポートするなど当時では珍しいものでした。

その後、利息制限法の改正を受けてこれまで高金利のローン商品を扱っていたネットカードには過払い金請求が殺到しました。インターネット専用で無店舗型のキャッシングサービスを展開するも、多額の過払い金請求に耐え切れず経営は悪化したのです。

そしてGMOインターネット株式会社に株式譲渡され、社名をGMOネットカード株式会社へと変更しています。それからまもなく株式譲渡先のGMOインターネットが貸金業から撤退し、ここで初めて「ネットカード株式会社」という社名になりました。

ネットカードは破産手続きを開始

経営の立ち行かなくなったネットカードは、2017年の11月に東京地方裁判所から破産開始決定を受けました。

破産開始決定を受けたということはそれ以降ネットカードに対して債権者からの請求ができなくなるということです。また破産の手続きには破産管財人と呼ばれる専属の担当者が付きます。そして残った財産を優先順位に基づいて振り分けていきます。

つまり破産をするということは、借金や負債がすべて免除となる代わりに今ある財産を手放し法人格を失うということです。

ネットカードに過払い金がある人の条件

2009年以前にネットカードから借金していれば過払い金が発生した可能性はあった

ネットカードに過払い金がある人の条件は以下のとおりです。

  • 2006年よりも前に借り入れをした人
  • 債権届出通知書が届いた人

利息制限法の改正は2010年に実施されています。ネットカードは2009年からの新規貸し付けを停止しています。

いつネットカードと取引があったか覚えていなくても、債権届出通知書を受け取っていれば過払い金の対象者です。貸金業者が破産をすると過払い金のある人には「債権届出通知書」が送られます。

債権届出通知書は破産者管財人から発送されるもので、配当として返す予定の金額が記載されています。企業が破産するとき必ずしも全員に満額の過払い金を返せるとは限りません。そのため配当として返せるだけのお金を返還するのです。

ネットカードに過払い金請求はできない

過払い金は貸金業者が破産した場合は請求できなくなります。ネットカードは2017年より破産手続きを開始しているので現在過払い金請求をすることはできません。

ネットカードは破産手続き開始後の過払い金請求について以下のように回答しています。

”Q 破産会社に対して過払い金があるのだが、返してもらえるのか。

A 破産会社の財産の換価・回収を終えた時点で配当可能原資が確保されれば、破産債権の届け出がなされ、その届出債権の存在が確認された債権者に対し、配当率に従った平等の配当を行うことになります。ただし、現時点において、破産債権者の皆様に対する配当を実施できるかどうかは未定です。

Q 破産会社に対して多額の過払金があり、家族の生活もかかっているのでなんとか自分にだけは配当してほしい。

A 破産手続は破産法上の債権の優先順位に従って債権者に平等に配当を行う手続ですので、個別の事情による優先的な取扱いはできません。”

引用:ネットカード公式ホームページ

破産手続き中は破産法上の優先順位に則って支払いを行うため、個別の請求には応えられないというものです。

なお、2019年2月13日に発表されたネットカードの報告書では、過払い金の支払いについて以下のとおり記載があります。

”破産手続開始決定後に受領した過払金の各支払者に対し、返金の連絡をし、返金先の預金口座を把握できた顧客に対し、順次、振込送金にて返金作業を行ってきたが、破産手続開始決定後、平成30年12月7日までに、合計約800万円の過払金を受領し、そのうち合計約580万円の振込送金を行った。

なお、返金先の預金口座が把握できないために返金できない過払金約220万円については、過払金の返還を辞退した者の分を除き、受領拒絶とみなして供託した。”

引用:破産手続開始決定後の過払金の返還(収支計算書「支出の部」3)

過払い金を一部返還された人もいますが、それはネットカードが破産手続きに入る前に請求をした人です。法定金利の引き下げを受けてすぐに動いた人は一部過払い金を取り戻すことに成功しています。

つまり過払い金があると分かったらすぐに請求することが重要なのです。時間が経つとネットカードのように破産したり、過払い金請求権自体が時効にかかってしまったりすることもあります。

ネットカードから配当金はもう受け取れない

配当金が失われたとしても発生した過払い金よりもはるかに少ない金額しか取り戻せない

過払い金請求をしなくても破産した貸金業者からお金を受け取る方法があります。それが配当金です。配当金を受け取る方法は届いた債権届出書に必要事項を記入して裁判所に提出するだけ。

しかし、債権届出書の提出は2021年現在では締め切られています。つまり、現時点で債権届出書を持っていても配当金は受け取れません。

なおネットカードの配当金は約0.2%です。つまり100万円の過払い金があってもたった2000円しか戻ってこないということになります。過払い金満額の返還を求めるなら自ら過払い金請求をするしか方法はありません。

過払い金があるかもしれない場合は司法書士へ相談

過払い金請求は早めに行いましょう。時間が経てば貸金業者の経営が傾き倒産してしまうかも知れません。さらに最終取引から10年が経つと時効で請求できなくなってしまいます。

とはいえ、自分ではどこからいくら借りていたかを覚えていない方もいるでしょう。当時の明細や通帳が無い場合も考えられます。このようなケースでも司法書士に依頼すれば過払い金がどこに対していくら発生しているか調査が可能です。

さらに司法書士に代理人を依頼することにより過払い金の難しい計算や相手との交渉も非常にスムーズです。時効にかかる前に手早く手続きをしてもらえます。

また返済中の借金がある場合、過払い金を使って債務を減額することも可能です。そのほか、借金を減額する債務整理手続きという選択肢もあります。

ネットカード以外にもまもなく時効を迎える過払い金があるかもしれません。過去に借金をしたことがある方は一度司法書士に相談してみるとよいでしょう。

代表司法書士杉山一穂近影
  • 司法書士法人杉山事務所
  • 代表司法書士 杉山一穂
  • 大阪司法書士会 第3897号
  • [プロフィール]

大学卒業後就職するも社会貢献できる仕事に就きたいと考え、法律職を志し、司法書士試験合格。合格後、大阪市内の事務所で経験を積み、難波にて開業。

杉山事務所では全国から月3,000件を超える過払い・借金問題に関する相談をいただいております。債務整理や過払い金請求の実績豊富な司法書士が多数在籍し、月5億円以上の過払い金を取り戻しています。

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